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"父の死後、姉に追い出された私が嫁いだ農家の秘密" 第4話

千百万円の

がけた、私は休暇を取得し、役所が主催する無料法律相談の窓へ向かった。 担当してくれたのは、相続問題に精通したベテランの片桐弁護士という女性だった。 姉たちから突きつけられた遺産分割協議を瞥した片桐弁護士は、即座に眉をひそめて首を横に振った。

「寺さん、これに署名捺印してはいけません。遺言がない以、産も預貯も姉妹で分のずつ均等に分けるのが民法の原則です。あなたが介護をに引き受けていたのなら、寄与分の主張すら能です。お姉様方があなたを方に無文で追いすことなど、法に絶対に許されません」

「でも先、あので姉たちと裁判を争いながらみ続ける気力は、私にはありません。は引き払います。ただ、父のいまで当に奪われるのは耐えられないのです」 私の言葉に、片桐弁護士は力く頷いてくれた。 「分かりました。正式に私が受任しましょう。あなたがをた、私を通じて法な遺産分割調の続きをめます。お姉様方からの直接の連絡はすべて遮断してください」

方を得た私は、の父の法の席で、姉たちに淡々と告げた。 「私、輔さんと結婚します。実の相続については、すべて弁護士の先にお任せしましたので、今の連絡は先を通してください」

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その瞬、マリ子姉さんとゆか姉さんの顔が引き攣り、やがて嘲弄の笑いが爆発した。 「はあ!? 弁護士ですって? 姉妹の話しいに赤のを巻き込むなんて、恩らずもいいとこね! それに、あの宮田輔と結婚? ぷっ……あははは!」 ゆか姉さんが腹を抱えて笑い転げる。 「あんた、何もらないのね! 私のパート先に、宮田の集落に親戚がいるがいるのよ。あそこの、数にバカでかい農業械を借で買い込んで、ここ何もずっと赤字続きののなんだってさ! 瓦の割れたボロに、だらけの軽トラ台! せいぜい、借返済のためにすすって働き続けなさい!」

赤字続きの借農――。 姉の罵声はに痛かったが、私の決は揺らがなかった。

、私は勤めた建材会社を退職し、輔さんの軽トラックの荷台にわずか数箱の段ボールを積み込んで、まれ育った実をにした。 窓を流れる景が、コンクリートの並みから、枯れの広な田園景へと変わっていく。 輔さんの自宅は、築を超える古い造の平だった。 瓦根にはトタンの補修跡があり、玄関の引き戸はし持ちげないとかない。 迎えてくれた義母のさんは、エプロン姿で私の凍えたを握りしめ、「美咲さん、よく来てくれたねえ。

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今からここが、あんたのだよ」と涙を浮かべて抱きしめてくれた。

だが、荷物の搬入を終えた夕方、敷の奥に案内された私は、異様な景に息を呑んだ。 母の隣にそびえつ、巨な真しい鉄骨造りの乾燥調製施設。 に輝く巨な穀物乾燥が何台も並び、太いダクトが井を突き抜けている。 その威容に呆然とする私に、輔さんはし申し訳なさそうにを掻いた。

「驚かせてごめんな。……、隣の農さんたちの籾(もみ)も預かって乾燥・保管できるように、国とから融資を受けて建てたんだ。残りの借入が、まだ千百万円ある」

千百万円――! 経理をしていた私には、その数字のみが痛いほど理解できた。 個農が背負うには、あまりにも文学な額。姉の言っていた「赤字続きの借農」という言葉が、い鉛のように胸に沈み込んだ。

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