みかん小説
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"置き去り後27分" 第4話

侵略のロジック

曜の午。事の連絡もなく、富子が私たちのアパートへ突然やってきた。 には、煮物の入ったタッパーがいくつかげられている。

「くのスーパーまで来たから、おかずをお裾分けに来たのよ」 がり框で靴を揃え、リビングのソファへが物顔で腰掛ける義母。 私は台所で湯を沸かし、緑茶を淹れて卓へ運んだ。夫の健事は、テレビで競馬継を眺めながら、どこか落ち着かない様子で爪を噛んでいる。

お茶を半分ほど啜ったところで、富子はわざとらしく姿勢を正した。

「美さん。先週の実の積みての話なんだけどね」 「はい」 「あれからね、私もいろいろ考えてみたのよ。毎毎、美さんから万円をもらったの、もらってないのって、いちいちやり取りするのも面倒でしょう?」

「使いさえ確にしていただければ、私から毎指定の座へお振り込みしますけれど」

「だから、そういう儀な続きがいちいち煩わしいって言ってるのよ」 富子はフフンと余裕の笑みを浮かべ、カウンター越しに置かれていた私の通勤バッグを顎でしゃくった。

「もっと簡単で、確実な方法があるわ。……美さんの与座ごと、私が預かってあげるのが番っ取りいのよ」

部のの空気が、瞬にして凍りついた。

「……私の、与座を預かる?」

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「そうよ。通帳とキャッシュカード、それと暗証番号を私に渡してちょうだい」

富子は、まるで「回覧板を回してちょうだい」とでも言うかのような軽さで言い放った。

「美さんの会社からお料が振り込まれたらね、私が毎にへって、共同活費の万円と、実の積みての万円を引きしてあげるわ。残りの万円は、美さんの自由になるお遣いとして、私が綺麗に封筒に分けて渡してあげる。これなら美さんも、毎面倒な振込続きをしなくて済むでしょう? 助かるでしょう?」

全の血が、急速に引いていくのをじた。 背筋をる、烈な悪寒。 これは、仕送りの相談などではない。 代半の自した社会である私から、経済な自由と決定権を完全に剥奪し、義母の配にある「無力な扶養族」へと格げするための、骨な侵略だった。

に通帳と暗証番号を預けるなど、の利用規約違反である以に、としての尊厳を丸ごとけ渡す為だ。 与細に印字される数字は、私が毎満員に揺られ、複雑な医療事務の計算と格闘し、神経を擦り減らして得た「私の命の対価」だ。それを、なぜ義母が勝に引きし、残りのカスのような端を「お遣い」として恵まれなければならないのか。

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私は夫を見た。 健事は競馬継に目を向けたまま、微だにしない。驚いた様子も、止める素振りもない。 ――事に、で打ちわせていたのだ。

「……逆ですよ、お義母さん」 私の静かな声が、リビングに響いた。

「は? 何が逆なのよ」 「私のお料から実へ支援をするのであれば、私が自分ので、必な額だけを振り込みます。私の与座の通帳、カード、暗証番号をに渡すことは、がひっくり返っても絶対にありません」

富子の顔から、笑いが完全に消え失せた。 「なんなの、その態度は! 嫁の分際で、姑に向かって『絶対にありません』ですって!? 族を信用できないっていうの!?」

「嫁だからこそ、境界線が必です。活費の共同座とは別に、私個の座の管理権は、私にしかありません」

「もういいわ! せっかくおかずを作ってきてあげたのに、本当に嫌ないをしたわ!」 富子は激昂してちがり、タッパーを乱暴に掴み直すと、ドカドカと音を荒てて玄関からてった。

ドアが閉まった瞬、夫の健事がテレビを消し、鬼のような形相でちがった。

「おい美! なんであんな言い方するんだよ!!」

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