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元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
27年目、妻は食卓を捨てた

27年目、妻は食卓を捨てた

「……もう、必要ないのね」 27年間作り続けた夕食を、家族5人はスマホを見たまま無言で食べた。 「いただきます」も「おいしい」も、誰の口からも出なかった。 翌朝、私が食卓に残したのは一枚のメモだけ。 《今日から、自分のことは自分でお願いします》 夫は鼻で笑い、私が困って戻るよう家族カードまで停止した。 「パート代だけで、一人で暮らせるわけがない」 ところが3日たっても、私は助けを求めなかった。 家族が食事や洗濯、義母の薬の管理に困り始めた頃、娘が台所の奥で古いノートを見つける。 表紙には《家族のこと》。 そこには27年間、誰にも気づかれなかった私の記録が残されていた。 さらにノートから落ちた封筒には、夫が想像もしなかった書類が入っていた。 《常勤職員登用に関する雇用条件通知書》――返答期限は、今日だった。
夕暮れ台所
「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ

「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ

「子供3人は全員お前が連れてけ」。離婚を切り出した恵美に、夫はそう言い放ち、同居の義母も「やっと静かになる」と笑った。仕事部屋を奪われ、子供たちの進路や楽しみまで制限されてきた家で、長男は静かに告げる。「その言葉、忘れないでね」。子供たちは全員、母と暮らすことを選んだ。ところが転居から1週間後、夫と義母から一晩で80件の着信が届く。洗濯、食事、通院、そして家の支払い。戻れと迫る夫は、恵美の新居の家賃が月28万円だと知り、借金を疑い始める。「内職」と見下していた妻の仕事は、本当は何を支えていたのか。恵美は家計簿と口座の明細を並べ、夫が見ようとしなかった数字を確かめていく。
悅子
1800円の御膳が1万8000円になった日――覆面社長が見つけたホテルの嘘

1800円の御膳が1万8000円になった日――覆面社長が見つけたホテルの嘘

全国18店舗を経営するホテル会社の社長・高瀬直人は、相次ぐ不審な苦情を確かめるため、一般客を装って地方店を訪れた。注文した1800円の炊き込みご飯御膳に提示された会計は、10倍の1万8000円。さらに72歳の女性も、3000円の料理代として3万円を脅し取られてしまう。直人が録音と2枚の領収書を確保すると、削除された503件の苦情、36件の架空請求、そして支配人が差し出した500万円の封筒が浮かび上がる。服装で客を選び、ホテルを金を奪う罠へ変えたのは誰なのか。
悅子
251840円の正月料理を持ち去った義母

251840円の正月料理を持ち去った義母

結婚以来9年間、佐伯直樹の妻・由衣は、義母・久江に命じられるまま親戚一同の正月料理を準備してきた。今年の支払額は25万1840円。ところが大晦日、冷蔵庫から料理がすべて消える。防犯カメラに残っていたのは、合鍵で侵入し、保冷箱を弟夫婦宅へ運び出す久江の姿だった。それでも久江は由衣に買い直しを命じる。直樹が領収書と録音を保存すると、今回の持ち去りだけでなく、正月に費やした累計167万8000円、さらに両親へ送り続けた毎月6万円の意外な行方まで浮かび上がり始める。
悅子
「帰ってこなくていい」と笑った家族――20年目の離婚届

「帰ってこなくていい」と笑った家族――20年目の離婚届

43歳の真由美は、夫・浩司と19歳の娘・里奈のため、20年間休むことなく家事と親戚付き合いを担ってきた。ところがお盆に3日だけ実家へ帰ると伝えると、2人から「ずっと帰ってこなくていい」「ママがいないほうが平和」と笑われる。真由美は反論せず、8つの保存容器を残して家を出た。その手には、4か月前から20冊目の家計簿に挟んでいた離婚届があった。翌日、夫から届いた70件の着信。さらに家計簿から明らかになる672万円と、夫が失った8億円の肩書。家族が当然だと思っていた20年が、静かに数字へ変わり始める。
悅子

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足柄サービスエリア失踪事件

足柄サービスエリア失踪事件

1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
秋田 悠真
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
止まったカードと空の家

止まったカードと空の家

夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
舞の新居ノート
愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
美和の湯気日記
義母ATM、ハワイへ消ゆ

義母ATM、ハワイへ消ゆ

67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
みち子の湯のみ
午前三時の逃走

午前三時の逃走

深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
梅庭せつこ

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姉の代わりに嫁いで6年――総支配人夫人の姉と再会した日

姉の代わりに嫁いで6年――総支配人夫人の姉と再会した日

姉が断った縁談を押しつけられ、三倉冬馬と結婚した紗和。相手は社員4人の小さな会社を営み、800万円の借入れを抱えていた。家族の援助もなく始まった結婚生活から6年。夫婦で訪れた高級ホテルで、総支配人夫人となった姉・瑞穂に再会する。「本当にあんたに譲って正解だったわ」。姉は紗和たちを追い払おうとするが、夫が告げた一言に、ロビーの空気が変わった。やがて見つかるのは、同じ角部屋をめぐる苦情と、不自然な無料宿泊の記録。紗和は現場に残された資料をもとに、予約を変更された客たちの事情を確かめていく。姉が誇る「総支配人夫人」の暮らしは、いったい誰の犠牲で成り立っていたのか。
悅子
夜勤明けに締め出された私――15分後の「さようなら」

夜勤明けに締め出された私――15分後の「さようなら」

夜勤を終えた看護師の柏木真由が帰宅すると、自分の鍵が使えなくなっていた。「頭が冷えたら謝りに来ればいい」。義母が求めるのは、夜勤前に料理の準備を断ったことへの謝罪。家の中にいる夫まで、締め出しに賛成していた。7年間、毎月10万円を家に入れ、仕事と家事を続けてきた真由は、玄関に立って15分後、謝る代わりに別れを告げる。それでも夫が気にしたのは、その日の夕飯だった。新しい住まいを確保し、やり取りを残すうち、夫があの朝の休暇を申請したのは7日前だったと分かる。なぜ、夫は口論より前に休みを決めていたのか。真由は、家の持ち主である義父へ連絡する。家族のつもりで暮らしていたのは、自分だけだったのか――。
悅子
兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知

兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知

挙式15分前、新郎控室で待っていたのは、白いタキシード姿の兄1人だった。「結婚も、式も、全部ドッキリだったって」。婚約者の父は銀行会長。その家族が送りつけた80秒の動画には、兄を嘲る笑い声が残っていた。23年前から親代わりになり、私を育ててくれた兄が、今度は自分の幸せを選ぼうとしただけなのに。兄の隣に座った私は動画を保存し、財務責任者へ電話をかける。「じゃあ、預金300億、全額解約で」。銀行一家が見下していた妹は、美容企業グループの創業者兼会長だった。だが、私がその銀行に会社の資金を預け続けていた理由を、彼らは知らない。答えは、兄が保管していた古い茶封筒の中にあった。
悅子
「子供3人は全員連れてけ」と言った夫へ

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「子供3人は全員お前が連れてけ」。離婚を切り出した恵美に、夫はそう言い放ち、同居の義母も「やっと静かになる」と笑った。仕事部屋を奪われ、子供たちの進路や楽しみまで制限されてきた家で、長男は静かに告げる。「その言葉、忘れないでね」。子供たちは全員、母と暮らすことを選んだ。ところが転居から1週間後、夫と義母から一晩で80件の着信が届く。洗濯、食事、通院、そして家の支払い。戻れと迫る夫は、恵美の新居の家賃が月28万円だと知り、借金を疑い始める。「内職」と見下していた妻の仕事は、本当は何を支えていたのか。恵美は家計簿と口座の明細を並べ、夫が見ようとしなかった数字を確かめていく。
悅子
「帰ってこなくていい」と笑った家族――20年目の離婚届

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43歳の真由美は、夫・浩司と19歳の娘・里奈のため、20年間休むことなく家事と親戚付き合いを担ってきた。ところがお盆に3日だけ実家へ帰ると伝えると、2人から「ずっと帰ってこなくていい」「ママがいないほうが平和」と笑われる。真由美は反論せず、8つの保存容器を残して家を出た。その手には、4か月前から20冊目の家計簿に挟んでいた離婚届があった。翌日、夫から届いた70件の着信。さらに家計簿から明らかになる672万円と、夫が失った8億円の肩書。家族が当然だと思っていた20年が、静かに数字へ変わり始める。
悅子
251840円の正月料理を持ち去った義母

251840円の正月料理を持ち去った義母

結婚以来9年間、佐伯直樹の妻・由衣は、義母・久江に命じられるまま親戚一同の正月料理を準備してきた。今年の支払額は25万1840円。ところが大晦日、冷蔵庫から料理がすべて消える。防犯カメラに残っていたのは、合鍵で侵入し、保冷箱を弟夫婦宅へ運び出す久江の姿だった。それでも久江は由衣に買い直しを命じる。直樹が領収書と録音を保存すると、今回の持ち去りだけでなく、正月に費やした累計167万8000円、さらに両親へ送り続けた毎月6万円の意外な行方まで浮かび上がり始める。
悅子

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足柄サービスエリア失踪事件

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1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
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元嫁の15枚返し

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離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
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止まったカードと空の家

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愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
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義母ATM、ハワイへ消ゆ

義母ATM、ハワイへ消ゆ

67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
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午前三時の逃走

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深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
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