みかん小説
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"父の死後、姉に追い出された私が嫁いだ農家の秘密" 第18話

底に刻まれた稲穂

「え……? お義父さんの……?」 私の声が震えた。

さんは茶碗を抱き締め、涙をボロボロとこぼしながら、震える指先でその刻印をなぞった。 「違いないわ……! うちの、公民館の陶芸教で茶碗を焼くのが唯の楽だったのよ。で使う茶碗には何も彫らないのに、に差しげる茶碗にだけ、自分の名の『茂』の代わりに、この本稲穂のマークを彫り込んでいたの!」

さんの語る真実に、私の全に鳥肌がった。 「うちのはね、輔が京の会社にていた頃、毎週曜の朝、国沿いの朝に軽トラで米を並べにってたのよ。あるの、奥さんをくされたばかりの初老の男性が、くらいの娘さんを連れて毎週買いに来てくれるようになってね……」

さんの瞳が、い過の記憶を繰り寄せるように潤んだ。 『、あのお父さん、男つで娘を育ててるんだ。娘さんが毎懸命ご飯を炊いてくれるから、番旨い米をわせてやりたいって、毎週うちの米を指名買いしてくれるんだよ』 『く通ってくれたお礼に、俺が焼いた茶碗を個、あの親子にプレゼントしたんだ』

「……それ、父と、私です」 私の唇から、魂の抜けたような呟きが零れ落ちた。 母をくし、台所につのが怖くて泣いていたの私。 そんな私のために、父が毎週曜の朝に通い、番良い米を買ってきてくれていた。

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その米を作っていたのが――輔さんの父、宮田茂さんだったのだ。

夕方、田んぼから戻ってきた輔さんに、私たちは茶碗を見せた。 輔さんはのついた袋を脱ぎ捨て、息を呑んでその茶碗を見つめた。 「……親父の茶碗だ。美咲さんの実で仏壇にをわせた、見覚えがある形だとはっていたんだ。まさか、親父が直接渡した茶碗だったなんて……」

輔さんは、居の仏壇のに歩み寄り、き父・茂さんの遺の隣に、私の父・正の写真を並べて置いた。 そして、その枚の写真の真んに、あの本の稲穂が刻まれた茶碗を、恭しくお供えしたのだ。

「お父さん」 輔さんが、私の父の写真に向かって々とをげた。 「あの朝から経って、あなたの娘さんは、親父の遺した番田んぼを、命がけで台から守ってくれましたよ。……親父、見てるか。あんたが繋いでくれた縁は、こんなにもい絆になって、今もきてるぞ」

枚の遺。 にまみれて米を作り続けた男と、その米を誰よりもして娘を育てげた男。 の父親が、写真の奥で、照れくさそうに肩を並べて微笑みっているように見えた。

『美咲、あの茶碗をくれたに……いつか礼を言っといてくれ』 父の最期の願いは、奇跡のような運命の糸に繰り寄せられ、完璧な形で果たされたのだ。

私は仏壇にをわせ、声をげて泣いた。 奪われたものなど、何つなかった。 父が遺してくれたのすべてが、私をこの所へと導いてくれていたのだから。

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