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愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
美和の湯気日記
消えた金づる夫

消えた金づる夫

妻と娘が、妻の浮気相手とハワイ旅行へ出発する朝。 山中敏文は、玄関で笑いながら荷物を確認する2人を黙って見送っていた。妻の裏切りも、娘がそれを知りながら母親の浮気相手と親しくしていたことも、すでにすべて知っていたからだ。 「今日でさようならだな。永遠に帰ってこなくていいぞ」 敏文の言葉を、妻はただの嫉妬だと笑い飛ばす。娘もまた、父を見下すような言葉を残して出ていった。 しかしその日こそ、敏文が何か月もかけて準備してきた“最後の日”だった。 2人がハワイで浮かれている間に、家の中から荷物は消え、生活の土台は静かに崩されていく。妻が当然のように帰るつもりだった場所は、もう以前の家ではなかった。 帰国後、空っぽの部屋で妻が知ることになる真実。 そして、金づるだと思っていた夫が本気で消えた時、彼女たちの人生は一気に崩れ始める――。
夜明けの山中
熱海失踪、2時12分のポケベル

熱海失踪、2時12分のポケベル

1993年秋、就職活動に疲れた26歳の佐藤美緒は、姉夫婦に誘われて熱海温泉へ向かった。 久しぶりに笑顔を見せた美緒。温泉に浸かり、居酒屋で姉と笑い合ったその夜までは、ただの家族旅行に見えていた。 しかし翌朝、美緒の部屋は空だった。財布も身分証も荷物も残されたまま、開け放たれた窓と、消えたスリッパだけが残されていた。 警察は当初、就職活動に悩んだ末の失踪と見なした。姉の由香は必死に妹を探し続け、夫の健二もまた、誰よりも献身的に支える“理想の義兄”として周囲から信頼されていく。 だが6年後、眠っていた捜査ファイルが再び開かれる。 偽名で泊まっていた男、深夜2時12分のポケベル、そして健二が語らなかった20分間の空白。 完璧に見えた義兄の優しさは、本当に家族への愛だったのか。 熱海の夜に隠された嘘が、6年越しの再捜査で静かに崩れ始める――。
古い手帳のしおり
義母ATM、ハワイへ消ゆ

義母ATM、ハワイへ消ゆ

67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
みち子の湯のみ
青いハンカチの花嫁

青いハンカチの花嫁

親友の結婚式に招かれた浩司は、車椅子で会場の隅に座っていた。 10年前、雨の交差点で車に轢かれそうになった少女を助け、代わりに自分の足の自由を失った浩司。だが彼は、その少女の未来を守るため、自分が命の恩人であることをずっと黙っていた。 ところが披露宴の最中、花嫁の由美が突然、浩司を見つめて呟く。 「ずっと探していました」 彼女の手には、10年前の事故現場に残された青いハンカチ。浩司の腕には、消えることのない傷跡。 その瞬間、新郎・健一の顔色が変わる。 本当の恩人は誰だったのか。なぜ浩司は10年間も沈黙していたのか。そして、親友を名乗る男が隠し続けてきた嘘とは――。 祝福に包まれるはずだった披露宴で、10年前の真実が静かに暴かれていく。
雨の日の浩司
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳

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足柄サービスエリア失踪事件

足柄サービスエリア失踪事件

1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
秋田 悠真
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
止まったカードと空の家

止まったカードと空の家

夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
舞の新居ノート
午前三時の逃走

午前三時の逃走

深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
梅庭せつこ
名刺一枚の逆転縁談

名刺一枚の逆転縁談

美容師として働く藤井まなみは、恋人・桜庭優馬からプロポーズを受け、結婚を決意する。 しかし、優馬の両親は最初からまなみを見下していた。服装、髪色、職業、そして実家のことまで決めつけ、「うちの息子とは釣り合わない」と一方的に別れを迫ってくる。 迎えた両家顔合わせの日。 港区のタワーマンション暮らしを誇る優馬の父は、まなみの父が「スーパーで働いている」と聞いた途端、露骨に笑った。 「スーパー勤めのお父さんでは、家柄がねぇ」 その場で結婚をなかったことにしようとする桜庭家。まなみは悔しさに言葉を失うが、父は最後まで穏やかな表情を崩さなかった。 そして静かに、1枚の名刺を差し出す。 それを受け取った瞬間、優馬の父の顔色が変わった。 見下していた“スーパー勤めの父”の本当の正体とは。 家柄や肩書きで人を判断した家族が、たった1枚の名刺で言葉を失う――痛快な逆転劇。
まなみ
愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
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消えなかった500円

消えなかった500円

昭和42年、町工場で働く佐々木正雄は、給料日のたびに茶色い封筒から500円だけを抜いていた。 家計を預かる妻・春江にとって、その500円は決して小さな額ではなかった。米代、学校の集金、娘の靴、毎日の食卓。10円、20円を切り詰めて暮らす中で、夫が理由も言わずに毎月同じ金額を消していくことが、春江にはどうしても許せなかった。 酒なのか、競馬なのか。それとも、妻には言えない誰かのためなのか。 問い詰めても、正雄はただ「俺の小遣いだ」としか答えない。夫婦の間に小さな疑いを残したまま、500円の謎は長い年月の中へ埋もれていった。 やがて時代は流れ、娘たちは巣立ち、正雄もこの世を去る。 遺品整理の途中、春江は押し入れの奥から一冊の古い大学ノートを見つける。そこに残されていたのは、昭和42年から何年も続く「500円」の記録だった。 夫が最後まで語らなかった、その金の行き先とは。 20年以上たって初めて明かされる、不器用な父の小さな秘密。
春江の家計簿
消えた託児代7万円

消えた託児代7万円

2001年、東京の外れにある義実家で暮らす保育士のゆいは、夫の妹・安奈から何度も娘の子守りを押しつけられていた。 「保育士でしょ?」 「家族なんだから」 「今日だけお願い」 そう言われるたび、ゆいは仕事帰りに1歳のクレアを風呂に入れ、寝かしつけ、夜泣きにも起きてきた。けれど夫も義母も、それを“当然の手伝い”としか見ていなかった。 ある朝5時半、安奈は39度の熱を出したクレアを抱えて現れる。 「娘の子守りよろしく」 仕事を理由に断ろうとするゆいへ、夫は笑って言った。 「保育士なんだから慣れてるだろ。ケチくさいこと言うなよ」 その一言で、ゆいの中で何かが切れた。 なぜ安奈は、そこまで頻繁に娘を預けていたのか。 なぜ“仕事”と言って家を空ける日が増えていたのか。 そして、クレアの父親だけが知らなかった事実とは――。 便利な保育士として扱われ続けた嫁が、初めて「無理です」と告げた日、義家族の隠された嘘が静かに崩れ始める。
ゆいの休憩室
赤身を笑った女の末路

赤身を笑った女の末路

15年前、木村実乃里は“親友”を名乗る女・高子に夫を奪われた。 妊娠したと泣きながら告げてきた高子。沈黙する夫。幼い娘を連れ、実乃里はすべてを失ったような思いで家を出た。 それから15年。 実乃里は娘・由美香を育てながら、小さな店から会社を立ち上げ、ようやく穏やかな日々を手に入れていた。 そんなある日、社会人になった由美香が、初任給で母を回転寿司へ連れていく。ささやかで幸せな食事の席で、実乃里は15年ぶりに高子と再会する。 「相変わらず貧乏臭いわね」 「うちの子は国家公務員なの」 昔と変わらず人を見下し、勝ち誇る高子。 しかし次の瞬間、由美香が静かに言った。 「ママ、あの人クビにしたら?」 高子が働いている“高級ショップ”の本当の経営者。 15年前に壊されたはずの母娘の人生。 そして、高子自身が知らなかった本当の立場。 回転寿司の小さなテーブルで、15年越しの因果が静かに動き出す。
みのりの余白
23回拒まれた元部長

23回拒まれた元部長

定年退職した元部長・加藤正雄は、会社を離れてもなお、“上司”でいることをやめられなかった。 ゴルフ練習場で出会った佐藤雅人に、頼まれてもいない指導を始める加藤。何度断られても「遠慮しているだけ」「上達のため」と勝手に解釈し、他人の時間や距離感を踏み越えていく。 やがてその迷惑な善意は、ゴルフ場だけでなく、パソコンサークルや写真講座でも同じように繰り返されていたことが明らかになる。 「結構です」と言われた回数は、記録に残っているだけで23回。 それでも加藤は、自分が嫌がられている理由を理解できない。 肩書きを失っても、人を動かす側でいたかった男。 しかし、会社の外では誰も彼の部下ではなかった。 善意のつもりで他人の領域に踏み込み続けた男が、最後に失ったものとは――。
週末の打席メモ
膨腹の老人ホーム

膨腹の老人ホーム

長野県郊外の老人ホーム「日和の里」で、ある日を境に高齢女性たちの腹部が次々と異常に膨らみ始めた。 82歳の梅香、78歳の静江、85歳の時子。三人は同じフロアで暮らし、夜になるたびに何かを恐れるような表情を見せていた。介護士の佐藤美咲は異変に気づき、医師への連絡を求めるが、主任の神崎さゆりは「ただの便秘」と取り合おうとしない。 やがて美咲は、三人が夜中に小さな包みを飲まされていたことを知る。 家族との面会は制限され、記録は改ざんされ、施設長と主任は何かを隠している。誰も声を上げられない閉ざされた老人ホームで、美咲だけが真実を追い始める。 しかし、彼女が証拠に近づいた時、今度は美咲自身が地下の暗い部屋へ閉じ込められてしまう。 高齢者たちのお腹に、一体何が入れられていたのか。 そして、すべての真相を知った瞬間、あれほど冷酷だった主任・神崎は、その場に崩れ落ちた――。
みさきの夜勤記録
11年目のコロッケ

11年目のコロッケ

14歳の秋、黒田み咲の母・裕子は「夕飯のおかずを買ってくるね」と言って家を出たまま、二度と戻らなかった。 父は、母が家の金を盗み、近所の男と駆け落ちしたのだと親族に告げた。置き手紙も見つかり、周囲の大人たちは皆それを信じた。残されたみ咲は、“泥棒の娘”として11年間、父と継母、そして親族たちから辱められ続けることになる。 しかしある法要の日、裏山の古い井戸から、母が消えた日に買ったコロッケのレシートと、泥にまみれたカーディガンが見つかる。 母は本当に男と逃げたのか。 なぜ、継母の失くしたはずのイヤリングが井戸の底にあったのか。 そして、11年間沈黙していた“目撃者”が現れた時、黒田家が守り続けてきた嘘は音を立てて崩れ始める。 母に捨てられた娘だと思い込まされてきたみ咲が、封印された真実へたどり着くまでの、愛と復讐の物語。
みさきの白い封筒