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"31年間、母が捨てなかったマットレスの秘密" 第2話

辺の曜

説得を諦めた私は、実力使にることにした。

翌週、私は具量販のオンラインサイトで、評判のい形科医推奨のマットレスを注文した。配送設置サービスに加え、古い具の料引き取りオプションもしっかりと追加した。配送は翌週の曜、午から午のい帯を指定した。

計画は完璧のはずだった。

曜の朝番で、私が両親をに乗せ、半島をぐるりと巡る帰りドライブへ連れす。沿いのをり、父の好きな古本に寄り、母の好物である獲れたての魚をす辺の堂で昼をとる。そのに、あらかじめ暗証番号を伝えておいた子錠から業者に入ってもらい、古いマットレスを搬、しいものをベッドフレームに設置してもらう。

帰宅したときには、すべてが終わっている。最初は勝な真似をしたと言を言われるかもしれないが、実際にしいベッドに横たわれば、翌朝にはその適さに謝してくれるはずだ——。

曜の朝は、ひとつないだった。

「たまには親父も母さんも、潮でも吸って美い魚をべようよ。僕が全部運転するからさ」

そう誘いすと、父はし驚いたような顔をしたが、穏やかに目を細めて頷いた。母はかける直、なぜかふとを止め、廊の奥にある暗い主寝のドアをじっと見つめていた。

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その表には、何とも言えない躊躇いが滲んでいた。

「母さん、どうしたの? 忘れ物?」

「……ううん。何でもないわ」

エレノアはさく首を振り、いつもの布製の提げバッグを胸元に抱きしめるようにして、私のの助席に乗り込んだ。

内は、絵に描いたような平な族のに満ちていた。ラジオから流れる古いビートルズの曲にわせ、父が部座席で静かにハミングする。窓を流れる緑の々が、やがて界のけた青い太平へと切り替わっていく。岸沿いのパーキングにを止めると、父は持参した折りたたみ子を砂浜のくに広げ、顔に広げた聞を載せて、潮騒の音を聞きながらよさそうに微み始めた。

「歩きましょうか、デイヴィッド」

母に誘われ、私たちは波打ち際をゆっくりと歩いた。い波が寄せては返し、貝殻の混ざった濡れた砂が靴底を沈ませる。

「あなたも、もう40歳ね」

母がに、い平線を見つめながら言った。

「元気に育ってくれて、本当に良かった。真面目に働いて、優しい子になってくれて……それだけで、私のは満点よ」

「急に改まって、どうしたのさ。親孝らしい親孝もしてこなかったのに」

「いいえ。あなたがきている、ただそれだけで、私とお父さんはどれほど救われてきたか分からないのよ」

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母の横顔には、どこか祈るような真摯な響きがあった。潮に乱れる髪混じりの髪をにかけながら、エレノアは私の腕にそっとを添えた。そののひらはさく、骨ばっていて、驚くほど温かかった。

港町のさな鮮堂で、焼き魚と貝汁の定をべ終えたのは、午1をし回った頃だった。いお茶をすすりながら、私はポケットのでスマートフォンの計を確認した。配送業者の到着予定は13から14の。そろそろ作業が始まっている頃いだった。

すべては順調にんでいる。両親の驚く顔が目に浮かぶようだった。

その、テーブルののスマートフォンが、ブーブーとい振をてた。

画面には、登録のない局番の話番号が表示されていた。

「ちょっとごめん、話」

私は席をち、のの潮が吹き抜けるへた。配送業者からの、作業完の報告だろうとをくくっていた。

通話ボタンをスワイプし、に当てる。

「もしもし、デイヴィッドですが」

『……もしもし、スミスマットレス配送センターの担当の者ですが。デイヴィッド・ミラー様のお話でお違いないでしょうか』

話の向こうから聞こえてきたのは、男性の太い声だった。しかし、その声音は配送完を告げるるい調子とは程く、どこか自然に押し殺され、極度に慎な響きを帯びていた。

「はい、そうです。搬入は終わりましたか?」

『……いえ。変申しげにくいのですが、作業を断いたしました』

私は眉をひそめた。

「断? どういうことですか。サイズがわなかったとか、階段を通らなかったとかですか?」

『いえ、搬入経には何の問題もありません。しい品物も、すでに玄関ホールまで運び込んであります。……ただ、古いマットレスの搬作業を、こちらの判断で止いたしました』

「なぜです? 追加料なら払うと伝えてあったはずですが」

数秒の苦しい沈黙が、スピーカーの向こう側に落ちた。ガサリ、と作業員がを踏み替えるような気配がし、続いてくでドアがバタンと静かに閉まる音がした。まるで、誰にも聞かれない所に移したかのようだった。

『お客様。……現、ご実に戻られるまで、どれくらいのおがかかりますか?』

「え……で、40分か、急いでも35分くらいですが。何があったんですか?」

再びの沈黙。男の浅い息遣いだけが、気に朶を打った。

『その……古いマットレスを持ちげたところ、ベッドの台……スノコのに、あるものが見つかりました』

「見つかった? 失くした銭か、古い本でも落ちていたんですか?」

『話で詳細をお伝えすることは、控えさせていただきます』

男の声は、もはや単なる配送業者のそれではなく、な事件の現に居わせてしまった警察官のような、張り詰めた緊張を帯びていた。

『ご両親は、あのベッドを何使っていらっしゃいますか』

「……31です。それが何か?」

男はさく息を呑んだ。

『私たちは、何つ触っていません。マットレスをし持ちげた段階で作業を止め、そのままの状態にしてあります。……お客様ご自の目で、直接確認していただく必があります』

「体、何があるって言うんですか!?」

私の声がわず荒くなった。吉な予が、たい針のように背筋を駆けがっていく。

話の向こうの男性は、く、い溜息をついた、私のを根底から覆すことになる、決定な言を告げた。

『に着かれましたら、まず、お客様おだけで寝に入ってください。……お母様は、絶対に、に入れない方がよろしいかといます』

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