"9年間消えた娘と「お姫様の部屋」" 第16話
エリコは涙を堪え、ユイナのたいを両で優しく握りしめた。
「ゆいちゃん。パパがしたことは、絶対に違っているの」
エリコはつつの言葉に力を込めて言った。
「は、子供にそんなことをしてはいけないのよ」
ユイナは目を瞬かせた。
「そういう触れいはね、お互いに選びった同士、夫と妻のだけで許されることなの」
「でも、私……パパをしてる」
ユイナはひどく混乱した声で反論した。
「分かっているわ」
エリコは優しく娘のを撫でた。
「でもね、には違う種類があるの。親と子のは、子供を守り、全でいさせるためのものよ」
彼女は娘の目を見据えた。
「彼がしたことは、決してじゃないわ。絶対に違っているの」
ユイナは黙り込み、眉を寄せてこのしい報を処理しようとしていた。
救急隊員が通りの初期診察を終え、エリコの方を向いた。
「現のところ、状態は定しています」
彼女はエリコにだけ聞こえるような声で言った。
「ですが、病院での急な精密検査が必です。状況が状況ですから」
エリコは々しく頷いた。
妊娠の無、染症の検査、そして肉体な損傷。
あの子が受けた獄の全容を、これから詳細に調べる必があるのだ。
いた救急の部ドアから、森田警部補がづいてきた。
「おとも、署で調を取らせてください」
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森田は落ち着いた声で言った。
「医療チームからは、今すぐの緊急搬送ではないと許を得ています」
エリコは承し、ユイナを連れて警察署へ向かうパトカーの部座席に乗り込んだ。
内で、エリコは怯えるユイナの肩を抱きしめ続けていた。
運転席に座った田巡査が、無線のチャンネルを調する。
『こちらユニット12。川添町の宅にて、修平及び松尾を確保』
無線から、別の警官の緊迫した声が聞こえてきた。
『に、6の容疑者を拘束。応援を請する』
助席に座っていた森田が、を乗りして指示をした。
「田、川添町は署へのルートだな。しだけ現に寄ってくれ」
田はサイレンを鳴らし、パトカーを発させた。
数分、は川添町という、階建てのがち並ぶ静かな宅に入った。
そこでは、数台のパトカーがを完全に塞ぎ、赤と青のランプが激しく点滅していた。
「内で待してください」
森田がエリコにそう指示し、へていった。
エリコは窓に顔をづけ、の景を全て目に焼き付けた。
8の男たちが錠をろにかけられ、警察両のそばに列にたされている。
その列のに、修平がいた。
彼はうつむき、すっかり肩を落としている。
その隣には、松尾がまだ酒に酔っているのか、フラフラとだらしなくっていた。
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の6の見らぬ男たちは、30代から60代まで齢も様々だった。
彼らは皆、休の夜の集まりのような、くつろいだ軽装をしていた。
しだけけていたパトカーの窓から、にいる警官たちの会話の断片が聞こえてきた。
「突入、リビングでビデオを鑑賞でした」
「『お姫様の部 ボリューム916』……最撮されたもののようです」
「『族の聖域』というグループだそうです。を順番に回り、自分たちの映像を共していたと供述しています」
エリコの喉の奥に、猛烈に酸っぱいものが込みげた。
クラブ。
彼らは、自分の子供を虐待するビデオを共する、狂ったクラブを作っていたのだ。
ここにいる男たちの数だけ、にどれだけの被害者の子供がいるというのか。
突然、うつむいていた修平が顔をげ、パトカーの窓越しにエリコと目がった。
瞬の静寂のだった。
彼の唇が醜く歪み、まるで勝ち誇ったような、ら笑いのようなものを作ったのである。
「……そこで待ってて」
エリコは震える声でユイナに言い残した。
彼女はのドアを力任せに押しけ、にいる元夫へと真っ直ぐに歩み寄った。
くにいた警官が止めようとを伸ばしたが、彼女の歩くスピードの方がかった。
「パァン!!」
エリコの渾の平が、修平の頬に鋭く、そしてく響いた。
「この怪物!!」
エリコは修平の顔を睨みつけ、ありったけの声で叫んだ。
「あなたはじゃない!!」
く打たれたにも関わらず、修平はほとんどひるまなかった。
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