"義母に通帳を渡さなかった妻" 第9話
おすすめ作品
-
完結第11話
息子に捨てられた母の逆転
「お母さん、今日は少し外へ出ませんか」 息子夫婦に誘われ、70歳のはる子は雪の降る夜、車の後部座席へ乗った。 ところが車は町を離れ、山沿いの介護ホームの前で止まった。 「数日だけ、ここで休んでください」 そう言われた時、トランクから自分のスーツケースが出てきた。 荷物はいつの間にか詰められ、携帯電話は嫁に取り上げられた。 息子は「また来るから」と言い残し、母を301号室へ置いて帰った。 翌日、嫁は面会に来るなり尋ねた。 「通帳はどこですか? 実印は?」 さらに、見覚えのない白い錠剤を「いつもの薬」として渡してきた。 はる子は黙って薬を受け取り、認知症のふりを始めた。 そして翌日の病院で、嫁が電話口で話す声を聞く。 「診断が出たら、家も通帳も動かしやすくなるでしょう」 はる子はその会話を、コートの内側に隠した一本の録音機へ残していた。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|介護|金銭問題1.7万字5 0 -
完結第12話
夫に「姉のふり」を頼まれた日
「30分だけ、俺の姉ということにしてくれ」 妊娠7か月の奈緒が夫の昇進祝いへ行くと、夫の隣には淡い青のドレスを着た若い部下が座っていた。 社員たちは彼女を「奥様」と呼び、「来年の結婚が楽しみですね」と祝福していた。 夫は社内で、奈緒とは離婚協議が終わっていると説明していたのだ。 「じゃあ、お腹の子はあなたの姪ということ?」 その時、若い部下が廊下へ現れた。 夫は慌てて、奈緒が別の男の子を妊娠し、自分につきまとっているのだと言い出した。 奈緒は黙って、その日の朝に届いたメッセージを見せた。 《帰ったら赤ちゃんの名前を決めよう》 《日曜日はベビーベッドを見に行こう》 部下の顔から血の気が引いた。 しかし会場のスクリーンに映し出された夫の受賞企画を見た瞬間、奈緒はさらに重大な嘘に気づく。 それは2年前、彼女が自分の名前で作ったはずの企画だった。怒り|夫婦|第二の人生|不倫1.8万字5 32 -
完結第15話
兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知
挙式15分前、新郎控室で待っていたのは、白いタキシード姿の兄1人だった。「結婚も、式も、全部ドッキリだったって」。婚約者の父は銀行会長。その家族が送りつけた80秒の動画には、兄を嘲る笑い声が残っていた。23年前から親代わりになり、私を育ててくれた兄が、今度は自分の幸せを選ぼうとしただけなのに。兄の隣に座った私は動画を保存し、財務責任者へ電話をかける。「じゃあ、預金300億、全額解約で」。銀行一家が見下していた妹は、美容企業グループの創業者兼会長だった。だが、私がその銀行に会社の資金を預け続けていた理由を、彼らは知らない。答えは、兄が保管していた古い茶封筒の中にあった。夫婦|親子関係2.1万字5 744 -
完結第11話
母が残した最後の住所
母を亡くした14歳の俺には、頼れる人が誰もいなかった。 父は幼い頃に亡くなり、母は朝から夜まで働き続けていた。 葬儀の後、親戚にも「うちでは面倒を見られない」と断られた。 一人になった部屋で母の遺品を整理していると、古い桐の箱から一枚のメモが出てきた。 《本当に一人になった時だけ、この場所へ行きなさい》 書かれていた住所は、隣の市の山手にある大きな屋敷だった。 俺は制服のまま、片道2時間近くかけてその場所へ向かった。 石造りの門柱には、母が一度も口にしたことのない名字が刻まれていた。 帰ろうとした、その時。 重い門がゆっくり開き、黒い服の老人が現れた。 老人は俺の顔を見るなり、深く頭を下げた。 「坊っちゃま、お待ちしておりました」 母が隠していたのは、いったい何だったのか。 (続)人生逆転|相続|第二の人生|金銭問題1.7万字5 0 -
完結第10話
空っぽの弁当箱
「5万円の居候でしょ?」 そう笑われながら、58歳の私は毎朝5時に起き、息子一家4人分の弁当を3年間作り続けた。 息子の好物、嫁の職場向けの彩り、孫の部活用のおにぎりまで、全部私が考えていた。 食費や学校用品も、足りない時は自分の財布から払った。 それでも家族から返ってくるのは、「家事くらいちゃんとしてよ」という言葉だけ。 迎えた58歳の誕生日、誰も私の誕生日を覚えていなかった。 「今日で、この家の家事係を降ります」 そう告げても、息子は「またすねてる」と笑った。 その夜、私は誰にも何も言わず、自分の荷物だけをまとめた。 翌朝、台所に並んでいた4つの弁当箱は、すべて空っぽだった。 冷蔵庫には、短いメモが一枚だけ残されていた。 そして家族は初めて、私が毎月5万円以外に何をしていたのかを知ることになる。因果応報|人生逆転|嫁姑|第二の人生|親子関係|金銭問題1.4万字5 4 -
完結第12話
追い出された妊婦の家
「妊婦が広い家を独占する必要はない。嫌なら、お前が出ていけ」 妊娠8か月の健診から戻ると、赤ちゃんの部屋が義妹一家の寝室になっていた。 ベビーベッドは分解され、私の仕事机まで段ボールで埋め尽くされていた。 姑は「離婚した娘を家族で助けるのは当然」と言い、相談もなく泊まり込みを決めていた。 夫まで笑いながら言った。 「お前は実家で産めばいい。空いた部屋を使って何が悪い」 私は翌朝までに全員を退去させるよう求めた。 しかし夫は「この家は夫婦のものだ」と聞く耳を持たなかった。 私は反論せず、その夜だけ家を出た。 翌朝、母と会社の先輩を連れて自宅へ戻った。 そして食卓に、登記事項証明書と退去を求める通知を置いた。 「何だよ、これ。結婚したら家の半分は俺のものだろ?」 夫はまだ、自分が6年間暮らしてきた家の名義を知らなかった。 書類の《所有者》欄に記されていたのは、私一人の名前だった。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦1.8万字5 41 -
完結第15話
「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ
「子供3人は全員お前が連れてけ」。離婚を切り出した恵美に、夫はそう言い放ち、同居の義母も「やっと静かになる」と笑った。仕事部屋を奪われ、子供たちの進路や楽しみまで制限されてきた家で、長男は静かに告げる。「その言葉、忘れないでね」。子供たちは全員、母と暮らすことを選んだ。ところが転居から1週間後、夫と義母から一晩で80件の着信が届く。洗濯、食事、通院、そして家の支払い。戻れと迫る夫は、恵美の新居の家賃が月28万円だと知り、借金を疑い始める。「内職」と見下していた妻の仕事は、本当は何を支えていたのか。恵美は家計簿と口座の明細を並べ、夫が見ようとしなかった数字を確かめていく。夫婦|親子関係2.2万字5 1859