"消えた交換手と鳴らなかった電話" 第15話
たって得られたそのさな訂正を、枝は弟にも伝えた。
潟で澄子の取りを追うに、枝は故郷へ戻り、交換局の記録をもう度読んだ。役からへの呼びしが接続能になった理由は分かったつもりだった。しかし役階には台の話があり、勤務簿には受話器の位置を示す補助番号が記載されていた。発信元は片桐の机ではなく、応接だった。
登美に聞くと、澄子は局をる直、役の応接へ呼ばれていた。交換局で論した男の声を聞き分けた登美は、片桐俊だとっていた。俊は兄の名をさず、「しい控えを見せる」と澄子を誘いした。
役へ着いた澄子は、応接からへ話をかけた。子どもに事を説するつもりだったのか、翌朝まで帰れないと伝えるためだったのか。だがの線は切られていた。戸田の修理誌にある断線刻は、その話よりである。
線を切ったのは、父ではない。佐藤の裏庭へ入れたなら、誰でも切れた。当の隣である酒の息子、川浩は、の夜に庭の脇でを見たと話した。保線員の靴をはいていたというが、背丈は清よりかった。浩がそのを見た刻は、清が詰所にいた刻となる。
枝は片桐俊の妻、美鈴へ再び会った。夫の遺品のノートには、昭49の頁が切り取られている。
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のに圧が残っており、鉛で擦ると文字の部が浮かんだ。《線を切った。澄子さんを兄からすため》。
俊は兄から、佐藤の話へ通じたら子どもに話すと言う澄子を止めろと命じられた。兄に従って線を切り、のちに罪悪から本物の配達簿を隠し、澄子の逃を助けたのである。彼は加害と償いの両方に関わっていた。
枝は美鈴に圧の写しを渡し、俊を善にしなくていいと伝えた。美鈴も頷いた。夫が晩に酒をやめ、町の困窮したへ無料で燃料を運んでいたのは、罪を消すためではなく、これ以同じことをしないためだったのかもしれない。
清は修理した線の切れ端を保管していた。昔の戸棚からして枝へ渡し、警察に提した。なら調べられたはずの指紋や刻はもう分からない。それでも父は、娘に隠し物を渡すことからしか始められないと認めた。
線の傷が誰のものか分かった、枝は潟から転送された通目の返事を受け取った。差は佐藤澄子ではない。女性の名と話番号がかれ、そのに《母はあなたからのを持っています》とあった。
潟の所をってから、枝は何もせず仕事へ通った。京の図館では毎、返却された本を棚へ戻し、探している資料をへ渡す。
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見つけたにも借りるかどうかを選ぶがある。自分もそうしていいと、仕事のでようやくえた。
目の夜、良太とく話した。良太は母の顔を覚えているか分からないと言う。枝が台所の窓を眺める癖の話をすると、弟は、のに母が靴のへ聞を敷いてくれたのを覚えていた。は別々の記憶を持っている。片方の記憶がいからといって、もう片方が正しい母の姿になるわけではない。
「姉さんが先にってくれ。俺は、会うのが怖いと言えるうちは会わない」
枝は分かったと答え、母を許すよう迫らないと約束した。同に、弟へ母の居所を隠すこともしない。これまで父や母が子どもを守るためと称してしたのと同じことを、自分たちのでは繰り返さないと決めた。
返事をした女性は、澄子が潟で同居していた杉本遥だった。遥は歳く、澄子と血のつながりはない。の堂で働いていたとき、幼い娘を連れてむ所を失い、澄子が部を半分貸したという。遥の娘は今、学を卒業して働いていた。
枝は、母が別の子を育てたと聞いて、胸のにたいものがまれるのをじた。自分が何も待った「ただいま」を、らないが聞いていた。その気持ちを遥へぶつけるのは違うと分かっていても、すぐに声をせなかった。
「澄子さんは、あなたの代わりに娘を育てたわけじゃないんです」
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