"四十九日の780万円" 第5話
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完結第10話
臨月の妻に親族30人分の法事料理を作らせていた母
臨月を迎えた妻を家に残し、出張へ出ていた夫。ところが予定より3日早く帰宅すると、台所には親族30人分の料理が並び、その横で妻が床に倒れていた。事情を聞けば、母は翌日の法事のために「嫁なんだから当然」と、身重の妻へ朝から料理を作らせ続けていたという。怒鳴りつけてもおかしくない状況だった。それでも夫は母を責めなかった。ただ妻を抱き上げ、病院へ向かう前に静かに告げる。「法事は予定通りやっていい」。母が安心した次の瞬間、夫は続けた。「ただし明日は、俺たち夫婦は一切参加しない」。その一言を境に、母が長年“家族のため”と押しつけてきたものが、次々と返され始める。嫁姑|親子関係1.5万字5 2207 -
完結第20話
遺産は腐った倉庫だけ
父・正一を8年間介護した次男の浩司。しかし遺言で、兄の裕二には家、田畑、預金、車が渡され、浩司に残されたのは荒れ果てた倉庫と、4時20分で止まった腕時計だけだった。兄夫婦に家を追い出され、娘の大学入学金82万円さえ用意できない浩司。四十九日にも仏壇へ入れてもらえず、家族で倉庫に父を供養した時、作業台の奥にある西壁から不自然な音が響く。壁の中から現れた鉄扉と巨大な金庫。父が時計に隠した暗号を解いた時、兄が見下した遺産の本当の価値と、20年前から封じられていた家族の秘密が動き始める。親子関係|介護|金銭問題3.0万字5 248 -
完結第14話
親孝行214点の姉が降りた日
父の三回忌を終えた日、長女の恵子は突然、家族の前に一枚の表を広げた。 「今日から、お母さんへの親孝行は全部点数にします」 通院の付き添い、買い物、掃除、泊まりの見守り。母を支えた行動には点数がつき、断れば減点される。最初は姉の暴走にしか見えなかったその制度は、やがて家族の不満と過去の傷を次々に浮かび上がらせていく。 さらに母の通帳から消えた18万円、父が残した《お願い》のノート、そして破られていた最後のページ。 半年後、母が本当に倒れた夜、誰よりも高い点数を取っていた恵子は静かに告げる。 「私、もうお母さんとは同居しない」 親孝行とは何なのか。 誰かを支えることに、点数をつけた家族が最後に知った“数字にできないもの”とは――。兄弟姉妹|親不孝|親子関係2.0万字5 231 -
完結第14話
ハワイへ行った夫の離婚届
認知症で要介護認定を受けた義父・利光を、自宅で介護することになった美香。 「父さんを施設には入れたくない」と言った夫・直人を信じ、美香は仕事を辞め、義父の介護に向き合ってきた。けれど直人は次第に手を貸さなくなり、介護はすべて美香一人の負担になっていく。 そんなある日、直人は突然テーブルの上に離婚届を置き、浮気相手と1週間のハワイ旅行へ出かけてしまう。しかも手紙には、離婚後も父親の介護だけは続けてほしいと書かれていた。 絶望する美香の前で、認知症の義父が一瞬だけ意識を取り戻したように、ある封筒を差し出す。 「これを、木村さんに」 翌日、介護士の木村愛菜がその手紙を読んだ瞬間、物語は大きく動き出す。 夫に捨てられたと思っていた美香。しかし義父は、ずっと前から彼女を守るための準備を進めていた――。第二の人生|絶縁|介護|認知症|不倫2.0万字5 938 -
完結第11話
消えた指輪と義父の手帳
結婚2年目の美咲は、義母・富美子から突然、亡き義父が贈った大切な指輪を盗んだと疑われる。 防犯カメラには、夜中に美咲が仏間へ入る姿が映っていた。だが美咲は、ただ窓を閉めただけ。身に覚えのない疑いをかけられたうえ、夫の亮介までもが「バッグを見せれば終わる」と言ったことで、美咲は家を出る決意をする。 しかしその後、義姉から告げられたのは、7年前にも同じような“盗難騒ぎ”があったという事実だった。 さらに、亡き義父の手帳には、富美子が隠し続けてきた家族の秘密が残されていた。 消えた指輪は、誰が持ち出したのか。 そして義母はなぜ、真実を知りながら美咲を疑い続けたのか――。嫁姑|真実|親子関係1.6万字5 722 -
完結第11話
貧乏人と呼ばれた食卓
長男夫婦が3連休に帰省し、久しぶりに家族で食卓を囲むはずだった。 母の真紀子は、息子夫婦のために煮物や豚汁を用意し、昔と変わらない温かい夕飯を作ろうとしていた。ところが、台所で2人きりになった瞬間、長男嫁の美沙は笑いながら言い放つ。 「あんたの手作りとか無理だから、高級寿司出せよ、貧乏人」 その一言で、これまで見過ごしてきた違和感が一気に表へ出る。人を持ち物や育ちで見下す美沙の本性。そして、真紀子の過去まで侮辱された時、普段は温厚な夫・隆志が静かに立ち上がった。 「今日限りで絶縁だ」 さらに隆志が呼び出した“ある男”の登場によって、美沙の家庭に隠されていた価値観と金の問題まで明らかになっていく。 古い皿、手作りの料理、そして家族として本当に大切なものとは何か。 一度壊れた食卓から、それぞれの人生が大きく動き出す――。絶縁|親子関係1.7万字5 1503 -
完結第10話
退職祝いは「孫の勤務表」
42年間勤めた会社を退職したその夜、62歳の高橋信夫は、娘夫婦から一枚の紙を渡された。 そこに書かれていたのは、退職祝いの言葉ではなく、《おじいちゃん担当表》。孫の送迎、夕食作り、買い出し、風呂と寝かしつけ――信夫の自由になったはずの時間は、家族によって勝手に埋められていた。 さらに、娘夫婦は一時的な滞在のはずが、期限のない同居を考えていた。信夫の書斎は孫の部屋にされ、保育園の書類には本人の知らない署名まで残されている。 「家族のため」という言葉の裏で、誰の時間が犠牲にされていたのか。 退職後の人生を奪われかけた父が、自分の居場所と家族との距離を取り戻していく物語。親不孝|第二の人生|親子関係1.6万字5 4 -
完結第10話
「無職の父」と呼ばれた6年間
「無職のあなたに、病気のある子どもを育てられると思う?」 妻・美咲からそう言われた佐伯公平は、言葉を失った。10歳の息子・悠人は、4歳の頃から1型糖尿病と向き合っている。血糖値の確認、食事管理、通院、学校との連絡――そのすべてを6年間支えてきたのは、公平だった。 しかし妻は、安定した収入を理由に息子を連れて出ていこうとしていた。さらに、悠人にはすでに新しい部屋や転校の話まで伝えられていた。 父親として過ごしてきた時間は、「無職」という一言で消されてしまうのか。 公平は、6年間の連絡帳と医療記録を手に取る。そこには、誰にも見えなかった父と息子の日々が残されていた。 親権をめぐる争いの中で明らかになる、夫婦のすれ違い、息子の本当の気持ち、そして“家族”の形。 これは、父親として生きてきた時間を取り戻すための、静かな戦いの物語。人生逆転|夫婦|親子関係1.5万字5 317 -
完結第10話
米寿の席で外された嫁
米寿祝いの席で、義母は親族の前で突然言った。 「秋子さんには、明日から店へ来てもらわなくて結構です」 33年間、朝早くから和菓子店《松月堂》を支えてきた秋子。餡を練り、注文を管理し、繁忙期には夜まで働いてきた日々は、義母の一言で“家族の手伝い”として片づけられた。 しかも店から外された秋子に、今度は義母の通院や世話を任せるつもりだった。 何も言わず席を立ったその夜、秋子は古い段ボール箱の中から、亡き義父が残した一通の封筒を見つける。 そこに入っていたのは、秋子を守るための遺言ではなかった。 店の帳簿に隠されていた不自然な金の流れ、説明されていない借金、そして義父が最後まで言えなかった家族の秘密。 「家族だから」という言葉の下で、誰が何を背負わされていたのか。 33年間奪われてきた時間と仕事の価値を、秋子が静かに取り戻していく物語。人生逆転|嫁姑|親子関係1.5万字5 1880