"床下の学級日誌" 第9話
美には分からない。
ただ。
浩は。
理子が自分ので消えたように見せかけるため。
宿へ忍び込み。
荷物を持ちした。
さらに。
子どもたちへ。
スカーフを桟に置くよう命じた。
「俺たちが?」
健太は聞いた。
「健太君と達也君」
美が答える。
「覚えてない?」
覚えていなかった。
いや。
記憶の奥に。
が見えた。
濡れた桟。
に握った。
理子のスカーフ。
「俺……」
声がない。
「ごめん」
美が言った。
「違う」
健太は首を振った。
謝るのは。
美ではない。
「そのあと源じいさんは?」
「何かして聞きにった」
「先は?」
美は。
唇を震わせた。
「もうおらんって」
「どこへ?」
「源じいは言わんかった」
しばらくして。
子どもたちのでは。
つの話が広がった。
先は。
怪がひどくて。
源蔵のでくなった。
老が。
誰にもられないよう。
へ葬った。
誰が言いしたのか。
もう覚えていない。
「私、ずっと信じてた」
美は泣いた。
「先はんだって」
健太ので。
つの疑問がまれた。
源蔵は。
本当に。
理子がくなったと言ったのか。
「源じいさん、いつくなった?」
「6」
もう。
本には聞けない。
だが。
老のは。
まだ残っているという。
健太は。
島へ戻ることを決めた。
先の物語には。
まだ。
最の頁が。
欠けていた。
源蔵のは、島の側の斜面に残っていた。
へ張りすように建つさな造で、主がくなってから誰もんでいない。
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潮で戸板はっぽく褪せ、根の部には青い防シートがかかっていた。
健太は。
所者となった源蔵の甥の許を得て。
へ入った。
畳には埃が積もり。
壁の計は止まっていた。
漁具。
古い羽。
錆びた包丁。
何もに。
そのものが止まったような所だった。
「先……」
健太は。
あの。
理子が寝かされたという部へ入った。
記憶が。
しずつ戻った。
自分は。
先の肩を抱えていた。
達也とで。
い体を。
必に運んだ。
美が。
先のを握って泣いていた。
源蔵が。
「まだ息はある」
と言った。
どうして。
忘れていたのだろう。
押し込めていたのだろう。
数探しても。
がかりは見つからなかった。
夕方になり。
諦めかけた。
台所の棚の番から。
湿気で膨らんだ古い帳面がてきた。
漁の記録だった。
《鯵 18》
《鯛 4》
《沖、波し》
付と。
漁獲。
候。
几帳面な字。
19956。
健太は。
息を止めた。
621。
何もかれていない。
22。
《女、まだ目覚めず。呼吸あり》
健太の指が震えた。
23。
《あり》
24。
《夜、本へ運ぶ》
次。
《の医者へ渡した。の怪ひどい。元は言わず》
さらに。
《子どもらは何も悪くない。あいつらをこれ以巻き込ませるな》
健太は。
そのに座り込んだ。
先は。
んでいなかった。
源蔵は。
理子を漁へ乗せ。
夜のを本へ渡っていた。
誰にもられないように。
浩から守るため。
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そして。
子どもたちを。
これ以事件へ巻き込まないため。
帳面には。
病院名はなかった。
《の医者》
それだけ。
源蔵が。
正しかったのかどうか。
健太には分からない。
本来なら。
すぐ警察へらせるべきだった。
病院へ本名を伝えるべきだった。
結果に。
その秘密が。
理子の失踪を10も引かせた。
しかし。
当。
源蔵が。
泣き震える子どもたちをに。
何を考えたのか。
しだけ像できた。
浩が島にいる。
子どもたちは脅されている。
美は庭へ戻らなければならない。
先がきていると分かれば。
浩が何をするか分からない。
老は。
で。
全部を隠すことを選んだ。
その判断は。
優しさであり。
同に。
きな違いでもあった。
健太は。
帳面の続きへ目を通した。
7。
。
《女、命は助かったと聞く》
8。
《記憶戻らず》
健太の呼吸が止まった。
次。
《言葉もほとんどない》
《元分からぬまま転院》
そして。
最。
《わしが言わなければ誰にも分からん。だが今さら島へ戻せば、あの子らがまた傷つく。どうすればよい》
そこで。
記録は途切れていた。
源蔵は。
迷っていた。
理子の記憶が戻れば。
すべてを話すつもりだったのかもしれない。
ところが。
翌から。
源蔵自が病気になった。
甥の話では。
脳梗塞を起こし。
く入退院を繰り返した。
そして。
秘密を語らないまま。
くなった。
「先、きてた……」
健太は。
何度も呟いた。
10。
んだとっていた。
自分たちが。
なせたとっていた。
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