みかん小説
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"お湯を奪われた嫁" 第5話

これは、私を搾取し、騙し続けてきた親子に対する、完全なる「処刑」の始まりだった。

暗の納戸ので、私はスマートフォンのカメラを起し、黒革の帳に記されたすべてのページ――義父の覚、誓約、そして信託座の名と座番号を、枚残らず解像度で撮した。

画面に浮かびがる、夫・裕介の実印の。 『真理子に対する精神・経済虐待を加えた、本の居権を即喪失し、遺産全額を真理子へ譲渡する』。

震える指先で画像をクラウドストレージへにバックアップし、帳を寸分の狂いもなく元の箱へ戻し、板をはめ直した。 音を忍ばせて階の自へ戻ると、臓の鼓が鐘のように胸を打っていた。

りではなかった。 あまりの悪辣さ、あまりの浅ましさに、胸の奥からたいヘドロのような嫌悪がせりがっていた。

、義父がくなった、裕介は神妙な顔をして私にこう言ったのだ。 『親父は昔気質のだったからさ、遺産なんてほとんど残ってなかったよ。葬式代とのローンの残債でトントンだ。だからこれからは、俺たち夫婦で力をわせて母さんを支えていかなきゃいけないんだ』

あの神妙な横顔、あの涙。 すべては、私に万円の活費を吐きさせ、自分たちの遊興費と母親の浪費を維持するための、周到なペテンだったのだ。

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義父が遺してくれた千万円の「真理子のための盾」を懐に隠し持ちながら、の夜に帰宅した私に「お湯を使うな、で分だ」と言い放った親子。

「絶対に、許さない」

私はデスクに向かい、ノートパソコンをいた。 翌の休暇申請ボタンをクリックし、続けて都内の法律事務所のサイトから、遺産相続と婚問題にい弁護士の初回相談枠を予約した。

翌朝、午。 私は裕介と静子が払ったのを見計らい、へ向かった。 向かったのは、誓約に記されていた方の支。 窓で、持参した戸籍謄本と義父の除籍謄本、そして誓約のプリントアウトを提示した。

「お客様、こちらは裕介様名義の定期預座となっておりますが……」 対応した窓担当者は困惑の表を浮かべた。 当然だ。名義本ではない私が、預を引きすことはできない。

「引きしを求めているのではありません」私は静かに告げた。「この座が、くなった義父・野正蔵の遺産分割協議および誓約に基づき、私に対する信託保全座として設定されている事実の確認と、残証の発申請に参りました。弁護士を通じての照会も本にわれます」

担当者が奥の役席へ類を持っていき、待たされること分。 戻ってきた支代理の男性は、青ざめた顔で私を応接ブースへと案内した。

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「野様……確認が取れました。この座は、正蔵様の公正証遺言の付帯条項に基づき、特殊な条件付き信託座として登録されております。現の残は……」

提示された残照会票の数字を見て、私の呼吸が止まりかけた。

【現残:14,200,000円】

千万円あったはずの預が、約百万円も目減りしていた。 取引履歴の細を印字してもらうと、そこには過にわたり、裕介の個座へ毎万円ずつ、械に定期送されていた記録がびっしりと並んでいた。

裕介のあの贅沢なゴルフ昧、級スポーツカーのカスタムパーツ、そして静子の定期な温泉旅。 その原資は、私のための遺産をい潰しただったのだ。

そのの午、私は本にある『望総法律事務所』の扉を叩いた。 迎えてくれたのは、事事件と民事信託を専とするベテラン弁護士・望冴子(もちづき・さえこ)。鋭い縁鏡の奥に、理なを宿した女性弁護士だった。

私が持参した誓約のコピー、信託座の残履歴、そして過の私のクレジットカード細と計支のメモを通り確認した望弁護士は、いため息をついた、ペンを机に置いた。

「野さん。……これは、極めて悪質ですね」

「法に、この誓約は効なのでしょうか」

「完全に効です」

望弁護士は力く頷いた。

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