"断髪新郎の逆転婚礼" 第9話
美紀さんの目に涙が浮かんだ。
「だから今度は、彩佳さんに何かあった、私が助けたいとったんです」
私は何も言えなかった。
「お母さん」
美紀さんが礼子さんを見た。
「これで分かった? どうして私が健太さんと結婚したいのか。そして、どうして彩佳さんとも族になりたいのか」
礼子さんの顔から、完全に言葉が消えていた。
美紀さんは私へ向き直り、笑った。
「彩佳さん。これからよろしくね」
「こちらこそ……」
「じゃあ、初めての共同作業を緒にやろう」
美紀さんが私のにあるバリカンへ指を添えた。
「ここから真っ直ぐかしてみて」
「本当にいいの、お兄ちゃん」
「ここまで来て今さら聞くなよ」
健太が笑った。
私は恐る恐るスイッチを入れた。
械音が響く。
兄の髪へバリカンを当て、そのままゆっくりかした。
髪が次々と落ちていった。
「、」
美紀さんが横で笑っている。
会からも拍や笑い声が起こった。
最には兄の髪は、最初とは比べものにならないほどくなった。
司会者がマイクを取った。
「それではそろそろお直しのおとなります。皆様、郎が次にどのようなヘアスタイルで登するのか、ぜひご期待ください」
きな拍に包まれ、兄と美紀さんは会をた。
私が席へ戻ると、礼子さんがづいてきた。
先ほどまでとは違い、し戸惑った顔をしていた。
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「ねえ、さっきの話……本当なの?」
「本当ですよ」
「あなたも美紀と同じような摂障害だったの?」
「両親がくなった、期べられなくなったことがあります」
私は静かに答えた。
「何をべてもがしなくて、事そのものが苦痛だった期がありました。だから『べろ』と言われる辛さがし分かったんです」
礼子さんは眉を寄せた。
「でも、べないと体に悪いじゃない」
「分かっています」
私は頷いた。
「本だって分かってるんです。べた方がいいことも、治した方がいいことも分かってる。それでもできないから苦しいんです」
礼子さんは黙った。
「私は別に美紀さんを治したわけじゃありません。良くなったのは美紀さん自の力です。兄が精神に支えた部分もあるといます」
すると礼子さんは、さな声で言った。
「私は……健太さんと会ったから、美紀が良くなったんだとってた」
「兄との会いもきかったといますよ」
「だから私は、やっと元気になってきた美紀に、病気のあなたがいたらまた悪い響がるんじゃないかって……」
その言葉を聞いた、初めて礼子さんの根本にあったものが見えた。
娘が再び病気になるのが怖かったのだ。
しかし、その恐怖のために私を切り捨てようとした。
それはやはり違っている。
私が何か言おうとした、会の照が落ちた。
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「皆様、変お待たせいたしました。郎婦のお直しが終わったようです」
入が照らされた。
扉がく。
パステルブルーのドレスへ着替えた美紀さん。
そして、その隣には髪を綺麗な髪にえた健太がっていた。
会から声ががった。
「かっこいいぞ!」
「似ってる!」
兄たちが私たちの席の横を通り過ぎる。
その瞬。
健太は礼子さんへ顔を向け、笑顔で言だけ言った。
「ヘアスタイルを理由に追いすなら、僕も帰らないといけませんね」
礼子さんの顔が、再び青ざめた。
披宴は、そのもやかにんだ。
兄が監修した料理と、美紀さんによるファーストカット。2らしさの詰まった披宴は、最まで笑顔と拍に包まれた。
式が終わり、招待客がしずつ帰り始めた頃。
私は美紀さんへ声をかけた。
「本当に素敵な披宴だったね」
「突然サプライズに参加させちゃってごめんね」
「全然。貴な経験だった。バリカンってと気持ちいいね」
「でしょ? 癖になりそうでしょう」
美紀さんが笑った。
私は改めて、しれた所で招待客に挨拶している兄を見た。
「でも、なんであんなにくしたの?」
「え?」
「ファーストカットをするのは分かったけど、最初はもっとしだけ切る予定だったんじゃない?」
美紀さんは笑いながら頷いた。
「そうなの。最初はし髪型を変える程度の予定だったんだけど、健太さんが言いしたの」
「お兄ちゃんが?」
ちょうど健太が戻ってきた。
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