"旅行代を全額68万円出したのに現地で「年寄りはすぐ疲れて足手まとい」と別行動された" 第6話
止まった25万円
「分かりました。では、もうしません」
私はスマートフォンをに取り、のアプリをいた。毎25に設定してある定額自送を選び、解除の画面へむ。確認番号を入力すると、《次回以の送を止しました》という文字が表示された。
直が子を鳴らしてちがった。
「母さん、何を止めたんだ」
「あなたの座へ送っている、毎25万円です」
美咲が夫を見る。
「25万円って、何のこと?」
「今ここでする話じゃない」
直は私のスマートフォンへを伸ばしかけたが、私は画面を伏せてバッグの横へ置いた。
8、直が勤めていた会社を辞め、父親のグループへ入り直したころ、活が定するまでという約束で援助を始めた。宅ローンとの事業の理がなり、料だけでは厳しいとをげられたからだ。
最初の送をした、直は私の自宅まで来て、「必ず自分でて直す」と何度もをげた。私は返済を求めず、その代わり毎、活の見通しだけは説するよう約束させた。だが、彼が持ってくる答えはいつも「来には昇する」「あと1だけ待ってほしい」だった。
最初は2の予定だった。それが、もうしだけ、役職ががるまでと延び、気づけば8になっていた。毎25万円、300万円。これまでに送った額は2400万円になる。
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「あれは、お義母さんからだったの?」
美咲の唇が震えた。
「直は、管理職に支される宅当だと言っていました。だから私は、会社員の妻としてにるも必だって……」
美咲のバッグも、昨着ていたコートも、私の古いバッグよりはるかに価だった。何を買うかは本の自由だとっていたが、その暮らしを支えるのどころさえらなかったらしい。
「来からは入りません」
「急に止められたら困る」
直の声には、謝罪より先に満がにじんだ。
「宅ローンもあるし、美咲は今仕事をしていない。俺の料だけでは、今までどおりには暮らせない」
「今までどおりに暮らす必があるの?」
「母親なら、息子が困ると分かっていて見捨てるのか」
美咲はからスマートフォンを拾い、計アプリをいた。画面には宅ローン、のリース、カードの支払い予定が並んでいる。彼女は今まで、その計を直の与と会社当で賄えているとっていたのだろう。指をかすほど、表がくなっていった。
「25万円がなくなったら、今から赤字になるわ。どうして8も受け取っていたことを黙っていたの?」
「昇すれば返せる。役員になれば問題ない」
直は私ではなく、美咲に向かってそう言った。反省ではなく、まだ得ていない役職を担保にしてを稼ごうとしていた。
その言葉に、胸の奥がわずかに痛んだ。だが私は、痛みを理由に判断を戻さなかった。母親だから8支えた。母親だからこそ、のを自分の力だとい込ませたままにはできない。
「見捨てるのではありません。47歳の夫婦が、自分たちの収入で暮らすように戻すだけです」
美咲は青ざめたまま、直へ問いかけた。
「じゃあ、この旅の68万円も、毎の25万円も、あなたのおじゃなかったの?」
直は返事をしなかった。
私は古いバッグから封筒を取りした。旅、直に今の活設計を確認するつもりで持ってきた、過の援助記録だった。
「それだけではありません。今んでいるマンションを買ったとき、の3000万円をしたのも私です」
美咲のから、スマートフォンが滑り落ちた。
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