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その家、私のです

その家、私のです

離婚届を差し出した夜、夫は当然のように言った。 「この家には、俺と母さんが住む」 18年連れ添った妻・絵里に出て行けと言いながら、夫は家だけは手放さないつもりだった。義母もそれを当然のように受け入れ、絵里の荷物を勝手に片づけ始める。 けれど、その家は絵里が結婚前に買い、ローンを完済したものだった。 怒鳴ることも、泣きつくこともせず、絵里は静かに家を出る。そして弁護士に相談しながら、夫と義母に明渡しの準備を進めていく。 だが調停の中で、夫が家にこだわった本当の理由が少しずつ見え始める。 「母さんのため」という言葉の裏に隠されていた、もう一つの計画。 3か月後、絵里が送った一通の通知が、夫と義母の思い込みを崩していく――。
暮らしの余白
7年間介護した私を捨てた夫――愛人を連れて帰宅すると、寝たきりの母も介護ベッドも消えていた

7年間介護した私を捨てた夫――愛人を連れて帰宅すると、寝たきりの母も介護ベッドも消えていた

52歳の高瀬由美は、26年間連れ添った夫・健二から離婚を切り出される。愛人と再婚するという健二は、由美に「離婚後も母の介護は続けろ」と言い放った。半年だけという約束で始めた介護は、すでに7年。毎晩2時13分に起き、仕事も人生も手放した由美を、健二は無料の介護要員としか見ていなかった。だが、認知機能の明瞭な義母・住江は、自ら施設へ移ることを決断する。離婚から3日後、愛人を連れて帰宅した健二が見たのは、介護ベッドの消えた部屋と、約2200万円について記された母の手紙だった。
悅子
離婚した5日後、私が92億円の都心ビルを相続したと知った夫

離婚した5日後、私が92億円の都心ビルを相続したと知った夫

父の葬儀が終わった直後、由美は夫・浩司から離婚届を突きつけられた。「介護にかまけて、社長の妻として何もしてこなかった」。さらに夫のそばには、会社の広報を担当する若い女性の姿。28年間の結婚生活を否定されても、由美は泣かなかった。父が亡くなる3日前、病室で託された銀色の鍵と、「浩司君が何を選ぶか黙って見ていなさい」という言葉があったからだ。由美が迷わず離婚届に判を押すと、夫は勝ち誇ったように去っていく。その直後、父の顧問弁護士が現れ、銀色の鍵で小さな金属箱を開こうとする。そこには、父が娘にだけ残した“最後の意思”が隠されていた――。
悅子
帰国した僕を待っていたボロ家

帰国した僕を待っていたボロ家

7年間、アメリカで必死に働き続けた木村健二。 妻と息子、そして母のために仕送りを続け、岐阜の実家も新しく建て替えた。帰国の日、健二は家族が立派な新居で自分を待っていると信じていた。 しかし、そこで彼を迎えたのは母と兄夫婦だけ。妻・早苗と息子・勇気の姿は、家のどこにもなかった。 不審に思った健二が辿り着いたのは、町外れの川沿いに建つ古びたプレハブ住宅。そこには、やつれた妻と、破れた問題集を大切に使う息子の姿があった。 自分が送った大金は、どこへ消えたのか。 なぜ妻子だけが新居から追い出されたのか。 7年間信じてきた“家族”の裏側で、健二の知らない嘘と沈黙が静かに積み重なっていた――。
夕暮れの縁側
同じ部署の社員が月30万〜50万円もらう中、私の月給だけは18万円だった

同じ部署の社員が月30万〜50万円もらう中、私の月給だけは18万円だった

44歳の水野は、同じ開発部の正社員が月30万〜50万円を受け取る中、4年間ずっと月給18万円の契約社員として働いてきた。肩書は「技術補助員」だが、最大顧客のシステム保守や障害対応、大型更新まで実務の中心を任されている。それでも契約満了の日、人事から差し出された更新書類には、また同じ18万円の数字が並んでいた。「代わりはいくらでもいる。ほかに行く当てがないなら署名したほうがいい」。水野はペンを取らず、待遇差の説明を求める書面だけを提出する。そして午後4時、会社が用意した18万円の契約書ではなく、鞄に隠していた“もう1通の書類”を机の上へ置く――。
悅子
「姉は他人」と治療費を拒んだ夫――姑の救急搬送で800万円を求められた私は、通帳を閉じた

「姉は他人」と治療費を拒んだ夫――姑の救急搬送で800万円を求められた私は、通帳を閉じた

48歳の佐藤由美は、病に倒れた実姉・直子の治療と生活のため、夫婦で貯めた口座から120万円を出そうとする。だが夫の浩司は「他人に使う金はない」と一蹴。さらに由美が通帳を確認すると、800万円のうち500万円が、見知らぬ不動産会社へ送金されていた。残る300万円を守った5日後、姑が救急搬送され、浩司は「あの貯金を使ってくれ」と泣きつく。由美が静かに拒むと、夫と姑は直子の家まで売らせようとするが、通帳、LINE、契約書、録音、そして5年前の領収書が、彼らの嘘を次々と暴いていく。
悅子

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足柄サービスエリア失踪事件

足柄サービスエリア失踪事件

1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
秋田 悠真
元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
朝焼けの手帳
止まったカードと空の家

止まったカードと空の家

夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
舞の新居ノート
愛人旅行の代償

愛人旅行の代償

定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
美和の湯気日記
義母ATM、ハワイへ消ゆ

義母ATM、ハワイへ消ゆ

67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
みち子の湯のみ
午前三時の逃走

午前三時の逃走

深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
梅庭せつこ

毎日更新

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愛人とタイへ行った夫の10日後

愛人とタイへ行った夫の10日後

夫の浩司は「タイ出張」と言い残し、10日間家を空けた。 その間、寝たきりの義母の介護を任された由美は、いつものように暴言と呼び鈴に追われる日々を送るはずだった。だが、夫のスマートフォンに残された一通のメッセージから、出張が嘘だったことを知ってしまう。 浩司は若い愛人と海外旅行へ行き、しかも由美の父が残した遺産まで使い込んでいた。 さらに書斎の奥から見つかったのは、すでに署名された離婚届と、愛人からのピンク色の便箋。そこには、由美を介護要員として使い捨てる計画が書かれていた。 28年間、妻として嫁として耐え続けてきた由美は、その日初めて家を出る。 そして10日後。 何も知らずに帰国した浩司を待っていたのは、由美が静かに整えた反撃の場だった――。
春待ちの台所
妻の葬儀で老犬が暴いた秘密

妻の葬儀で老犬が暴いた秘密

妻の葬儀から3日目の夜、元自衛隊三佐の石田隆は、老犬・小太郎の異様な行動に息をのんだ。 後飾り祭壇へ飛びかかった小太郎。その拍子に倒れたろうそくの火が白布へ燃え移り、祭壇の下に隠されていた不自然な床板が露わになる。 そこから見つかったのは、妻・幸子が大切にしていたはずの花瓶と、身に覚えのない不動産書類だった。 階段からの転落事故として片づけられた妻の死。だが、弟夫婦との金銭トラブル、土地を巡る不可解な要求、そして幸子が亡くなる直前に残していた「大丈夫」という言葉が、少しずつ別の意味を帯びていく。 妻は本当に事故で亡くなったのか。 老犬が暴いた床下の秘密をきっかけに、隆は妻が最後まで守ろうとしていた家と、葬儀の陰で隠された真実を追い始める――。
縁側の小太郎
帰国したら、夫に双子がいた

帰国したら、夫に双子がいた

1年間の海外赴任を終え、千里が帰国した日。空港で夫・修平の隣に立っていたのは、20年来の親友・春奈だった。 しかも春奈のお腹には、双子の命が宿っていた。 妻が海外で夫の会社を支えるために働いている間、夫と親友はいつの間にか深い関係になっていた。怒鳴ることも泣き崩れることもなく、千里は静かに指輪を外し、離婚の準備を始める。 だが、春奈の妊娠時期、家計口座から流れていた大金、そして義母が密かに残していた録音が、思いがけない真実へとつながっていく。 双子は本当に夫の子なのか。 親友が欲しかったのは愛だったのか、それとも高瀬家という安全な居場所だったのか。 裏切られた妻が、夫も親友も頼らず、自分の人生を取り戻していく静かな逆転劇。
ひだまり
ソファの下のピンクのスマホ

ソファの下のピンクのスマホ

息子の家へ掃除を手伝いに行った58歳の幸子は、ソファの下から見覚えのないピンク色のスマートフォンを見つける。 画面に映っていたのは、息子の妻・優奈と、知らない男が寄り添う写真だった。 最初はただの不倫だと思った。けれど端末の中には、「愛しい人」という名前の相手とのやり取り、500万円の振込記録、そして息子夫婦の家を売る計画まで残されていた。 さらに、金の行き先には優奈の弟・翔太の名前があった。 息子の雄大は何も知らないはずだった。だが幸子が問いかけた時、彼は明らかに嘘をつく。 嫁の裏切り、弟への巨額送金、謎の男、そして息子が隠していた本当の理由。 ソファの下に隠されていた一台のスマホが、家族の平穏を少しずつ崩していく――。
夕暮れ台所
27年後、娘は父の葬儀に帰ってきた

27年後、娘は父の葬儀に帰ってきた

1995年、学校帰りの10歳の少女・美穂は、灰色の服を着た女に連れられ、そのまま姿を消した。 母・佐和子は27年間、娘の帰りを待ち続けた。だが夫の正人は、地域では「娘を捜し続ける父」として知られる一方で、どこか不自然な沈黙を守っていた。 そして27年後、正人の葬儀の日。 遺族席の佐和子の前に、見知らぬ大人の女性が現れる。彼女が差し出したのは、美穂が幼い頃になくしたはずの花形の髪留めだった。 「お母さん、迎えに来たよ」 再会のはずの言葉は、なぜか冷たかった。 娘はなぜ母を恨んでいたのか。失踪当日、母を学校から遠ざけた電話は何だったのか。そして、27年間隠され続けた手紙と書類が、家族の嘘を静かに暴き始める――。
雨の日のしおり
消えた母と2800万円

消えた母と2800万円

1998年12月25日、長野県の信用金庫で働く宮本佳代は、給料日の夜に突然姿を消した。 支店では2800万円が消えたと騒ぎになり、佳代は現金を持ち逃げした女性行員として扱われる。家に残された娘の奈緒は、母が用意していたクリームシチューとケーキを前に、帰らない母を待ち続けた。 3日後、千曲川の河原で見つかった母の靴と赤い囲巾。さらに東京行きの片道切符、夫の証言、不自然な借金整理――すべてが「母は家族を捨てて逃げた」と示しているように見えた。 それから23年後。 閉鎖された商店街の地下から、古い貸金庫が発見される。中に入っていたのは、佳代の印鑑、12冊の通帳、そして奈緒が生まれる前に作られたはずの“存在しない口座”だった。 母は本当に2800万円を盗んだのか。 あの夜、灰色の箱に入っていたものは何だったのか。 娘の奈緒が23年越しにたどり着いたのは、信用金庫、父、そして町全体が隠してきた、あまりにも残酷な真実だった――。
雪の日のみかん

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1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。
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元嫁の15枚返し

元嫁の15枚返し

離婚から3日後の午前5時。佐藤恵子の携帯に、元姑から突然電話がかかってきた。 「今すぐ来て、法事の料理を用意しなさい」 12年間、家事も介護も金銭の穴埋めもすべて背負ってきた恵子。だが夫は秘書と関係を持ち、姑と義妹は彼女を使用人のように扱い、最後には荷物同然に家から追い出した。 それでも彼女たちは、恵子がいなくなって初めて、自分たちの生活が何によって支えられていたのかを知ることになる。 恵子名義の15枚のカード。 義父が病室で密かに残した遺言。 そして、10億円のペントハウスの本当の所有者。 元嫁を見下していた家族が、最も頼り切っていたものを一つずつ失っていく中、恵子は静かに告げる。 「あなた方は、もう私とは何の関係もない人たちです」 これは、“良い嫁”でいることをやめた女性が、自分の名前で人生を取り戻すまでの物語。
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止まったカードと空の家

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夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。
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愛人旅行の代償

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定年の日、美和は36年間支えてきた夫・秀治のために、好物の夕食を用意して待っていた。 しかし帰宅した秀治が連れてきたのは、見知らぬ若い女性だった。 「退職金で香織と海外旅行へ行く。帰ってきたら離婚届に判を押せ」 夫はそう言い放ち、さらに美和に家を出て行くよう命じる。長年守ってきた家庭も、妻としての時間も、すべてなかったもののように扱われた美和。 だが、彼女は泣かなかった。 旅行へ向かう夫と愛人を静かに見送り、ただ一つだけ確認する。 「この家のことは、私が決めていいのね」 数日後、海外旅行から戻った秀治を待っていたのは、見慣れた玄関ではなく、ロープで囲まれた更地と「売却済み」の看板だった。 夫が知らなかった、この家の本当の持ち主。 そして美和が36年の結婚生活の最後に下した、静かな決断とは。
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義母ATM、ハワイへ消ゆ

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67歳のみち子は、息子夫婦と孫たちを迎えるため、今年も静かに正月の準備を始めていた。 ところがクリスマスの朝、嫁の歩美から突然告げられる。 「今年は15人で行きますから」 食事、寝具、お年玉、観光費まで、すべて義母であるみち子が用意する前提。さらに歩美は、SNSでみち子を「ATMみたい」と笑い、長年の援助まで馬鹿にしていた。 37年間働き、息子夫婦に2500万円以上を援助してきたみち子は、その日ようやく気づく。 自分は家族に大切にされていたのではない。都合よく使われていただけだったのだ。 そして12月29日。 15人が玄関前に集まった時、家の鍵は開かなかった。 その頃みち子夫婦は、すでに日本にはいなかった――。
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午前三時の逃走

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深夜3時、75歳の田中節子のもとに、海外出張中の息子・優一から一本の電話がかかってきた。 「母さん、今すぐ逃げて」 半年間まともに連絡が取れなかった息子の声は、切迫していた。玄関ではなく勝手口から出ること。荷物は持たないこと。絶対に振り返らないこと。 夫が遺した世田谷の家で、節子はいつの間にか孤立していた。嫁の美香とその両親は、優しい顔で家に入り込み、台所を奪い、電話を取り上げ、外出を制限し、節子を“認知症の老人”に仕立て上げようとしていた。 そしてある夜、節子は壁の向こうから聞いてしまう。 「実印さえ手に入れば、いつでも動ける」 狙われていたのは、亡き夫が節子のために残した家と財産だった。 息子の電話を信じ、節子は深夜の家を抜け出す。だが、逃げた先で待っていたのは、さらに大きな真実だった。 夫は生前、すべてを見越していたのか。 閉じ込められた老女が、失われかけた人生を取り戻すために立ち上がる、静かな逆転の物語。
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