"金メダル会見で、私は母の嘘を暴いた" 第9話
私をベランダから落としたことや、当交際していた男性について話していました」
「都、やめなさい!」
織が私の腕をつかもうとした。
私は体を引いた。
会が気に騒然となった。
「違うんです!」
織はカメラへ向かって叫んだ。
「この子、事故のショックで記憶が混乱してるんです!」
私は織の方を見た。
「録音があります」
織のが止まった。
「それから、当私に額な保険がかけられていたことも分かりました。警察にも相談しています」
記者たちが斉に質問を投げ始めた。
「保険目だったということですか?」
「捜査は始まっているんですか?」
「お母様は事実を認めていますか?」
私はをげた。
「まだ捜査なので、私から断定して話せないこともあります。ただ、つだけ訂正したかったんです」
私は織を見た。
「母は、事故の私を育てていません」
織は青ざめていた。
「私が退院するにいなくなりました。私を育ててくれたのは父と祖父母です。陸を教えてくれたのはコーチです。母が戻ってきたのは、私が代表候補になり、テレビにるようになってからです」
「違う、違うの!」
織は首を振った。
「私は本当に都をして――」
「じゃあ、どうして私を使ってCMにようとしてたの?」
織が黙る。
私は続けた。
「パラリンピックでメダルを取れば私を使って稼げるって、話で話してたよね」
広告
再びフラッシュがった。
司会者が慌てて会見を終わらせようとした。
私は最に言だけ言った。
「私は母を攻撃してほしくて話したわけではありません。ただ、私のをの作った『の親子物語』にされたくなかった。それだけです」
そのの夜、世界のニュースが私の会見を報じた。
そして織が見ていた「名な母親」という願いは、最悪の形で現実になった。
会見の反響は、私の像をはるかに超えた。
SNSには切り抜き画が広がり、国内のメディアが過の事故を調べ始めた。織がこれまで語っていた「事故も娘へ寄り添い続けた母」という話と、実際には私が入院にをていたという事実の矛盾も次々に報じられた。
当然、批判は激しかった。
私は何度も取材を求められたが、捜査へ響する能性があるため、それ以詳しい発言は控えた。瑞穂さんからも「競技者として話すことと、事件について話すことを分けなさい」と言われた。
織は当初、全面に否定した。
《娘は過の事故で記憶が混乱している》《私は娘をしている》《名になった娘の周囲にいるから吹き込まれたのではないか》
代理を通じて、そんな主張までした。
しかし状況は変わった。
政が正式に詳細な供述を始めたのである。
事故当、織は父との関係が悪化しており、政と暮らすことを考えていた。
広告
しかし婚となれば、父名義の資産をうように得られない能性があった。
そこで織は、私に保険をかけた。
最初からさせるつもりだったのか、それともきな怪を負わせる計画だったのかについて、政と織の説はい違った。だがなくとも、事故ではなかったことを示す証言と銭の流れが次々に確認された。
政は、織が私をベランダへ連れしたと証言した。
ジャイアンツの選カードを餌にして。
その言葉を聞いたとき、私は吐き気がした。
子どもの頃の自分が切にしていたものを利用された。
さらに政は、転落直に織が取り乱したのは「娘が怪をしたから」ではなく、「っていた展と違ったから」だったと話した。
私はそれ以聞くのをやめた。
る必のある事実と、ったところで自分を傷つけるだけの細部は違う。
最終に織と政は、当の事件について捜査対象となり、柄を確保された。
ニュースは再びきく報じられた。
私の会見を見た々からは、織に対する激しい批判が集した。には脅迫な内容まであり、私は取材を通じて「誰かを傷つけることは望んでいない」とはっきり伝えた。
私は復讐したかったわけではない。
ただ、本当のことをりたかった。
そして嘘の母娘物語に、自分のメダルまで利用されたくなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第16話
24年育てた息子の結婚式に、私の席はなかった
夫が別の女性との間にもうけた息子を、24年間育ててきた53歳の森田恵子。スーパーで働き、医学部の学費を支えてきた彼女に、結婚式の前夜、息子は告げる。「親族席には実母が座るから、母さんは来ないで」。夫も息子をかばい、恵子の欠席を体調不良のせいにしていた。翌朝、「一般席なら用意できる」と呼び戻そうとする夫を、恵子はきっぱり断る。息子の荷物を返し、今後の援助を見直し始めた矢先、家計の口座から相談もなく50万円が送られていたと知る。振込先は、新婦の父親だった。夫がその金で納得させたという「説明」とは何か。黒留袖を畳んだ母は、家族に消された自分の時間を取り戻すため、記録をそろえ始める。親子関係2.2万字5 726 -
完結第11話
息子に捨てられた母の逆転
「お母さん、今日は少し外へ出ませんか」 息子夫婦に誘われ、70歳のはる子は雪の降る夜、車の後部座席へ乗った。 ところが車は町を離れ、山沿いの介護ホームの前で止まった。 「数日だけ、ここで休んでください」 そう言われた時、トランクから自分のスーツケースが出てきた。 荷物はいつの間にか詰められ、携帯電話は嫁に取り上げられた。 息子は「また来るから」と言い残し、母を301号室へ置いて帰った。 翌日、嫁は面会に来るなり尋ねた。 「通帳はどこですか? 実印は?」 さらに、見覚えのない白い錠剤を「いつもの薬」として渡してきた。 はる子は黙って薬を受け取り、認知症のふりを始めた。 そして翌日の病院で、嫁が電話口で話す声を聞く。 「診断が出たら、家も通帳も動かしやすくなるでしょう」 はる子はその会話を、コートの内側に隠した一本の録音機へ残していた。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|介護|金銭問題1.7万字5 220 -
完結第15話
兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知
挙式15分前、新郎控室で待っていたのは、白いタキシード姿の兄1人だった。「結婚も、式も、全部ドッキリだったって」。婚約者の父は銀行会長。その家族が送りつけた80秒の動画には、兄を嘲る笑い声が残っていた。23年前から親代わりになり、私を育ててくれた兄が、今度は自分の幸せを選ぼうとしただけなのに。兄の隣に座った私は動画を保存し、財務責任者へ電話をかける。「じゃあ、預金300億、全額解約で」。銀行一家が見下していた妹は、美容企業グループの創業者兼会長だった。だが、私がその銀行に会社の資金を預け続けていた理由を、彼らは知らない。答えは、兄が保管していた古い茶封筒の中にあった。夫婦|親子関係2.1万字5 1069 -
完結第12話
嫁の「逃げて」で暴かれた妻の計画
「お義父さん、今すぐ車を降りてください。絶対に奥さんのところへ戻らないで」 妻との旅行中、ほとんど電話をしてこない嫁から突然そう告げられた。 「食べ物も薬も、絶対に口へ入れないでください」 私は妻が差し出した、水なしで飲める白い錠剤を思い出した。 トイレへ行くふりをして車を降り、観光バスの陰まで必死に走った。 やがて駐車場へ出てきた妻は、笑顔を消し、鋭い目で私を捜し始めた。 嫁の車へ逃げ込むと、一通の誤送信メールを見せられた。 《サービスエリアを過ぎたら薬を飲ませる。お兄ちゃんからそっちに連絡を入れておいて》 その夜、妻が持ってきた私の旅行鞄を開けると、底から見覚えのない書類が出てきた。 山間部にある介護施設のパンフレット。 入所予定者の欄には、私の名前と病歴が記されていた。 《認知機能の低下》《本人に病識なし》《今週末に入所予定》 そして保護者欄には、息子でも妻でもない、私の知らない男の名前が書かれていた。人生逆転|夫婦|真実|裡の顔1.7万字5 0 -
完結第12話
失踪した妻を道の駅で見つけた――「来ないで」と怯えた理由
「パパ、あの人……ママじゃない?」 半年前に消息を絶った妻が、山あいの道の駅で宝くじを売っていた。 車椅子に座り、別人のように痩せていた。 娘が「ママ!」と駆け寄ると、妻は青ざめて叫んだ。 「来ないで! 私はあなたたちを知らない!」 だが左手には、私が贈った結婚指輪。 そして手の甲には、見慣れた2つのほくろがあった。 「本当は、ずっと会いたかった」 妻は泣きながら娘を抱きしめた。 その直後、震える声で私に告げた。 「私が帰ったら、あなたと杏奈まで消される」 さらに宝くじ箱を差し出し、底を指さした。 そこには、妻が消息を絶った夜の“声”が残されていた――。 (続)因果応報|人生逆転|夫婦|真実|第二の人生|親子関係1.9万字5 638 -
完結第10話
空っぽの弁当箱
「5万円の居候でしょ?」 そう笑われながら、58歳の私は毎朝5時に起き、息子一家4人分の弁当を3年間作り続けた。 息子の好物、嫁の職場向けの彩り、孫の部活用のおにぎりまで、全部私が考えていた。 食費や学校用品も、足りない時は自分の財布から払った。 それでも家族から返ってくるのは、「家事くらいちゃんとしてよ」という言葉だけ。 迎えた58歳の誕生日、誰も私の誕生日を覚えていなかった。 「今日で、この家の家事係を降ります」 そう告げても、息子は「またすねてる」と笑った。 その夜、私は誰にも何も言わず、自分の荷物だけをまとめた。 翌朝、台所に並んでいた4つの弁当箱は、すべて空っぽだった。 冷蔵庫には、短いメモが一枚だけ残されていた。 そして家族は初めて、私が毎月5万円以外に何をしていたのかを知ることになる。因果応報|人生逆転|嫁姑|第二の人生|親子関係|金銭問題1.4万字5 375 -
完結第15話
「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ
「子供3人は全員お前が連れてけ」。離婚を切り出した恵美に、夫はそう言い放ち、同居の義母も「やっと静かになる」と笑った。仕事部屋を奪われ、子供たちの進路や楽しみまで制限されてきた家で、長男は静かに告げる。「その言葉、忘れないでね」。子供たちは全員、母と暮らすことを選んだ。ところが転居から1週間後、夫と義母から一晩で80件の着信が届く。洗濯、食事、通院、そして家の支払い。戻れと迫る夫は、恵美の新居の家賃が月28万円だと知り、借金を疑い始める。「内職」と見下していた妻の仕事は、本当は何を支えていたのか。恵美は家計簿と口座の明細を並べ、夫が見ようとしなかった数字を確かめていく。夫婦|親子関係2.2万字5 3905 -
完結第15話
「帰ってこなくていい」と笑った家族――20年目の離婚届
43歳の真由美は、夫・浩司と19歳の娘・里奈のため、20年間休むことなく家事と親戚付き合いを担ってきた。ところがお盆に3日だけ実家へ帰ると伝えると、2人から「ずっと帰ってこなくていい」「ママがいないほうが平和」と笑われる。真由美は反論せず、8つの保存容器を残して家を出た。その手には、4か月前から20冊目の家計簿に挟んでいた離婚届があった。翌日、夫から届いた70件の着信。さらに家計簿から明らかになる672万円と、夫が失った8億円の肩書。家族が当然だと思っていた20年が、静かに数字へ変わり始める。夫婦|親子関係2.0万字5 1790