みかん小説
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"消えた交換手と鳴らなかった電話" 第18話

母は、自分が町へ戻って話すべきだったと言った。枝は「これからなら、自分の言葉で話せる」と答えた。澄子が町へ戻るかどうか、その返事を急がせなかった。決められなかったことを、娘の求めにわせて晩で決めさせても、の関係は始められないとった。

枝が町の調査に関わり続けたのは、澄子の潔を証するためだけではなかった。独り暮らしのが苦を言っても、面に残らなければ配達済みとされた仕組みを変えたかった。町の相談窓す提案には、配達に受取が数量を確認する欄と、話がないの確認方法を加えた。

佐久は、昔の自分なら「現は忙しい」と反対しただろうと言った。しかし自分が運転したの記録が悪用されたのを見て、確認のを省くことで誰が困るのか考えるようになった。会議で彼がその話をしたとき、枝は母がくにいても、残した資料が町の仕事の仕方を変え始めたとじた。

広報誌の訂正記事が配られた、初は切り抜きを台所の暦の横へ貼った。くなった夫に見せるためだと言う。「あのが訴えたのは違いじゃなかったって、文字になったからね」。枝は母が守ろうとしたのは帳簿の数字だけではなく、疑われたまま黙っていたの声だったとった。

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は、母に話した。枝は同席せず、話し終えた父から内容を尋ねなかった。父が何を謝るか、母が許すかはの問題だ。自分は自分のをかけて、澄子との関係を決めればいい。

良太は最初、母に会いたくないと言った。母がたとき歳だった彼には、顔の記憶より、姉が鍋のめながら父を待っていた夜の記憶がい。枝は会うよう勧めず、母の所と話番号だけをいて渡した。

ひと、良太は姉に「母さんへ、子どもの写真を送ってもいいかな」と聞いた。結婚して幼い娘がいることを、澄子はらなかった。枝は「自分で決めて」と答え、弟は翌、写真の裏にいた。

の正、澄子は町へだけ戻った。清ではなく、駅の旅館に泊まった。枝と良太は子どもを連れて旅館へき、昼緒に取った。、澄子が事を説しようとすると、枝は「今は良太の娘が学で描いた絵を見せて」と言った。難しい話を避けたのではない。話すはこれからも作れると決めたからだった。

帰り際、澄子は交換局に勤めていたころの癖で、旅館の話が鳴ると無識に受話器へ目を向けた。枝は、その音を聞いてちすくんでいた自分が、いまは平気で靴紐を結んでいることに気づいた。

「次は私から話する」

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澄子は「待っています」と言わず、「うん」とだけ答えた。枝は戸をてから駅の公衆話に円玉を入れ、旅館の番号を回した。隣の建物の窓に、母が受話器を取る姿が見えた。

受話器の向こうで、澄子は「もしもし」と言った。枝は旅館の窓へを振らず、「今、駅にいる。帰りの切符を買うところ」と話した。母は、り始めたら元に気をつけてと答えた。分の説にはならない、ごく普通の言葉だった。

ホームへ続く階段のには、子どものを引いた女がいた。枝は自分が歳だったころ、母が先に歩くとき、振り返らない背を見てになったのをした。いつか澄子と歩く会があれば、その話をしよう。母がどんな答えをするかは、まだらなくてよい。

枝は話を切ってから、ようやく列刻表を見た。次の便まで分ある。良太に話をかけ、今の母の様子を話すこともできるし、で喫茶に座り気持ちをえることもできる。どちらにするか、今度は誰にも決められていなかった。

にはつながらなかった呼びし音が、今度は確かに、で鳴った。

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