"「昔みたいに頼むよ」と元夫は言った" 第2話
しかし受付記録を確認すると、職員は個番号を教えていなかった。
「どうやってったの?」
隆弘はしばらく黙り、澄の古い通院ファイルに私の名刺が挟まっていたと説を変えた。私は婚、その名刺を渡した覚えがない。
には、主介護者欄を無効として扱い、私の個報を相談記録から必な範囲以へ複写しないよう依頼した。施設にも過の関係を報告し、入居判定と料交渉かられることを正式に記録した。
《こもれび館》は、私が責任者だから自由にを入れたり断ったりできる所ではない。介護度、医療ケア、空、本の、支払い方法を確認し、判定会議で決める。元姑だから拒絶すれば、私自が職務を私物化することになる。
澄は76歳になっていた。半に自宅で転び、腰椎を圧迫骨折した。退院は杖で歩けるが、糖尿病の薬と事管理が必で、暮らしへのがある。認能にきな問題はなく、自分の希望を話せる状態だった。
の報告では、澄は「息子の族と同居するまでの期」だけ入居したいと言っている。方、隆弘は期入居を希望し、自宅へ戻す予定はないと答えていた。親子の認識が致していなかった。
さらに、額費用の支払いについて、隆弘は澄のと自宅売却で賄うと説した。
広告
澄はを売る話を聞いていないと否定した。
私はへ、本と族を分けて面談し、所財産の処分について施設が同を誘導しないよう伝えた。介護施設は産売却の代理ではない。判断能力がある本のが優先される。
そのの夕方、澄が私の事務へで来た。「隆弘が、ここならあなたが面倒を見てくれると言ったの。だから来たのよ」
「私は個別の介護担当にはなりません」
「婚しても、22も族だったでしょう」
「その22、私は族だから無料でやるのが当然だと言われました。ここでは職員が仕事として支援します」
澄は唇を震わせ、「昔のことを根に持って」と言った。私は、根に持つことと同じ役割へ戻らないことは違うと答えた。
帰宅、私は暮らしの台所で噌汁を作った。婚、澄は具の切り方までをした。今の部では、豆腐をきく切っても誰も責めない。それだけのことをに入れるまで、私はいを使った。
翌朝、施設の個報管理担当から連絡があった。私の携帯番号は、半に《族からの報》として澄の見学予約メモへ入力されていた。入力したのは非常勤受付の女性で、隆弘から「責任者本の承を得ている」と説されたという。
隆弘は、最初から私がここにいるとったで施設を選んでいた。
広告
個番号が漏れた経を調べるため、施設は受付通話とアクセス履歴を確認した。隆弘は代表話へ3度かけ、私が籍する曜まで聞きそうとしていた。受付の女性は番号を教えなかったが、折り返し連絡用として隆弘から聞いた番号を見学メモへ入力し、それが私の番号だった。
つまり施設から漏れたのではなく、隆弘が別の方法でっていた。、共通のである元隣が、賀状の所変更連絡を隆弘へ転送していたと分かった。私は況を伝えてよいとは頼んでいなかったが、は元夫婦だから問題ないとったという。
私はを責め続けず、今連絡先を渡さないよう確に頼んだ。施設も、第者が本の承を主張しても、職員の私連絡先を相談票へかない順に変えた。
隆弘は、番号つで騒ぎすぎだと言った。しかし婚、彼から夜に澄の薬や通院について話が来た期がある。番号を変えたのは、その役割を終わらせるためだった。
度切った連絡を、彼は施設への入居という形でつなぎ直そうとしていた。それを善の再会と呼ぶことはできなかった。
施設同席で、隆弘へ説を求めた。彼は、澄が私を信頼しているからできるとったと答えた。だが見学予約の通話記録には、別の説が残っていた。
《元妻が責任者なので、夜の急変や通院にも融通が利く》《族がけないは彼女へ直接頼める》《費用も職員割引が使えるかもしれない》
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由
32歳の玲奈は、3年ぶりに実家へ帰り、弟の妻・南が別人のように痩せていることに驚く。夕食の席でも南の前には料理がなく、家族は誰も気に留めない。その深夜、台所で物音を聞いた玲奈は、ゴミ箱を漁る南の姿を目撃する。「食べられるものを探していました」――その言葉をきっかけに、母と弟が南に強いていた異常な暮らしが明らかになっていく。さらに、南が隠し持っていた手帳には、翌朝に迫る恐ろしい約束が記されていた。玲奈は弟嫁を守るため、信じていた家族と向き合う決意をする。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|修羅場2.4万字5 40 -
完結第11話
新婚初夜の裏切り
結婚式を終えた夜、美香はホテルの浴室から、夫の健太が自分のバッグを探る姿を目撃する。持ち去られたのは、父から贈られた1億円の預金口座のキャッシュカードだった。翌朝、健太は「弟の用事がある」と言ってホテルを出ていく。以前から義母と義弟は、8800万円の新居を欲しがっていた。まさか、私のお金で家を買うつもりなの? 夫を問い詰めず、黙って様子を見る美香。やがて不動産会社から、思いもよらない電話がかかってくる。結婚初日に露わになる夫の本性と、美香が密かに用意していた対抗策とは。兄弟姉妹|夫婦|ATM扱い|金銭問題1.8万字5 40 -
完結第16話
二人きりのはずだった旅行
結婚以来、義母のわがままと、それを当然のように受け入れる夫・俊也に振り回されてきた由香。二人きりの結婚記念日旅行まで義母に台無しにされた翌年、夫は「今度こそ二人だけで行こう」と約束する。ところが出発当日、玄関には大きな旅行鞄を抱えた義母の姿が。「家族なんだからいいだろ」と開き直る夫に、由香は思い切った行動に出る。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題3.0万字5 775 -
完結第18話
夜勤明けに鍵を替えられた私
看護師長として働く千歳は、後輩に昇進で追い抜かれ、仕事を休みがちになった夫・徹を支えようとしていた。ところが徹は次第に横柄になり、家事を押しつけ、「妻なら夫に従え」と言い始める。そんなある朝、夜勤を終えて帰宅した千歳は、玄関の鍵が替えられていることに気づく。「ダメ嫁への躾だ。謝れば入れてやる」と笑う夫に、千歳は「あっそ。さようなら」とだけ告げて立ち去った。妻が本気で戻らないと知った徹は、どんな行動に出るのか。自分の人生を取り戻そうとする女性の再出発を描く物語。人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題2.6万字5 104 -
完結第10話
もやしと消えた仕送り
フリーランスのデザイナーとして働く里見は、一人暮らしの母・春江に毎月10万円を仕送りしているつもりだった。ところが、久しぶりに訪ねた実家で目にしたのは、冷やご飯ともやしだけの寂しい食卓。母は仕送りなど一度も受け取っていないと言う。家計を任せていたのは、優しく頼りになる夫の久し。疑念を抱いた里見が夫のスマホを確かめると、そこには信じがたい送金記録と、妻をあざ笑うメッセージが残されていた。さらに、夫が隠していた給与明細にも不可解な数字が……。信じていた家族の裏切りを知った里見の反撃が始まる。裏切られた|嫁姑|親子関係|金銭問題1.5万字5 71 -
完結第20話
夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転
夫・達也の専務昇進を喜んだ美桜。ところが父に報告すると、返ってきたのは祝福ではなく、「財産をすべて母さんの名義に移しなさい」という不可解な指示だった。昇進を境に夫は横柄になり、義母まで豪邸と通帳を自分たちのもののように扱い始める。さらに、高額な宝石の領収書や会社の不審な資金移動が見つかり、美桜は夫の裏の顔を知っていく。嫁姑|夫婦|金銭問題2.5万字5 109 -
完結第20話
「子なし」と笑われた私に、姪が吹雪の夜に土下座した
43歳の望は、子どもがいないことを理由に、義兄夫婦から嫌味を言われ続けていた。そんな望を慕ってくれるのは、8歳の姪・メイ。しかし正月の夜、猛吹雪の中、幼い妹を背負ったメイが望の家を訪ねてくる。「三千円だけ貸してください。大きくなったら返します」そう言って床に頭を下げる少女。事情を聞いた望と夫の剛は、義兄夫婦が隠してきた恐ろしい実態を知る。因果応報|人生逆転|嫁姑|第二の人生|絶縁1.9万字5 554