みかん小説
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"お湯を奪われた嫁" 第4話

私はコーヒーをみ干すと、ちがって仕事へ向かう支度を始めた。 背で、裕介がを抱えてダイニングチェアに崩れ落ちる音が響いていた。

活費の拠を止し、庭内ストライキを宣言してから目の曜。 私は宣言通り、自分の夕は仕事帰りにコンビニやお弁当で調達し、自分の洗濯物だけを洗い、義母や夫の世話を完全に放棄した。

のの荒廃は、恐ろしいスピードでんでいた。 リビングのゴミ箱は溢れかえり、シンクにはにつけられていない油まみれの皿が積みになり、洗濯のには湿ったまま放置された裕介のワイシャツが異臭を放っていた。 名もなき事――トイレットペーパーの補充、排の掃除、調料の残量管理――そのすべてを私がで担っていた現実に、はくも打ちのめされていた。

午。定退社した私は、静まり返った自宅に戻った。 裕介は残業、義母の静子は所のゲートボール仲の集まりにかけており、のには誰もいなかった。

(来からの完全分に向けて、私の私物と類を理しておかなければ)

私は階の納戸へ向かい、結婚当初に持ち込んだ自分の装ケースを理し始めた。 奥の押し入れの板が、ミシリと自然に浮きがっているのに気づいたのは、そのだった。

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「……何かしら、これ」

板の隙に指をかけると、簡単に板がれた。 の断材の隙。埃をかぶった古い箱が、隠されるようにして押し込まれていたのだ。 箱の蓋をけると、からてきたのは、何冊もの古い通帳、そして冊の分い『黒革の帳』だった。

表には、にくなった義父・正蔵(しょうぞう)の几帳面な跡で、こう記されていた。 【野 資産・相続・借入に関する覚】

私は胸騒ぎを覚えながら、その帳のページをめくった。 そこに記されていたのは、私の像を絶する、このの「真実の歴史」だった。

『平成。静子の放漫な浪費(級呉、宝、怪しげな投資信託)により、計破綻の危。負債総額、千百万円』 『正蔵の退職を借りし、親戚からの借入により辛うじて完済。静子には今切の銭管理権を与えないこととする』

ページをめくるが、震えた。 義母がかつて誇らしげに語っていた「私がこのを切り盛りし、夫を支えてきた」という武勇伝は、すべて真っ赤な嘘だったのだ。 彼女は計を支えるどころか、浪費でを破滅させかけた科者だった。

そして――帳の最のページ。 義父がくなる直、震えるで記された遺言の控えと、枚の誓約のコピーが挟まれていた。

付は、私たちが同居を始めるか。

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そこにかれていた条文を読んだ瞬、私の全の血液が、気に沸騰した。

【誓約】 、静子は、男・裕介の妻である真理子に対し、同居の対価として実質な計維持をしてはならない。 、正蔵が遺した遺産千万円のうち、千万円は真理子の将来の活保障および宅ローン繰りげ返済用として、裕介名義の別座に信託保管するものとする。 、本誓約に違反し、真理子に対して精神・経済虐待を加えた、静子は本の居権を即喪失し、裕介は保管された遺産の全額を真理子へ譲渡するものとする。

誓約の末尾には、義父・正蔵の署名押印。 そして、その隣に並んでいたのは――違いなく、義母・静子と、夫・裕介の自署と実印だった。

「……嘘……でしょ……?」

私の喉から、乾いた掠れ声が漏れた。 義父は、千万円というを、私のために遺してくれていた? そして、裕介と義母は、そのを私に完全に隠蔽したまま、私の取り万円から毎万円を毟り取り、あまつさえ「の居候」と罵倒してお湯すら使わせなかったというのか――!?

カチャリ。 階の玄関のドアがき、けたたましい笑い声が静寂を破った。

「ただいまー! 裕介、今も美しいお寿司でも取ってもらいましょうかねえ!」 帰宅した静子の、図々しい声。

私は黒革の帳を胸に抱き締め、暗ので静かにちがった。

もはや、ただの計の揉め事ではない。

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