"父の料亭を継いだ翌日、板長が全員連れて独立" 第3話
素が触るとのが傷む」
それだけ言って鍋へ向き直った。
私は廊へてから法事のへ話し、こちらの都で献が変わる能性があることを謝った。料理の内容を決めるのが料理でも、お客様と約束をした責任は私にある。
昼には浦さんから話が来た。
「綾乃さん、確認したいんだけどな。11から魚の量を半分にすると板さんから聞いたんだが、本当か?」
私はわず子からちがった。
「そんな話はしていません」
11から忘会が始まる。
むしろ魚の量が増える季節だ。
話を切った私は、事記録と予約帳を机へ並べた。
そのから、のにある数字が、それまでとは違う顔で見え始めた。
過5の事記録を調べると、のを辞めたは22いた。14ほどの規模しかないにしてはらかにく、しかも辞めているのは追い回しの若者ばかりではない。向板、焼き方、仲居、洗い、そして5には副板まで辞めていた。
副板の名は沢渡直。私がの頃からにいて、父が「あれは腕がいい」と何度も褒めていただった。
「沢渡さんは、どうして辞めたんですか」
しずさんへ尋ねると、伝票を揃えていたが止まった。
「板さんと板で言いいになりまして」
「何のことで?」
「沢渡さんが考えた椀物を、板さんが『俺の真似だ』とおっしゃったんです。
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その、沢渡さんは何かも事な持ちからされました」
さらに予約帳を確認すると、11と12の会社宴会7件に、い鉛で「保留」とかれていた。
「これは何ですか?」
「9の終わり頃から、板さんにそうくよう言われました」
「何を保留するんです?」
「私にも分かりません」
15から25ほどの宴会ばかりだった。のにとって利益のきい客であり、予約を止める理由などない。
そのの夕方、私は正式に代表就任の続きを済ませた。
へ戻ると、しずさんが帳で待っていた。
「綾乃さん。先代から、代表がお代わりになったらお渡しするよう言われていたものがあります」
庫からてきたのは、あの黒ずんだ学ノートだった。
《の 入り》
父の字だ。
「は?」
「私はけておりません。先代から、見るなと言われておりましたので」
私はすぐにはかなかった。
父がくなってまだ数だ。遺言のようなものを見るの準備ができていなかった。
「で読みます」
そう言って帳の引きしへ入れ、鍵を掛けた。
翌朝、黒田さんを含む13が辞表を持って広へ集まった。
「今付けで辞めます」
13通の封筒は、全て同じ文具のものだった。
付も退職理由も同じ式でえられている。
誰かが用し、全員が名だけいたのだと目で分かった。
「引き継ぎは?」
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「ありません」
黒田さんは平然と答えた。
「駅にしいをします。物件も押さえてあります。この連も緒です」
「いつから準備を?」
「それを女将さんに言う必がありますか?」
その言葉で、私は葬儀から予約帳に付けられていた「保留」の文字をいした。
黒田さんはちがり、を腕へ掛けた。
「のの客は俺についてくる。この町で何もべさせてきたのは俺だ。あんたで何ができる」
私は13の顔を順番に見た。
最に柚君だけが、瞬こちらを見た。
助けてほしそうにも、謝りたそうにも見えた。
それでも何も言わなかった。
「分かりました」
私が答えると、黒田さんは本当に驚いた顔をした。
「それだけか?」
「皆さんが決めたことですから」
「で泣きついても遅いぞ」
私は引き止めなかった。
13がていった、板へ入ると包丁差しが空になっていた。料理の包丁は本のものだから当然だが、84続いたの板に料理を作れるがもいないという事実は、像以にかった。
そのの法事は、くの料理へをげて引き受けてもらった。
それからを休業し、すでに予約を受けていた客へ件ずつ話を掛けた。
「板の体制がうまで、お休みをいただきます」
言い訳はしなかった。
黒田さんの名もさなかった。
その方で、私は5に辞めた22の名を並べ始めた。
同じ頃、酒の杉野さんがへ来た。
「言うか迷ったんですが、9半ばに黒田さんがうちへ来たんです」
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