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"60万円の命の値段" 第5話

ですが彼は、危篤に陥った先代総帥の延命処置費用万円を『の無駄だ』と吐き捨て、私を無の介護奴隷として扱おうとしました。さらに、社内での横領、専務との正資洗浄への加担……証拠はすべて揃っています」

「め、滅相もございません! 即刻、懲戒解雇にいたします! 今すぐ警察へ突きして——!」

「待ちなさい」

美央は氷のようにたい声で命じた。

「、父の国葬級の社葬を港区の青斎で執りいます。彼には、指定の所だけを伝えてあります。彼は違いなく、私を連れ戻すためにそのへ乗り込んでくるでしょう。……塚社、あなたの役割はそのに最列で参列し、私の図とともに、彼に相応しい引導を渡すことです」

「は、ははっ! 仰せの通りにいたします!」

塚が画面の向こうで額をに擦り付けるのを見届け、美央は通信を切断した。

盤の駒はすべて揃った。

その、執務のドアがノックもなくかれた。び込んできた秘が、青ざめた表で告げた。

「統帥様! 医療センターから緊急です! 先代総帥の肺能が急激に……今、止状態に陥りました!」

「——っ!」

美央は机ののファイルを掴み、夜の京を切り裂くように病院へと急した。

赤灯を点滅させたハイヤーが特別医療センターのロータリーに滑り込む。美央が最階の特別集治療へ駆け込んだ、張り詰めたアラーム音が内に鳴り響いていた。

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型モニターの波形が激しく乱れ、数名の医師団が必の蘇措置を試みている。

「昇圧剤最投与! 除細器、百ジュール用!」

「やめてください!」

美央の凛とした声が、緊迫した空気を瞬で静寂に変えた。

「……もう、父を苦しめないでください」

医師たちが静かにを止め、をあけた。美央はベッドに歩み寄り、無数の管に繋がれた父のたいを両で包み込んだ。骨が浮きるほど痩せ細った。だが、幼い頃から美央を慈しみ、巨な責任の圧から守り続けてくれた、温かいだった。

図の警告音が微かにまり、奇跡のように、総郎の瞼がかすかに震えた。

濁っていた瞳に、わずかなが宿る。

「……み、お……」

酸素マスクのから漏れたのは、途切れ途切れの、しかし確かな父の声だった。

「お父さん、ここにいるわ。美央よ」

「……すま、なかったな……。窮屈なに……閉じ込めて……」

美央の頬を、筋のい涙が伝い落ちた。

「謝らないで。私、お父さんの娘にまれて本当に幸せだったわ。普通の活に憧れてをたけれど……守るべき誇りが何なのか、ようやく分かったの」

総郎の唇が、微かに微笑むように歪んだ。

「……おは……優しい。だが……これからは……徹になれ……。馬の板は……数万の命を……背負っている……。き者を守るため……悪しき者を……断ち切れ……」

「ええ、約束するわ。お父さんが遺してくれた帝国のすべてを、私が守り抜く」

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美央の言葉を聞き届けると、総郎の指先から、ふっと力が抜けた。

ピーーーーー。

無質ない子音が、静かな病に響き渡った。

医師がみて、計を確認する。

「午分、ご臨終です」

部にいたすべての医療スタッフ、そして黒田をはじめとする側たちが、斉にに片膝をつき、々とを垂れた。

美央は涙を拭い、静かにちがった。その双眸からは、もはや切の迷いも壮も消えっていた。

「黒田さん」

「はっ」

「これより、私が馬グループの全指揮権を継承します」

「承いたしました、統帥様」

呼び名が「お嬢様」から「統帥」へと変わった瞬、美央の胸の奥で、真の支配者としての覚悟が鋼のように固まった。

翌朝、美央は元のスマートフォンをき、達也からの数件に及ぶ罵詈雑言のメッセージに対し、最初で最の返信を打ち込んだ。

『父はくなりました。の午より、港区青の斎にて告別式をいます。典はです』

送信ボタンを押してわずか秒、達也から嘲笑に満ちた返信が届いた。

『ハッ、やっとくたばったか! ボロ葬儀にわざわざ向いてやるんだから謝しろよ。逃げるなよ、終わったら即座に母さんのの世話をさせるからな!』

美央はその画面をたく見つめ、静かに呟いた。

「ええ、待っているわ。

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