"午前5時30分の配車係" 第7話
由紀子がをたと致する。
に乗ってしばらくすると、由紀子は川の運転がおかしいことに気づいた。
速度が定しない。
度、央線へ寄った。
「本当に丈夫?」
由紀子が尋ねた。
川は、
「平気だよ」
と答えた。
「どこかでろして」
「まで送る」
「いいからめて」
川は通りのない自社倉庫の駐へを入れた。
由紀子はドアをけた。
まだ完全にはりていなかった。
片を面へしたところで、川はをしろへかした。
本は、
「斜めだったのでめ直そうとした」
と説した。
いた助席のドアが由紀子の体を押した。
彼女はバランスを崩した。
ろへ倒れ、
部をいコンクリート製の止めに打ちつけた。
*
「そのでくなったといましたか」
「最初は」
「確認しましたか」
「呼びかけました」
由紀子は反応した。
目をけた。
川の名も呼んだ。
数分には、自分で半を起こそうとしたという。
「じゃあ、きていた」
川は俯いた。
「はい」
「救急は?」
「呼んでません」
「なぜ?」
川は何度かをいた。
だが、最初にてきたのは、
「怖かった」
だった。
当、川は配送会社の仕事のほとんどを自分で回していた。
医療器や介護用品を病院へ届ける仕事。
を運転できなくなれば、会社そのものが止まる。
数、酒の運転で処分を受けたこともあった。
広告
再び酒運転の事故と分かれば、取引先を失う。
「だからを病院へ連れていかなかった?」
「し待てば、酒も抜けるとったんです」
「瀬さんのの怪より、自分の酒が抜けるを優先した?」
川は答えなかった。
*
事故、由紀子は倉庫内の休憩へ運ばれた。
ソファへ寝かされ、濡らしたタオルをに当てられた。
過ぎ。
由紀子は度、はっきり目をけた。
「帰る」
と言った。
川は、
「し休んでから」
と答えた。
「修平に話する」
その言葉を聞いたことを、川は認めた。
「話させましたか」
「携帯が壊れていたんです」
事故の際、由紀子の携帯話は面へ落ちていた。
液晶が割れ、源が入らなくなった。
「会社の話はありましたね」
川は黙った。
「なぜ使わせなかったんですか」
「警察を呼ばれるとった」
それが本当の理由だった。
由紀子が夫へ連絡すれば、迎えに来る。
怪を見れば病院へ連れていく。
病院では、どうして怪をしたのか聞かれる。
川の酒気帯び運転もらかになる。
だから、
「し待って」
と言い続けた。
午零頃になると、由紀子は吐いた。
会話も噛みわなくなった。
自分がどこにいるか尋ねられても答えられない。
川はそこで初めて、庭へ話した。
青葉ホームとは仕事の付きいがあった。
困っているをに預かることがあるとっていた。
広告
「りいの女性が転んだ」
「庭の事がある」
「病院や警察にはきたがらない」
そう説した。
午過ぎ。
由紀子は再びへ乗せられた。
「本は嫌がらなかったんですか」
浦が尋ねた。
川は、
「もう、ほとんど話せなかった」
と答えた。
それは同ではなかった。
自分で拒否する力さえ失っていただけだった。
*
警察は当の青葉ホームの元職員も探した。
だけ、由紀子が運び込まれた夜を覚えている女性がいた。
元介護補助員の林文。
「普通の入居者じゃなかったです」
文は話した。
夜に男性が女性を連れてきた。
由紀子は歩けず、両脇を支えられていた。
部にはきな腫れがあった。
文は、
「救急にった方がいい」
と言った。
川は、
「本が嫌がっている」
と繰り返した。
「ユキさんは本当に嫌だと言いましたか」
浦が尋ねた。
文は首を振った。
「何も言えてなかったです」
翌朝。
由紀子は目を覚ました。
文が名を尋ねると、
「ゆきこ」
までは言えた。
名字はなかった。
「族は?」
と尋ねると、
「しゅうへい」
と言った。
文はを渡した。
由紀子は震えるで、
【しゅ】
とだけいた。
「私、話番号が分かるか聞いたんです」
「どうでした?」
「数字をつくらい言ったけど、続かなかった」
文は庭へ、
「元を調べた方がいい」
と伝えた。
だが庭は、
「川さんが族と話をつける」
と言った。
その族へ連絡が来ることはなかった。
*
事故の翌朝。
修平は警察署にいた。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
DNA鑑定が暴いた元夫の大きな間違い
出産直後、山野リサは義母から「生まれた娘は本当に息子の子なのか」と身に覚えのない不貞を疑われ、さらに夫・ただしからも信頼を裏切る言葉を浴びせられる。DNA鑑定で親子関係が証明されても、二人は過ちを認めず、リサと幼い娘カナを家から追い出してしまう。 絶望の中、実家へ戻ったリサは両親の支えを受け、母として娘を守る決意を固める。努力を重ねてキャリアを築き、カナと共に幸せな人生を歩んでいた。 8年後、華やかな企業パーティーで再会したのは、落ちぶれた元夫と元義母だった。一方、成長したカナは優秀な少女へと成長し、リサには新たな人生を共に歩む大切な存在がいた。 かつて母娘を捨てた二人は後悔し、許しを求める。しかし、リサは過去に向き合い、毅然と決別する。 愛する娘を守り抜いた一人の母が、傷を乗り越え、本当の家族と幸せを手に入れる再生の物語。嫁姑|真相1.8萬字5 110 -
完結第13話
消えた退院前夜
1991年5月、静岡県の総合病院で、退院を3日後に控えた43歳の女性・田中道子が忽然と姿を消した。 手術は無事に終わり、回復も順調。財布も保険証も病室に残されたまま、彼女だけが夜の病院から消えていた。 最後に確認されたのは、消灯時間の午後9時。翌朝、看護師がカーテンを開けた時、そこに道子の姿はなかった。 自ら出て行ったのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、病院の中で何かが起きていたのか。 家族は必死に行方を探し続けるが、手がかりは見つからないまま季節だけが過ぎていく。 そして8か月後、病院の監査で見つかった小さな異変が、すべてを変える。 消えた投薬記録。数の合わない睡眠導入剤。修正されたカルテ。 信じていた病院の奥で、道子に何が起きていたのか――。ミステリー|真相|行方不明1.9萬字5 9 -
完結第13話
長野中部山岳紅葉山カップル失踪事件
2019 年 10 月、韓国束草・雪岳山で忽然と姿を消した 20 代の恋人カップル。 山の監視カメラに最後の後ろ姿を残し、それきり跡形もなく消えてしまった二人。 大規模な山間捜索を何度も行ったものの、衣類の切れ端一つ見つからず、3 年間も謎のまま放置されていたこの失踪事件。 3 年後、排水溝の底から発見された一台の携帯電話。 本体に復元された記録の中に、たった 9 秒(原文 6 秒調整可)の謎の通話履歴が残っていたのです。 撮影した第三者の姿は監視カメラにも目撃談にも一切残らず、臨時インターネット電話番号からかかってきた不可解な電話。 通話直後、二人のスマホが同時に電源オフになる不可解な記録。 リュックの隠しポケットから出てきた手描き地図と謎のメモ「ここへ行けばある。17 時 25 分より前に渡るな」。 警察が調べても特定できない撮影者、地図に載っていない危険な山道、時系列が繋がる不自然な証拠たち… 長野(原文韓国束草に統一)の山に隠された、誰も想像できない真相とは? 年配の方も分かりやすく時系列順に整理した事件全貌、今すぐ全文を読んでみてください。真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 12 -
完結第13話
隠された十五年の物語
2005年、日本で誰も深く探ろうとしなかった不気味な過去がある。 生涯質素に暮らし、一文無しに近い老夫婦がいた。 一生懸命働き、大金とは無縁の日々を過ごしてきた二人に、思いがけない幸運が舞い込んだ。 閑古鳥が鳴くパチンコ店で、前代未聞の大当たりを出し、一夜にして大金を手に入れ、念願の一戸建てを購入したのだ。 苦労の末に手にした新居で、穏やかな老後が待っているはずだった。 だが誰も予想しなかった——引っ越してたった3日、老夫婦は新居ごと跡形もなく消え失せた。 庭の草木は新しく植えたばかりの瑞々しさを残し、部屋のお茶はまだ温かく、布団も整えられたまま。 主人だけが、この世から忽然と姿を消したのだ。 警察が数日間捜索したものの、手がかりは一切なく、最終的に不可解な失踪事件として処理された。 だが地元の古株の住民は皆知っている。この予期せぬ大当たりは、贈り物ではなく、命を懸けた交換取引だったと。 大金を手にした直後に消えた理由とは?空き家の下に隠された真実とは? 当時誰も口にできなかった封印された真相を、今こそ完全に解き明かす。真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.9萬字5 9 -
完結第13話
消えた母の 10 年地下室
1993 年、お盆の帰省途中で姿を消した若い母親―10 年後、地下室で衝撃の真実が明らかに! 隣に住む親切な青年が、彼女を長年地下室に監禁していた悪夢の物語。 幼い息子だけが地下室に隠れた母と遭遇し、守らなければならない秘密を抱える。 夫の不審な観察、祖母の疑念、犯人の焦り… 積もった疑惑がついに決定的な瞬間を迎える。 10 年間の監禁、脅迫、欺瞞が一気に暴かれる衝撃結末。 失われた家族の絆が、長い悪夢を乗り越えて再びつながるまでの全記録。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 16 -
完結第13話
消えた23人の観光団
2025年9月29日、福岡に約2700人の団体観光客が一斉に降り立った。 その日を境に、日本各地で不可解な失踪が相次ぎ始める。タクシー運転手、配達員、宿泊施設の関係者――いずれも夜、一人で行動することの多い男性たちだった。 やがて糸島の海岸で発見された身体の一部が、事件の扉を開く。 捜査を進める刑事・鈴木健二は、失踪した観光客、黒いワゴン車、古い倉庫、医療機器販売会社、そして横浜港へ向かう冷凍コンテナという、ばらばらに見えた点を追い始める。 これは単なる失踪事件ではない。 観光の人波に紛れ、日本の空き倉庫や港を利用して動いていた国際犯罪組織。その裏には、人間を“商品”のように扱う恐ろしい取引が隠されていた。 救える命はまだ残っているのか。 そして、海へ消えた男と「王」と呼ばれる人物の正体とは――。 福岡から始まった小さな違和感は、やがて日本全体を揺るがす闇へとつながっていく。ミステリー|真相2.0萬字5 11 -
完結第11話
消えた父子の23枚
2017年3月、奥多摩の山中で、元消防士の伊藤大輝と生後8か月の赤ん坊が跡形もなく姿を消した。 父子は遭難したのか。それとも、誰かから逃げていたのか。遺体も手がかりも見つからないまま、事件は6年の時を経て忘れられようとしていた。 しかし2023年、地質調査に訪れた大学生2人が、岩の隙間から古いデジタルカメラを発見する。そこに残されていたのは、赤ん坊を抱く父親の写真と、背後から近づく不審な人影だった。 さらに調査を進めるうち、2人は「伊藤ハルト」という名前を消され、「鈴木湊」として生きる青年にたどり着く。 彼は本当に、6年前に消えた赤ん坊なのか。 そして大輝が命をかけて守ろうとした“真実”とは何だったのか。 1台のカメラが、封じられた過去と、血よりも深い父の愛を静かに暴き出していく。ミステリー|真相1.6萬字5 11 -
完結第11話
湯殿床下の女将日記
1999年、銀山温泉の老舗旅館「白糸屋」で、女将・鍛原沢子が忽然と姿を消した。 部屋は整えられ、財布も草履も残されたまま。争った跡もなく、まるで朝霧に溶けたように、彼女だけが消えていた。 夫を亡くしてから10年、たった1人で旅館を守ってきた沢子。だが失踪の数日前、東京から来た見知らぬ男と長く話し込み、その後、彼女の顔は真っ青になっていたという。 捜査は進まず、白糸屋はやがて閉ざされた。 それから6年後、取り壊しが決まった旅館の湯殿の床下から、油紙に包まれた一冊の帳面と銀色の帯留めが見つかる。 そこに残されていたのは、沢子が誰にも言えなかった苦しみと、息子の名前。 そして、40年以上湯殿を守ってきた三助の老人だけが知る、霧の朝の本当の出来事だった――。ミステリー|真相1.6萬字5 8 -
完結第11話
夫の顔と20年目の罪
8歳の事故で母と光を失った桜田はるかは、暗闇の中でピアノだけを支えに生きてきた。 父の死後、叔父に勧められるまま結婚した相手は、名門病院の跡取り息子・桜田真一。寡黙ながらも優しく、毎日花束を贈ってくれる夫を、はるかは心から信じていた。 そしてある日、20年待ち続けた角膜移植手術の順番が回ってくる。 初めて夫の顔を見られる――。 そう思って迎えた包帯を外す日。眩しい光の中で、はるかの前に立っていたのは、愛していたはずの夫とはまるで違う男だった。 「あなたは誰?」 病室に凍りつく空気。夫を名乗る男、黙り込む周囲、そして誰もが隠していた結婚の嘘。 やがてはるかは、20年前の事故と、ガーベラに隠された本当の意味へとたどり着いていく。人生逆転|夫婦|真相1.7萬字5 6 -
完結第12話
世田谷一家殺害事件:隠された真実
昭和から平成を跨ぎ、25 年も国民の心に重くのしかかった世田谷一家惨殺事件。 長年流れていた外国人犯・国際組織の説は、すべて犯人が仕掛けた壮大な罠だった。 今回、長年閉ざされていた目撃証言、パソコンに残る夫婦の秘密相談記録、最新 DNA 鑑定の結果が一斉に明らかに。 地域で穏やかな人物として知られた隣人が、なぜ一家四人を惨殺するに至ったのか。 先祖から背負わされた重い十字架、古き因縁、一家が踏み込んでしまった禁忌の領域 —— 邸宅の壁に刻まれた 25 年分の悲しみと真実、一語一句逃さずお伝えします。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.8萬字5 18