"「介護が悪い」と責めた家族の3日後" 第1話
私は自分ののにある湯呑みをじっと見つめた。
いお茶の温度が指先から伝わってくる。
「お母さんが良くならないのって、さんの世話が悪いからじゃない?」
夫の妹である弓が放ったその言葉が落ちた瞬、リビングの空気が凍りついた。
曜の午、テーブルのには半分以残った義母の昼が置かれている。
弓は、綺麗に入れされた爪で残った事を指差した。
「だってもう11でしょう。普通もうし良くなってもいいんじゃないの?」
私は鳴らなかった。
泣き叫ぶこともなかった。
私は静かに湯呑みをテーブルに置いた。
カツンというさな音が妙にきく響いた。
脳梗塞で倒れ、半に麻痺が残る義母は、加齢とともにしずつ嚥能が落ち、むせることが増えていた。
今は朝から血圧もく、無理にべさせれば誤嚥性肺炎を起こす危険があった。
だからこそ、私は訪問護師の助言に従い、分をしずつ取らせて休ませていたのだ。
しかし、に1度か2度ふらりと実に顔をすだけの義妹にとっては違った。
たまに来て数分だけを見る彼女の目には、事が残っていることだけが介護の抜きとして映るのだ。
私は何も言い返さず、向かいの席に座る夫の俊夫を見た。
俊夫の顔を見れば、彼がどうっているかが分かるからだ。
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俊夫は聞から目をさなかった。
そして、彼は面倒臭そうにため息をつき、コーヒーをんだ。
「弓も母さんが配なんだよ。、悪く受け取るなよ。」
俊夫は目をわせずにそう言った。
その言だった。
私ので何かが音をてて切れたのは。
11、私は毎朝5に起き、義母のおむつを変え、体を拭き、着替えを伝ってきた。
夜も2おきに目を覚まし、体位を変え、咳込めば背をさすり続けた。
自分の眠は細切れになり、性な腰痛で湿布が放せなかった。
俊夫は隣の部で朝までいびきをかいて眠っている。
そして朝になれば、温かい朝がてくるのを待つだけだった。
「俺はで働いているんだから。」
俊夫はいつもそう言って席につく。
義妹は週末に果物を買ってくるだけで、親孝をしたという満顔で帰っていく。
夫婦だから、族だから。
そう自分に言い聞かせ、私は仕事を辞めてまでこの活を守ってきた。
義母の細い声だけが、私のを支えていたのだ。
「ありがとうね、ごめんね。」
けれど、夫の言葉を聞いた瞬、私のから全てのがすっと消えていくのをじた。
「悪く受け取るな。」
その言葉で、りすら湧いてこなかった。
ただ底れないたさだけが、全を包み込んでいく。
「そう。」
私はく言だけ返した。
声が震えることもなく、自分でも驚くほど落ち着いた声だった。
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俊夫と弓が、しだけ議そうな顔で私を見た。
いつもなら、私が必に説を始めるからだ。
「でもね、お医者様が……」
しかし今、私は説するのをやめた。
私は静かにちがり、リビングの隅にある棚へ向かった。
引きしをけ、1冊の分いファイルを取りす。
これは11き続けた、介護ノートの最版だった。
主治医の連絡先、訪問護の予定表、薬の種類、事の形態、緊急の対応。
全てを細かくき込んだ、私の11の結晶だ。
私はそのファイルを持ち、テーブルに戻った。
そして、弓の目のにドンと置いた。
「え、何これ?」
弓が顔をしかめた。
私はファイルのに、自分のエプロンのポケットからした自宅のスペアキーを置いた。
属のたい音が、静かなリビングに響いた。
「じゃあ、今からお願いね。」
私は弓の目を真っ直ぐに見て言った。
弓はポカンとをけ、瞬きを繰り返した。
隣に座る俊夫も聞からようやく目をし、訝しげな顔をした。
「ちょっとさん、どういう?いい?」
弓の声がずった。
私は表を変えず、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「お母さんが良くならないのは、私の介護が悪いからなんでしょう。」
私はファイルを指差した。
「だったら今から、弓さんが正しいお世話をしてあげて。」
俊夫が慌ててを乗りした。
「おい、いきなりになるなよ。
弓はちょっと見を言っただけじゃないか。
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