"「少しくらい困ればいい」母をSAに置き去りにした夫の本当の狙い" 第9話
孫が差しした契約
契約の買主は、雅の代の友が経営する産会社だった。売買価格は相より百万円ほどく、付として万円が雅の座へ振り込まれている。所者欄には母の氏名と押印があったが、所のき方が母の癖と違った。
産会社は、雅が母の代理だと説したと認めた。委任状の写しには、旅目の付が入っている。紗季が撮った写真で、直哉が母の印鑑を持っていただ。原本は雅が保管し、契約は母の施設入居に正式化する予定だった。
直哉は自分が印鑑を押したと告した。父から、祖母は売却に同しているがが震えてけないと言われた。嘘だと々分かっていたが、舗の物件を押さえる期限が迫っていた。万円は保証へ使い、すでに戻せないという。
「ばあちゃんのを取るつもりじゃなかった。が軌に乗ったら返すつもりだった」
母は孫を鳴らなかった。「返すつもりなら、借りるに頼むものです。黙って印鑑を押すのは、借りるとは言いません」直哉は泣いたが、母は許すとも絶縁するとも言わなかった。まず契約を止め、使ったをらかにしなさいと告げた。
庭弁護士は産会社へ、所者本が契約を否認していると通した。登記は移っておらず、売買を止めることはできた。
広告
ただし会社は、自分たちも虚偽の説を受けたとして、付と調査費用の返還を雅と直哉へ求めた。
雅は直哉の告を聞くと、息子が独断で類を作ったと言い始めた。自分は施設入居の相談をしただけで、売却価格も付もらないという。直哉は父に裏切られ、初めて保していたメッセージを見せた。《印鑑はおが押せ。族ののことなら問題にならない》《を持てば母さんも納得する》と雅が送っていた。
私は息子に同したが、責任を父へ戻すだけでは済まないと伝えた。直哉は歳で、自分の名を使い、自分ので押印した。雅に利用されたことと、母を利用したことは両方とも事実だった。
その夜、雅は自宅へ戻り、斎の類を段ボールへ詰め始めた。私が止めると、夫婦共の資料を理しているだけだと言った。翌朝、共同座から百万円が引きされ、残がほとんどなくなっていた。
雅は、今度は私たちの老資を持って姿を消した。
通帳の摘には現引しとしか記されていない。窓ではなく複数のATMを使い、限度額を変えながらに分けてかしていた。旅から準備していたことになる。私はへ事を伝えたが、共同で貯めたでも名義の取引をから無効にはできないと言われた。
その夜、気料会社から支払方法変更の通が届いた。雅は共同座だけでなく、自宅の公共料を自分のカードからしていた。私が困って連絡してくるのを待っているのだろう。私は話をせず、契約名義を確認し、必なものを自分の座へ切り替えた。
蔵庫の音だけがする台所で、私は初めて分の夕を作った。自由になったとはえない。りとでも分からなかった。それでも翌の支をきし、りない額を計算した。夫を取り戻すより先に、の活を自分で回す必があった。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
家ごと消した母の反撃
七十一歳の美穂は、夫が入院している間、同居する長男夫婦から召使いのように扱われていた。生活費は一円も入れず、母の形見まで勝手に処分する二人。ある日、微熱で三分だけ横になった美穂に、長男嫁はワインを浴びせ、「帰るまでに掃除しておけ」と言い放つ。長男も笑うばかりだった。だが、黙って「はい」と答えた美穂には、二人の知らない計画があった。三日後、帰省先から戻った長男夫婦は、信じられない光景を目にする。嫁姑|親不孝|親子関係|金銭問題2.0万字5 157 -
完結第10話
すり替えた味噌汁
検事任官の最終面接を迎えた朝、神田玲奈は義母が自分の味噌汁に何かを混ぜる姿を目撃する。夫にも相談できないまま、玲奈は不審な味噌汁を密かに保管し、何食わぬ顔で食卓に戻った。同じ日、義妹の彩佳も三度目の教員採用試験に挑もうとしていた。玲奈が彩佳と味噌汁の椀を交換した瞬間、義母は血相を変えて叫び出す。嫁姑|第二の人生|金銭問題1.4万字5 9 -
完結第20話
花嫁のいない結婚式
結婚式を翌日に控えた長谷川由衣は、胃痛を訴える婚約者・黒田瞬のために、心を込めて雑炊を作っていた。ところが彼の部屋の前で耳にしたのは、「あいつはただの身代わりだ」という残酷な本音。三年間の愛情も、婚約指輪も、純白のドレスも、すべて元婚約者の代わりだったと知った由衣は、誰にも告げず空港へ向かう。翌朝、二百人の招待客が待つ式場に花嫁は現れなかった。人生逆転|真実|裡の顔|第二の人生|修羅場2.9万字5 126 -
完結第10話
残高ゼロの通帳
経理主任として働く三十九歳のゆきは、同居する義母から突然、給与明細を突きつけられる。「月四十万円も稼いでいるなら、通帳は私が管理するわ」。勝手に給料の使い道を決められ、夫に助けを求めても返ってきたのは「母さんに任せれば楽だろ」という言葉だった。ついに「嫌なら出ていけ」と言い放たれたゆきは、抵抗するどころか、笑顔で通帳を差し出す。しかし、その夜、彼女は誰にも知られず一つの手続きを済ませていた。嫁姑|夫婦|第二の人生|金銭問題1.5万字5 126 -
完結第23話
孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由
七十二歳の幸子は、亡き夫と建てた家で息子夫婦と孫の蓮斗と暮らしていた。学費も生活費も援助し、家事まで引き受けてきたのに、いつしか家族から「居候」のように扱われるようになる。ある夜、孫に胸ぐらをつかまれても、息子は助けてくれなかった。翌朝、幸子は弁当も朝食も作らず、黙って家を出る。しかし家族はまだ知らなかった。人生逆転|祖父母と孫|第二の人生|ATM扱い|絶縁3.1万字5 242 -
完結第18話
誤爆LINEの夜
結婚六年目。妻の明子に勧められ、出張前夜をホテルで過ごすことにした直人。ところがチェックイン直後、妻から「今日旦那いないから、いつもみたいにイチャイチャしよ♡」というLINEが届く。慌てて削除されたメッセージに不信感を抱いた直人は、何も知らないふりをして自宅へ戻る。夫婦|裡の顔|修羅場|不倫2.0万字5 194