"「中卒は留守番してろ」と空港に置き去りにされた私――数時間後、高級旅館の女将が上司だけを追い返した" 第4話
内だけはしれた所で腕計を見ながら、本とい言葉を交わしていた。
搭乗続きが始まり、社員たちは順番に搭乗券を受け取った。最に澪が分証を提示すると、カウンターの係員が画面を確認したままを止めた。
「恐れ入ります。野澪様のお名では、この便のご予約を確認できません」
「団体予約のに入っているはずです。昨の夕方にも、担当者が発券状態を確認しています」
係員は予約番号を入力し直したあと、申し訳なさそうに首を振った。
「ほかの9名様は確認できておりますが、野様の航空券のみ、昨夜取り消されています」
周囲の会話が止まった。
「昨夜、ですか」
澪が聞き返すと、本の肩がさく揺れた。
内はすぐに本へ詰め寄った。
「どういうことだ。おが配したんだろう」
「す、すみません。最終確認のあと、僕が誤って取り消したのかもしれません」
「かもしれないじゃない。私と澪で名簿を確認したは、確実に入っていました」
篠原が声をげた。
「今から全員の便を変更しましょう。察責任者の澪がいなければ、祥館との約束に反します」
内は腕計を篠原のへ突きした。
「発まで40分もない。10分の変更料を、おが払うのか」
「会社の研修です。原因を確認してから判断するべきです」
「幹事の始末を会社に負担させるつもりか。
広告
これ以騒ぐなら、おがめている来期の商品企画からすぞ」
篠原の顔から血の気が引いた。内は事評価だけでなく、担当企画の割り振りも握っている。
「それは、この件と関係ないでしょう」
「司の判断に従えない社員へ、切な仕事は任せられないと言っているんだ」
周囲にいた社員たちも、言いたいことをのみ込むように黙っていた。1が搭乗案内の刻を気にし、もう1がさく「どうする」とつぶやいた。
澪は篠原のへた。
「先にってください。私は次の便を確認します」
「でも、澪が取った察でしょう」
「皆さんが遅れれば、旅館にも迷惑がかかります。現には私から連絡します」
「1で丈夫?」
「はい。声をげてくれたこと、忘れません」
篠原はまだ納得していなかったが、澪の目を見て、悔しそうにうなずいた。
内は全員を保検査へ急がせた。本は最まで何度も振り返っていたが、謝罪の言葉をにすることはできなかった。
やがて、企画部の社員たちを乗せた便が搭乗をれた。
澪は発ロビーの窓から、滑へ向かう体を見送った。腹の底にりはあった。しかし、ここで泣いたり、内を追いかけて話で責めたりしても、事実は残らない。
まず、何が起きたのかを確認する必がある。
澪はカウンターへ戻り、自分の航空券が処理された刻を尋ねた。
広告
係員は本確認のうえで記録を調べた。
「昨夜2317分、旅会社の法予約端末から取り消しと払い戻しがわれています」
偶然の操作ミスにしては、が遅すぎた。しかも、取り消されたのは察責任者である自分だけだ。
その、スマートフォンがく震えた。
内からのLINEだった。
〈卒は留守番してろ。おがいないほうが話がい。祥館には俺が説しておく〉
澪は文面を読み返し、送信刻と相のアカウント名が入るように全画面のスクリーンショットを保した。のためデータを自分のメールにも転送する。
これまでも、内の暴言や企画のき換えを記録してきた。それでも仕事で結果をせば、いつか態度が変わるかもしれないとっていた。
だが、会社の予約システムを使って航空券を消し、察から排除したうえで、自分の企画を奪おうとした。
これは指導でも、嫌がらせでもない。確な正だった。
澪は祥館の察承諾をいた。
そこには、察責任者である野澪の同を受入条件とすること、責任者のは察及び商談を始しないことが記されている。
澪は次の松便に空席があることを確認してから、母へ話をかけた。
「お母さん、予定どおりなら、みんなは先に祥館へ着く」
冴子は理由を尋ねず、続きを待った。
「私の航空券だけ、昨夜取り消されていた。今から次の便で向かうけど、私が着くまで察も商談も始めないで」
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
車いすの恋人に請求された三万三千円の「迷惑料」
交通事故で車いす生活となった恋人・明菜と、もう一度穏やかな日常を取り戻そうとしていた聡。明菜の誕生日、二人は思い出のフレンチレストランを訪れる。しかし待っていたのは、食事時間の一方的な短縮と、三万三千円もの「迷惑料」だった。因果応報|人生逆転|真相|修羅場2.8万字5 854 -
完結第20話
四十九日の絶縁
夫を突然亡くした三十七歳の裕子。悲しみに暮れる間もなく迎えた四十九日法要の日、帰宅した彼女を待っていたのは、ゴミ捨て場に放り出された自分の荷物だった。「息子が死んだら嫁は赤の他人よ!」そう言い放つ姑は、さらに幼い二人の子供まで裕子から引き離そうとする。だが、姑が三歳の息子だけを異常に可愛がる裏には、恐ろしい計画が隠されていた。子供たちを守るため、裕子は静かに反撃の準備を始める。そして数か月後、助けを求めて電話してきた姑に、裕子が告げた言葉とは――。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|介護2.3万字5 183 -
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 109 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 204 -
完結第10話
泥の作業着と誇り
高校卒業から十七年ぶりの同窓会。咲は、夫が農家だと話した途端、華やかな暮らしを自慢する同級生のレナから大勢の前で笑いものにされてしまう。「泥だらけの旦那なんて恥ずかしくないの?」心ない言葉に傷つきながらも、咲は「世界一自慢の夫よ」と言い返した。やがて、仕事帰りの夫・大地が泥のついた作業着で迎えに現れると、再び嘲笑が巻き起こる。しかし次の瞬間、幹事の西村が顔色を変え、夫に向かって深々と頭を下げた。誰も知らなかった大地の本当の姿が、少しずつ明らかになっていく。人生逆転|夫婦|真相|第二の人生|修羅場1.7万字5 552 -
完結第20話
消された十六番目の席
六十二歳の高田かず子は、亡き夫と二人で建てた家で、息子夫婦と暮らしていた。家事も生活費も負担し、家の中で自分の居場所を失いながらも、家族のために我慢を重ねてきた。ところが正月、十五人の親戚をもてなした末に、息子から「母さんの席はないから留守番で」と告げられる。嫁には「身内だけで楽しみたい」と笑われ、帰宅後の布団の準備まで押し付けられた。そんなかず子に、老舗寿司屋の大将から一本の電話が入る。因果応報|人生逆転|裡切られた|夫婦|親不孝|親子関係|修羅場2.6万字5 837 -
完結第20話
花嫁のいない結婚式
結婚式を翌日に控えた長谷川由衣は、胃痛を訴える婚約者・黒田瞬のために、心を込めて雑炊を作っていた。ところが彼の部屋の前で耳にしたのは、「あいつはただの身代わりだ」という残酷な本音。三年間の愛情も、婚約指輪も、純白のドレスも、すべて元婚約者の代わりだったと知った由衣は、誰にも告げず空港へ向かう。翌朝、二百人の招待客が待つ式場に花嫁は現れなかった。人生逆転|真実|裡の顔|第二の人生|修羅場2.9万字5 628 -
完結第23話
孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由
七十二歳の幸子は、亡き夫と建てた家で息子夫婦と孫の蓮斗と暮らしていた。学費も生活費も援助し、家事まで引き受けてきたのに、いつしか家族から「居候」のように扱われるようになる。ある夜、孫に胸ぐらをつかまれても、息子は助けてくれなかった。翌朝、幸子は弁当も朝食も作らず、黙って家を出る。しかし家族はまだ知らなかった。人生逆転|祖父母と孫|第二の人生|ATM扱い|絶縁3.1万字5 1195 -
完結第16話
四万円を断った朝
同僚に裏切られ、二千万円近い借金を背負った大橋拓人。再就職の面接へ向かう朝、雨の道路でパンクした車を見つけ、遅刻を覚悟でタイヤを交換する。女性から差し出された四万円を断り、代わりに面接先まで乗せてもらった拓人。しかし会社に到着すると、受付の社員たちが彼女に深々と頭を下げた。職場逆転|人生逆転|真相|修羅場2.5万字5 1093 -
完結第20話
昼寝ばかりの嫁が、潰れかけの餅屋を救うまで
借金四千三百万円を抱え、閉店寸前の老舗餅店。家族が寝る間も惜しんで働く中、嫁の美穂だけは店の隅で昼寝を続けていた。 ところが大口注文で二百万円を売り上げても、残ったのは六十万円の赤字。美穂は帳簿を分析し、赤字商品や無料配達、掛け売りを次々と整理していく。因果応報|人生逆転|嫁姑|親子関係|修羅場2.6万字5 400