みかん小説
本棚

"消えた交換手と鳴らなかった電話" 第2話

母からの連絡があるかもしれないと枝が泣いても、料を払う余裕がないと言った。それから、弟は母の名をほとんどにせず、父はだけ黙って台所の窓を閉めた。

平成、町の古い交換局が取り壊された。京で図館司をしていた枝のもとへ、解体現から冊の勤務簿が届く。表の裏に、母の字で《枝がになったら》とかれていたため、処分を免れたのだという。

母が消えた夜の頁には、午分に本の通話をつなごうとした記録があった。発信元は役階、受信先は佐藤。しかし呼びし回数の欄は空で、横に赤鉛で《接続能》と記されていた。

枝はを見つめた。あの夜、のベルは度も鳴らなかった。母がまで、その話線は確かにつながっていたのに。

勤務簿を見つけた解体作業員は、最初、個の名かれているため自治体へ渡すつもりだったという。表枝の名があり、廃棄に役へ問いわせたところ、個なメモが混ざるので本へ連絡したほうがよいと教えられた。枝は資料を受け取る際、誰がいつ庫をけたのか、ほかに残った箱はないかを確かめた。そこまで聞く自分に驚いたが、何の噂を覆すには、所の分かる物だけを頼りにする必があった。

広告

交換局の建物は線をされ、内壁の板がところどころ剥がれていた。机の並んでいた所につと、枝は夕方に母を迎えに来たのことをした。澄子は仕事を終えるとまず繋いだ線をつずつし、次の担当へ通の番号を伝えていた。元で本をし忘れれば、話したいが待ち続ける。目たない仕事には、目たない責任があった。

枝は戸田に、その夜の話が昼は使えたかも聞いた。誌には、午すぎに清所の米話をかけた記録があった。清は夜勤に入る、玄関の鍵を娘が見つけられる所に置くよう伝えている。母が半から午分までのに、線は切られたことになる。

戸田は誌に《刃物》といた理由を説した。で切れた線は引っ張られ、芯の線がばらばらに伸びる。佐藤の線は被覆と芯がほぼ同じ位置で切れており、はさみか切断具を使ったように見えた。ただしどの具かは特定していない。当の警察へその説をしたが、澄子が自分から町をれた能性があるとして、失踪と関連づけられなかった。

「あのころはから話をかけられないだけで、誰かを探すがずいぶん変わったはずです」

枝が言うと、戸田は頷いた。父と子がで待つあいだ、母が役で受話器を握っても音は届かない。

広告

翌朝の修理は族の活を元へ戻したが、いちばん必だった本の話を修復することはできなかった。

枝がぶりに町へ着いたのは、午の列本だけ残るだった。駅の商は半分ほどシャッターをろし、共同で使われていた赤い話の所には料の自販売が置かれている。子どものころ、母の仕事へつながる線が町のどこかをっているとうだけでした。今は、話が各にあっても、誰かの声が届くとは限らないとっている。

交換局の解体を伝った元職員は、勤務簿を枝へ渡すに、表の《になったら》を見たと話した。澄子はなぜ局にその冊を残したのか。別の資料と同じ棚にしまわれていたのなら、片桐らに見つからずき延びた理由は偶然なのか。枝は裏表の糊跡を調べ、度封を貼ってから剥がしたような汚れを見つけた。

元職員に尋ねると、局の引っ越しの際、登美が勤務簿を職員用の裁縫箱に移したという。正式な記録として持ちすと問いわせが来るかもしれないため、私物をまとめるふりをして保管し、取り壊しのに返したのだ。登美は枝の所を調べれば送れたはずなのに、澄子の字を見せる勇気を持てなかった。

枝ちゃんがになったころには、もう事件として扱ってもらえないとったんです。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: