"床下の学級日誌" 第7話
誰も。
自分を正当化しようとしているわけではなかった。
10。
罪悪のにいた。
健太には。
それが分かった。
捜査で保管されている学級誌を。
改めて読むことになった。
理子の几帳面な字。
《健太君。級の面倒をよく見てくれる。責任がすぎるところがある。々はに頼ることも覚えてほしい》
健太は。
そこを何度も読んだ。
先は。
11歳の自分を。
こんなふうに見ていた。
次のページ。
《美ちゃんの腕に痣。本は転んだと言う》
さらに。
《母親と面談。反応が気になる》
《美ちゃんがへ帰るのを怖がっている》
最。
《美ちゃんのことで決した。このまま見過ごすことはできない。、さんにもう度話したあと、本へ渡る》
健太は。
誌を閉じた。
理子は。
島を捨てようとしていなかった。
誰かから逃げようともしていなかった。
美を守るために。
本へこうとしていた。
では。
なぜ。
当の警察は。
この事実をらなかったのか。
誌はにあった。
しかし。
もう。
っていたがいる。
駐所の。
健太は。
退職したの居所を調べた。
島をたあと。
本側のさな漁師町にんでいる。
数。
健太は。
のを訪ねた。
玄関に現れた老は。
しばらく健太の顔を見た。
「……健太君か?」
「はい」
「刑事になったとは聞いとった」
は。
健太のろに誰もいないのを確かめるように見た。
広告
そして。
議なことを言った。
「とうとう来たか」
「何がです?」
老は。
く息を吐いた。
「先のことやろ」
その表は。
驚きではなかった。
10。
このを待っていたの顔だった。
は健太をへ通した。
窓の向こうにはがあり、そのさらに向こうに相島のがさく見えた。妻がお茶を置いて部をると、はしばらく湯呑みにを添えたまま黙っていた。
「先が消えた」
健太が切りした。
「駐所へ来ましたね」
の指が震えた。
「誌にいてありました」
「そうか」
「何を相談されたんです?」
老は。
ゆっくり目を閉じた。
「わしはな」
い声だった。
「あののことを、10ずっと悔しよる」
そして。
話し始めた。
理子が。
美の腕や顔に複数の痣を見つけていたこと。
母親も夫から暴力を受けている能性があったこと。
本の児童相談所へ相談すると決めたこと。
「先は本気やった」
は言った。
「怖がっとったけど、それでもくって」
「どうして警察に言わなかったんです?」
健太の声に。
りが混じった。
は。
逃げなかった。
「わしが違った」
「本署の刑事が来た、先が本へこうとしてたって言えば、逃げたって結論には――」
「分かっとる!」
老の声が震えた。
「分かっとるとよ」
静かになった。
は俯いた。
「当はな、庭内のことに警察が入るのを嫌うもかった。
広告
美ちゃんのことを話したら、島にれ渡る。母親もあの子も、もっと傷つくとった」
「それで黙った?」
「先がいなくなったあと、が混乱しとった」
は両を握った。
「事件かどうかも分からん。もし先が本当に自分で島をとったら、あののことだけにしてしまう。そんなことばっかり考えて」
健太は。
すぐには許せなかった。
ただ。
責め続けても。
10は戻らない。
「先は駐所からどこへ?」
「桟」
「で?」
「そうや」
「ついてかなかったんですか」
の顔が歪んだ。
「それが番の悔たい」
しばらく。
波の音だけが聞こえた。
「さん」
健太は言った。
「俺たちは見てました」
老が顔をげた。
健太は。
初めて。
当だったへ。
本当のことを話した。
桟。
浩。
言い争い。
理子が突きばされ。
を打ったこと。
「先は……」
言葉が詰まった。
「俺らので倒れました」
の顔から。
が消えた。
「何で……」
声がかすれた。
「何で言わんかった」
健太は。
俯いた。
「脅されました」
「子どもだったから?」
「はい」
「でも」
健太は拳を握った。
「子どもだったって言葉で、全部済ませたくない」
は。
い。
何も言わなかった。
やがて。
「浩は」
と尋ねた。
「そのあと先をどうした?」
健太は顔をげた。
「そこなんです」
「らんのか」
「俺たちが見たのは、先が倒れたところまでです」
正確には。
健太自の記憶も。
そこで途切れていた。
恐怖で。
へ逃げ帰ったとい込んでいた。
しかし。
同級の証言を集めるうち。
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
15年後に消えた罪
1984年、東京・世田谷の古い木造住宅で起きた火災。 亡くなったのは、72歳の老人・近藤商司だけではなかった。 焼け跡から見つかったもう一人の女性の遺体は、なぜか新聞紙に包まれ、灯油の痕跡まで残されていた。 当初、事件は老人と介護士の間で起きた悲劇として処理された。 しかし15年後、古い書類に残された一つの署名と、焼け跡に残された小さな証拠が、隠され続けた真実を再び動かし始める。 消えた500万円。 偽造された署名。 そして、誰も疑わなかった親族の存在。 長い年月を経て明らかになった、静かな住宅街の奥に隠された衝撃の真相とは――。ミステリー|行方不明1.5萬字5 138 -
完結第11話
地下室に消えた名前
旧精神療養所の解体前調査で発見された、図面には存在しない地下室。 そこには、番号だけを付けられた6人分の遺骨と、半世紀前に消された人々の記録が残されていた。 かつて「自死」と処理された女性たちは、本当に自ら命を絶ったのか。 調査を進める刑事たちは、古いカルテ、残された手紙、そして元医師の告白から、病院の地下に隠されていたもう一つの歴史へたどり着く。 しかし、そこにあったのは単なる事件の真相ではなかった。 名前を奪われ、声を失った人々と、長年沈黙を守り続けた社会の記憶だった――。ミステリー|行方不明1.7萬字5 94 -
完結第13話
嘘葬りの豆腐店
1991年、茨城の古い商店街で、豆腐屋の嫁・美香が突然姿を消した。 姑と夫が語ったのは、「男を作って夜逃げした」という話。幼い息子を置いて消えた母親として、美香の名は商店街で長く汚され続けた。 しかし6年後、借金による強制執行で高橋豆腐店が取り壊されることになる。誰も近づこうとしなかった裏手のボイラー室。そのコンクリートを掘り返した時、そこから現れたのは、色褪せたスカーフと小さな金の指輪だった。 男と逃げたはずの嫁は、なぜ自宅の床下にいたのか。 そして家族は、6年間何を隠し続けていたのか。 雨の夜に消えた母の名誉を取り戻すため、古い商店街の沈黙が少しずつ崩れ始める。ミステリー|行方不明1.9萬字5 13 -
完結第13話
消えた退院前夜
1991年5月、静岡県の総合病院で、退院を3日後に控えた43歳の女性・田中道子が忽然と姿を消した。 手術は無事に終わり、回復も順調。財布も保険証も病室に残されたまま、彼女だけが夜の病院から消えていた。 最後に確認されたのは、消灯時間の午後9時。翌朝、看護師がカーテンを開けた時、そこに道子の姿はなかった。 自ら出て行ったのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、病院の中で何かが起きていたのか。 家族は必死に行方を探し続けるが、手がかりは見つからないまま季節だけが過ぎていく。 そして8か月後、病院の監査で見つかった小さな異変が、すべてを変える。 消えた投薬記録。数の合わない睡眠導入剤。修正されたカルテ。 信じていた病院の奥で、道子に何が起きていたのか――。ミステリー|真相|行方不明1.9萬字5 9 -
完結第13話
長野中部山岳紅葉山カップル失踪事件
2019 年 10 月、韓国束草・雪岳山で忽然と姿を消した 20 代の恋人カップル。 山の監視カメラに最後の後ろ姿を残し、それきり跡形もなく消えてしまった二人。 大規模な山間捜索を何度も行ったものの、衣類の切れ端一つ見つからず、3 年間も謎のまま放置されていたこの失踪事件。 3 年後、排水溝の底から発見された一台の携帯電話。 本体に復元された記録の中に、たった 9 秒(原文 6 秒調整可)の謎の通話履歴が残っていたのです。 撮影した第三者の姿は監視カメラにも目撃談にも一切残らず、臨時インターネット電話番号からかかってきた不可解な電話。 通話直後、二人のスマホが同時に電源オフになる不可解な記録。 リュックの隠しポケットから出てきた手描き地図と謎のメモ「ここへ行けばある。17 時 25 分より前に渡るな」。 警察が調べても特定できない撮影者、地図に載っていない危険な山道、時系列が繋がる不自然な証拠たち… 長野(原文韓国束草に統一)の山に隠された、誰も想像できない真相とは? 年配の方も分かりやすく時系列順に整理した事件全貌、今すぐ全文を読んでみてください。真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 12 -
完結第13話
隠された十五年の物語
2005年、日本で誰も深く探ろうとしなかった不気味な過去がある。 生涯質素に暮らし、一文無しに近い老夫婦がいた。 一生懸命働き、大金とは無縁の日々を過ごしてきた二人に、思いがけない幸運が舞い込んだ。 閑古鳥が鳴くパチンコ店で、前代未聞の大当たりを出し、一夜にして大金を手に入れ、念願の一戸建てを購入したのだ。 苦労の末に手にした新居で、穏やかな老後が待っているはずだった。 だが誰も予想しなかった——引っ越してたった3日、老夫婦は新居ごと跡形もなく消え失せた。 庭の草木は新しく植えたばかりの瑞々しさを残し、部屋のお茶はまだ温かく、布団も整えられたまま。 主人だけが、この世から忽然と姿を消したのだ。 警察が数日間捜索したものの、手がかりは一切なく、最終的に不可解な失踪事件として処理された。 だが地元の古株の住民は皆知っている。この予期せぬ大当たりは、贈り物ではなく、命を懸けた交換取引だったと。 大金を手にした直後に消えた理由とは?空き家の下に隠された真実とは? 当時誰も口にできなかった封印された真相を、今こそ完全に解き明かす。真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.9萬字5 9