みかん小説
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"父の死後、姉に追い出された私が嫁いだ農家の秘密" 第7話

の靴と誇りき背

「輔さん……ってなんてないよ。ただ……びっくりしすぎて、腰が抜けそうだっただけ」 私が涙を拭いながら笑うと、輔さんも底堵したように破顔した。

その、応接の扉がノックされ、田所専務が顔を覗かせた。 「社、階の会議に、全国の契約産者の皆様がお揃いになりました。そろそろ作付け方針説会のおです」 「分かった、すぐくよ。……美咲さん、よかったら緒に来てくれないか? うちの会社が、どんなたちに支えられているのか、見てほしいんだ」

私はし躊躇ったが、きく頷いた。 階の広には、すでに名い々が集まっていた。 は形からは熊本まで、幹線やを乗り継いで駆けつけた米農の方々だ。 誰もがくに焼け、節くれだったきなを持ち、着慣れない背広のネクタイをし窮屈そうに緩めている。 輔さんが姿を現した瞬、会の空気がパッと沸きった。

「おお、宮田社!」「社、今もよろしくお願いします!」 輔さんの周りに、瞬くにの輪ができた。 杖をついた歳い柄な老が、輔さんのを取って涙ぐんだ。 「宮田君……も本当に助かったよ。台でうちの裏の田んぼが冠した、君が真っ先に駆けつけてを掻きしてくれたから、今も息子と緒に米を作れる。

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わしの代で潰すはずだった田んぼが、今じゃ息子のきがいだよ」

老の隣につ代の息子さんも、々とをげた。 「宮田社のおかげで、うちも若い実習を雇えるようになりました。の買取価格が事に決まっているから、も設備資を融資してくれたんです。本当に、謝しかありません」

輔さんは、ひとりのを両で力く握り返し、腰をくしてを傾けていた。 「とんでもないです、琢磨(たくま)さん。皆さんが命がけで育ててくれる極の米があるから、うちの会社はお客様に胸を張って届けられるんです。今も、全員で美い米を作りましょう!」

壇にった輔さんは、プロジェクターの数字を指し示しながら、今の作付け計画を説し始めた。 どの品種を、どの壌で、どれだけの肥料で育てるか。 が求めると、気候変を見据えた管理のスケジュール。 専な見と現へのい敬に満ちたその姿は、紛れもなく数名の命運を預かる若き名経営者そのものだった。

会の最列のパイプ子に腰掛けていた私の隣に、コップの温かいお茶を持った田所専務がそっと座った。 「驚かれましたか、奥様」 「はい……本当に、を見ているようです」

田所専務は、壇で弁を振るう輔さんを誇らしげに見つめながら、静かに語ってくれた。

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「私はね、以は農業法の融資担当幹部だったんです。でも、利益至主義で農を切り捨てる組織に絶望していた、当まだ代だった宮田社に会いました。『農が誇りを持って子や孫に田んぼを継げる国にしたいんです』と、目を輝かせて語る彼に惚れ込んで、定した位を捨ててついてきました」

田所専務の言葉が、私の胸にく突き刺さった。 「社がなぜ、今もあんな古い母にみ、だらけの軽トラに乗り、自分ので番田んぼのにを入れているか、お分かりですか? 自分がのたさを忘れ、焼けの痛みを忘れたら、農の痛みが分からなくなるからです。あのはね、社であるに、の臭い『米農』であり続けたいんですよ」

会議が終わり、全員に配られたのは、契約農の米で握られたきなおにぎりと豚汁だった。 隣に座ったから来た女性農さんが、私に屈託のない笑顔で話しかけてくれた。 「あんたが宮田社のお嫁さんかい! 良かったねえ、本当にいい旦さんだよ。うちのが倒れたも、社は夜通しをばして伝いに来てくれたんだ。宮田社の奥さんなら、私たちにとっても族同然だよ!」

おにぎりを頬張った瞬、温かい涙が溢れそうになった。 私の夫が守ってきたのは、おや会社という数字ではなかった。

に根を張り、愚直にきる々の『そのもの』だったのだ。

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