"嫁の「逃げて」で暴かれた妻の計画" 第6話
来た。
施設の職員が言っていた診断。
私は々しく頷いた。
「そうしよう。おがそこまで言うなら」
美佐の顔がるくなった。
その夜から、私は彼女の芝居にわせることにした。
「あなた、私たちの結婚記って覚えてます?」
夕の途、美佐が何気なく尋ねる。
本当の付はもちろん覚えていた。
だが私はしばらく考えるふりをして首をかしげた。
「さあ……何だったかな」
美佐は「まあ」としそうな顔をした。
しかしその目の奥に浮かんだ堵を、私ははっきり見た。
数には、さらに奇妙なことが起こり始めた。
卓に置いたはずの鏡が蔵庫からてきた。
テレビのリモコンが駄箱に入っていた。
財布が洗濯のへ移されていた。
最初は本当に自分でやったのではないかと戸惑った。
しかし度続けば偶然ではない。
「あなた、またこんなところに鏡を入れて」
美佐はらなかった。
むしろ優しく肩を抱いた。
「配だわ。昨はガスも消し忘れていたでしょう」
そんな事実はない。
にもかかわらず、翌には所の女性をへ招き、私ので同じ話をした。
「最、主の物忘れがひどくて。ガスまで消し忘れることがあるんですよ」
所の女性は気の毒そうに私を見た。
私は腹の奥が煮えくり返った。
だが何も言わなかった。
周囲に《夫は認症》という認識を植えつける。
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あとで私が「妻に騙された」と訴えても、「認症のの妄ではないか」とわせるためだろう。
そのに気づいてから、美佐の優しさが恐ろしくなった。
ある夜、彼女が呂へ入っているに、私は斎へ向かった。
実印を入れていた引きしをける。
空だった。
臓がく鳴った。
探したが見つからない。
美佐が呂からてくるに戻らなければならず、そのは諦めた。
その夜、美佐が眠ったあと、私は再び起きがった。
寝息が規則正しくなるまで分以待ち、音を殺してクローゼットや棚を調べた。
本棚の最段。
普段ほとんど触らない古い箱。
蓋をけた瞬、息が止まった。
私の実印が入っていた。
その横にはテナントビルと賃貸物件の登記関係類のコピー。
さらに《財産管理委任状》のひな形。
署名欄だけが空になっている。
私が認症になり、施設へ入れられ、そのに実印を使って類をえる。
浩はすでに産会社を回っている。
恐ろしいほど筋が通っていた。
箱の底にはさな帳も入っていた。
《病院》
《施設相談》
《浩と面会》
《産》
付と予定が、数か先までびっしりき込まれていた。
そして最に、あの保険会社の類があった。
私は震えるで枚ずつ写真を撮り、桜へ送信した。
その瞬、寝で布団がく音がした。
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私は急いで箱を戻し、布団へ滑り込んだ。
数秒。
「あなた?」
美佐の声。
「起きてる?」
「……いや」
私は寝ぼけた声をした。
暗ので彼女がこちらを見ている気配がした。
やがて再び横になる音がした。
私は朝までもできなかった。
翌朝、美佐が買い物へた直、桜から話が来た。
「写真、全部確認しました。也さんも浩のことを調べています」
「何か分かったか」
「像より悪いです」
浩は事業に失敗したあと、複数の債権者から返済を求められ、まとまったが必な状態だった。
そして桜が産会社を回って聞きしたところ、浩は私のテナントビルを「自分がいうち自由に処分できる物件」のように話していたという。
《相よりくてもいい》
《実印と必類は用できる》
《売却代はく現化したい》
私は話を握りしめた。
「完全に私の建物を自分のものだとってるじゃないか」
「それだけじゃありません」
桜の声がくなった。
「美佐さんの箱にあった保険の類、私がし調べています。ただ、まだ確実じゃないので、もうし待ってください」
そのの午、美佐が帰ってきた。
元はいつものように笑っていたが、なぜか目がたく見えた。
数、彼女は私を病院へ連れてった。
認能を診る簡単な検査も受けたが、私は質問へ普通に答え、医師かららかな異常は見られないと言われた。
診察をた、美佐の顔がほんの瞬張った。
欲しかった診断がに入らなかったのだろう。
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