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51%の警備員

51%の警備員

30年間、大成グループ本社の正門に立ち続けた年老いた警備員・大川松蔵。 社員の名前を覚え、体調の悪い者にはそっとコーヒーを渡し、誰よりも深く頭を下げてきた男だった。だがある日、会長の息子である専務・大森貴彦は、そんな松蔵を社員たちの前で罵倒し、胸の名札を乱暴に引きちぎる。 「今すぐ出て行ってください」 松蔵は何も言い返さず、床に落ちた名札を拾い、静かに会社を去った。 しかし翌日、貴彦を代表取締役に選任する臨時取締役会に、松蔵は古い背広姿で現れる。 昨日まで誰もがただの警備員だと思っていた老人。その正体を知った瞬間、経営陣は一斉に立ち上がり、彼に向かって深々と頭を下げた。 なぜ、30年間ロビーに立ち続けた警備員が、会社の運命を左右できるのか。 そして、引きちぎられた名札に隠されていた本当の意味とは――。
門前のコーヒー
深淵に沈んだ家族

深淵に沈んだ家族

1998年、仙台に住む14歳の森本純平は、インフルエンザで家族旅行に行けず、玄関先で父、母、姉、妹を見送った。 黄色いホンダ・アコードは、いつものようにクラクションを2度鳴らして角を曲がった。 それが、家族を見た最後だった。 事故なのか、失踪なのか、事件なのか。答えが出ないまま20年が過ぎたある日、純平のもとに岩手県警から電話が入る。 「ご家族の車を発見した可能性があります」 見つかったのは、岩手の森の奥に開いた巨大な陥没穴。そこには、何十台もの車が墓標のように積み重ねられていた。 その中に、家族が乗っていた黄色い車があった。 さらに後部窓には、鋭いもので刻まれた一言。 「助けて」 純平の家族は、なぜこの森にたどり着いたのか。車を売った中古車店の男は、20年前に何を知っていたのか。 そして、穴の底に眠っていたのは、ひとつの家族の悲劇だけではなかった――。
二度鳴るクラクション
止まったカードと空の家

止まったカードと空の家

夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
舞の新居ノート
捨てた妻の春

捨てた妻の春

離婚したその日、吉田静香は妊娠3ヶ月だった。 夫・城戸隼人は初恋の女性と再婚するため、静香の涙にも気づかず離婚協議書に判を押した。そこには「婚姻中の子供なし」と記されていたが、静香のお腹には、すでに小さな命が宿っていた。 引き止めることも、告げることもせず、静香は1人で子供を産む決意をする。 生まれた息子・春を抱きしめながら、彼女は小さな写真館「時間」を開き、母として、写真家として、懸命に生きていった。 それから12年後。 春の卒業式に、成功した実業家となった隼人が来賓として現れる。何も知らないままステージに立った彼の前に、花束を抱えた1人の少年が歩み寄った。 その顔を見た瞬間、隼人の表情が凍りつく。 失った時間は、どれだけ金を積んでも戻らない。 12年越しに明かされる真実が、彼の人生を静かに崩していく――。
清澄しずか
親友に夫を譲った日

親友に夫を譲った日

家事、育児、義母の介護、そしてパート。 小島弥生は10年間、夫・友幸の家庭を支えるために、休む暇もなく働き続けてきた。 そんなある日、出張から戻ったはずの夫が、突然リビングで土下座する。 「お前の親友を妊娠させた」 隣にいたのは、大学時代から親友だと思っていた舞子だった。舞子は悪びれるどころか、勝ち誇った顔で言い放つ。 「旦那はもらうから、あんたは出ていって」 しかし弥生は泣き崩れることも、怒鳴ることもしなかった。 「喜んで」 そう答えた彼女は、実は5年前からすべてを知っていた。夫の裏切りも、親友の本性も、そして自分が見下され続けていたことも。 証拠、住まい、収入、義母の行き先。 すべての準備を終えた弥生が静かに家を出た3日後、舞子から血相を変えた電話がかかってくる。 奪ったはずの夫には、もう何も残っていなかった――。
やよいの再出発メモ
中卒社員の逆転邸宅

中卒社員の逆転邸宅

中卒というだけで副社長に見下され、追い出し部屋へ異動させられた真司。 かつて父の会社を救うため進学を諦め、20年以上エンジニアとして働いてきた彼だったが、新しく就任した副社長は学歴だけで人を判断し、低学歴の社員たちを次々と窓際部署へ追いやっていく。 それでも真司は、妻の出産を控え、家族を守るために耐え続けていた。 やがて無事に子どもが生まれ、職場へ復帰した真司に、副社長はさらに残酷な言葉を投げつける。 「低学歴、低収入の子供がどんな顔してるのか見てみたいな」 その瞬間、真司は静かに微笑んだ。 「いいですよ。今週の土曜日、うちに来てください」 冷やかし半分で自宅へやって来た副社長たち。だが、案内された先で彼らが目にしたのは、想像もしなかった豪邸と、リビングで待っていた“ある人物”だった。 中卒と笑われ続けた男が、家族と仲間を守るために仕掛けた静かな反撃とは――。
真司の開発ノート

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足柄サービスエリア失踪事件

足柄サービスエリア失踪事件

1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
秋田 悠真
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
午前三時の逃走

午前三時の逃走

深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
梅庭せつこ
槍ヶ岳の残響 消えた登山家の真実

槍ヶ岳の残響 消えた登山家の真実

1998年、北アルプス槍ヶ岳で忽然と姿を消した女性登山家・伊藤さゆり。 警察は長年、遭難事故として処理した。 だが9年後、絶壁の岩隙間に眠っていた一台のカメラが、誰も知らなかった戦慄の真実を暴き出す―― 岩壁に刻まれた山岳会のロゴ、隠された証拠、裏切りと殺意。 埋もれた十年の沈黙が、今、崩れ落ちる。 山岳失踪事件の裏に隠された悪意、決定的な証拠がついに判明!
雪川 凜
名刺一枚の逆転縁談

名刺一枚の逆転縁談

美容師として働く藤井まなみは、恋人・桜庭優馬からプロポーズを受け、結婚を決意する。 しかし、優馬の両親は最初からまなみを見下していた。服装、髪色、職業、そして実家のことまで決めつけ、「うちの息子とは釣り合わない」と一方的に別れを迫ってくる。 迎えた両家顔合わせの日。 港区のタワーマンション暮らしを誇る優馬の父は、まなみの父が「スーパーで働いている」と聞いた途端、露骨に笑った。 「スーパー勤めのお父さんでは、家柄がねぇ」 その場で結婚をなかったことにしようとする桜庭家。まなみは悔しさに言葉を失うが、父は最後まで穏やかな表情を崩さなかった。 そして静かに、1枚の名刺を差し出す。 それを受け取った瞬間、優馬の父の顔色が変わった。 見下していた“スーパー勤めの父”の本当の正体とは。 家柄や肩書きで人を判断した家族が、たった1枚の名刺で言葉を失う――痛快な逆転劇。
まなみ
ロッカー裏の花嫁

ロッカー裏の花嫁

1991年5月、新婚旅行へ向かう途中の足柄サービスエリアで、結婚してわずか3日目の妻・鈴木彩が突然姿を消した。 「すぐ戻るわね」 そう言ってトイレへ向かったはずの彩は、売店にも食堂にも駐車場にもいなかった。財布だけを持って車を降り、身分証明書も荷物も残したまま、彼女は人混みの中から跡形もなく消えてしまう。 夫の佐藤匠は必死に妻を探し続けたが、目撃者も防犯カメラもなく、事件は未解決のまま時間だけが過ぎていった。 しかし10年後、サービスエリアの改装工事中、古いロッカーの裏から埃まみれの財布が見つかる。 そこに残されていた指紋が示したのは、夫でも通りすがりの犯人でもない、彩の過去にいた1人の男だった。 新婚3日目の花嫁は、なぜサービスエリアで消えたのか。 そして、10年間ロッカーの裏に眠っていた財布は、どんな真実を語り始めるのか――。
あしがら記録

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Night072の夏

Night072の夏

2019年7月、大阪。 16歳の高校生・瀬名ほのかは、学校を出たあと家に帰らなかった。普段なら遅くなる時は必ず連絡を入れる娘。だがその夜、何度電話をかけても、返ってくるのは留守番電話だけだった。 捜査が始まる中、親友の証言から、ほのかがSNSで知り合った謎の人物と会う約束をしていたことが分かる。 相手の名は「Night072」。 優しい言葉でほのかの悩みに寄り添い、「君を理解している」と語り続けたその人物は、本名も顔も分からないまま、巧妙に正体を隠していた。 やがて、大和川で発見された黒い袋が、事件を最悪の方向へ動かしていく。 医学知識を持つ人物。消された通信記録。空き家に残された痕跡。そして、画面の向こうで優しく語りかけていた「Night072」の本当の姿。 ほのかはなぜ狙われたのか。 そして、彼女が最後に信じた相手は、何者だったのか――。
河川敷のノート
部外者会長の逆襲

部外者会長の逆襲

営業部の新年会に、夫と一緒に出席した井上ゆかり。 しかし会場に着くと、用意されているはずの席はなく、課長の獅倉からは笑いながらこう言われた。 「今日は関係者だけで飲もうよ」 部外者扱いされ、夫婦そろって追い出されるように店を出たゆかり。だが店の外には、黒いセダンと秘書が待っていた。 「帰るから、車出して」 「会長、承知しました」 実はゆかりには、会社の誰も知らないもう一つの顔があった。 翌朝、課長から慌てた電話が入る。大型契約が突然保留になり、会社のサーバーからは、ただの嫌がらせでは済まされない重大な痕跡が見つかっていた――。
ゆかりの議事録
真っ暗な部屋の退学届

真っ暗な部屋の退学届

姉を突然亡くした39歳の孝太郎は、残された高校生の姪・美緒を引き取ることを決めた。 母を失ったばかりなのに、泣き言ひとつ言わず、家事も勉強もこなす美緒。孝太郎は「しっかりした子」だと思い、少しずつ二人の生活は形になっていく。 だがある夜、仕事から帰ると部屋は真っ暗だった。 美緒の部屋を開けた孝太郎が見たのは、床に並べられた荷物、通帳、求人誌、そして一枚の退学届。 母を亡くした少女は、本当は何を抱えていたのか。 その夜、亡き姉が残した一通の手紙が、二人の止まっていた時間を静かに動かし始める――。
夜更けのほうじ茶
井戸に沈んだ制服

井戸に沈んだ制服

1992年10月、宮城県の山あいの村で、68歳の天野越子が突然姿を消した。 越子はその日、いつものように籠に米と果物、庭の菊を入れ、村外れの寺へ向かった。自宅から寺まではわずか600m。何百回も歩いてきた道で、迷うはずなどなかった。 しかし、越子は寺には着いていなかった。 警察犬は自宅から約100m進んだ場所で、彼女の匂いを見失う。財布も通帳も家に残されたまま、争った跡も、倒れた痕跡もない。まるで、その短い道の途中で忽然と消えたかのようだった。 そして7ヶ月後。 村の古井戸から見つかったのは、40年近く前の女子学生服に包まれた、越子のものと思われる一部の骨だった。 なぜ、寺へ向かっただけの老女が消えたのか。 なぜ、古い制服に包まれていたのか。 捜査線上に浮かんだのは、越子の若い頃を知る一人の元教師だった。 彼の家の地下室で警察が見たものは、この村が長年信じてきた“平穏”を根底から壊すものだった――。
菊野しおり
吹雪の一杯

吹雪の一杯

夫が遺した山あいの温泉旅館「灯里館」を、一人で守り続けてきた70歳の富美子。 しかし返済期限まで残り三ヶ月。1500万円の借金を抱え、親族や開発会社からは「もう旅館を売れ」と迫られていた。 そんなある吹雪の夜、富美子は雪の中で倒れていた一人の外国人男性を助ける。凍えた彼に差し出したのは、囲炉裏の火と、いつもの味噌汁だった。 ただの親切のはずだった。 だが、その外国人が残した映像をきっかけに、灯里館には世界中から予約が殺到する。さらに、旅館を買い取ろうとする開発会社が本当に狙っていたもの、そして亡き夫が密かに守ろうとしていた“山の秘密”が少しずつ明らかになっていく。 夫は本当に旅館を売ろうとしていたのか。 なぜ死後の日付で、夫の署名が残されていたのか。 消えかけた囲炉裏の火が、富美子の人生をもう一度動かし始める――。
囲爐裏のふみ子
嘘を握った右手

嘘を握った右手

2014年、群馬県の山間部で山わさび畑を営む田中健二が突然姿を消した。 宿舎には通帳も現金も残され、畑の給水設備は止まったまま。几帳面だった健二が、何も告げずに山を離れるはずがなかった。 数日後、農業廃棄物の下から見つかったのは、遮光幕に包まれた健二の姿。右手には、最後まで離さなかった数本の髪が握られていた。 地主の女社長、解雇された若い作業員、秘密の携帯電話、108回の通話記録。 山奥の乾燥倉庫で、あの夜いったい何が起きたのか。 嘘と欲望にまみれた不倫関係が、やがて誰にも消せない証拠を地上へ呼び戻していく――。
霧野しおり