"北アルプスの0.5秒" 第5話
兄たちのりは坂本へ向かった。
自宅のには赤い文字で罵倒がかれた。
坂本はさらにへなくなった。
そしてだけが過ぎていった。
事件から半。
1。
2。
しいがかりはなかった。
150規模で始まった捜索本部は次第に縮され、最には本輔をとした数だけが資料を確認する状態になった。
「これで未解決か……」
本は机に積まれたファイルを見つめた。
何度読んでも坂本が怪しい。
しかし決定な証拠がない。
それどころか調べれば調べるほど、坂本が本当に殺害したなら自然な部分も増えていった。
なぜ血痕がない。
なぜ遺体を運んだ痕跡がない。
なぜあれほどくの目撃者がいる状況で、わざわざ自分が追いかける姿を見せる。
方で、
「へ逃げた」
「借があった」
「別の男と駆け落ちした」
根拠のない報も量に寄せられた。
警察はそのたび確認し、を失った。
本はそれでも坂本への疑いを捨てられなかった。
2010。
坂本の活は崩壊していた。
会社は業績を落とし、取引先もれた。
以は勢の部に囲まれていた男が、今では1、自宅のリビングに座っている。
夜になると酒をんだ。
最初は眠るためだった。
やがて酒そのものが活になった。
眠れば桜のを見る。
「どうして私を殺したの」
ので彼女が責める。
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「俺じゃない」
坂本はうなされる。
「俺は殺してない」
目を覚ますとまた酒をんだ。
1で本酒を2本空けることも珍しくなくなった。
体は20kgく落ち、髪は急速にくなった。
201010。
健が坂本を訪ねた。
「社」
坂本はソファに横たわったまま顔だけを向けた。
「何だ」
「申し訳ありません」
はくをげた。
「これ以、お仕えするのは難しいです」
坂本はしばらくを見ていた。
「おまで俺を見捨てるのか」
「そういうつもりでは……」
「け」
坂本は酒瓶へを伸ばした。
「好きにしろ」
は会社から退職300万円を受け取り、暮らしたをれた。
故郷の静岡へ戻った。
そこから彼のは驚くほど順調にんだ。
最初は古トラック1台。
さな運送業から始めた。
真面目な仕事ぶり。
当たりの良さ。
正確な管理。
しずつ取引先を増やした。
10には数台の両を持つ会社になっていた。
域の商団体にも入り、寄付活にも参加した。
「社は本当に誠実なだ」
そう言われるようになった。
かつて坂本の専属運転だったことをるは、ほとんどいなかった。
方。
鈴次郎のは逆だった。
事件以、夜になると警察が訪ねてくるを見る。
50万円の入った封筒をいす。
がだらけで森から現れた姿も忘れられない。
もし自分があの、警察に話していたら。
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何かが変わったのではないか。
その考えがかられなかった。
鈴は登会を辞めた。
正社員の仕事も辞めた。
関係を断った。
雇いの事現。
での荷運び。
期の仕事を転々とした。
最終には京都区の古い賃貸アパートで、ほとんど誰とも関わらず暮らすようになった。
それでも捨てられないものが1つあった。
古い登用リュック。
事件から数。
鈴はアルプスへ戻っていた。
のことがどうしても気になったのだ。
警察の捜索区域からしれた所を歩いている、斜面のの根元に黒い物が引っかかっているのを見つけた。
ビデオカメラだった。
と傷だらけ。
拾いげ、で再した。
そこに映っていたものを見た瞬、鈴は震えた。
桜の声。
誰かを呼ぶ声。
鳴。
そして瞬映った男の姿。
画質が悪く、顔までは分からない。
だが鈴にはい当たるがいた。
。
彼はすでに50万円を受け取っていた。
今さら警察へ持っていけば、自分も疑われる。
止め料を受け取ったこともられる。
恐怖に負けた。
しかし捨てることもできなかった。
ビデオカメラを何にも包み、リュックの奥へ隠した。
そのまま15。
鈴は秘密と緒にきた。
2011。
本輔も定を迎えた。
退職の。
同僚から束を渡されても、本のには1つだけ引っかかりが残った。
伊藤桜事件。
個な帳には、桜の写真を挟んでいた。
折それを取りして眺めた。
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