みかん小説
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"ラジオの涙" 第4話

が涙を流したのは、茂をすからだけではなかった。放送で読まれるつの名に、待つ族のなって聞こえたからだった。

27、正は放送局へ茂との捜索依頼をした。類には2の特徴と故郷、最に確認した所を詳しくいた。

数か、放送で取りげるという通が届いた。

その族が眠ったも正はラジオのからかなかった。アナウンサーが茂との名を読み、報を求めた。正は息を止めるようにして聞いた。

しかし翌も、その次のも連絡はなかった。

1週、放送局から通のが届いた。『力な報は寄せられていません』というい文面だった。

を破らず、背嚢のへしまった。その夜も8になるとラジオのへ座った。

「もう放送は終わったでしょう」

子が初めて声をかけた。

は振り返らなかった。

「俺が聞いていない夜に、向こうの名が呼ばれるかもしれない」

「正さんは、誰を待っているの?」

夫は黙っていた。やがて、「帰れなかっただ」とだけ答えた。

子はそれ以尋ねず、夫の隣へ座った。縫い物をしながら、名もらない々を捜す放送を緒に聞いた。

その晩から、正で泣くことはなくなった。

になる頃、族の暮らしは以より定していた。

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の勤める印刷には仕事が増え、借にもしい具がつずつ加わった。

古いラジオだけは、変わらず部番よい所に置かれていた。音がにくくなると正は修理にし、目盛り盤の文字がくなると布で丁寧に磨いた。

は、そんな父を次第に理解できなくなった。

では戦しい本について学び、友たちは将来、会社員になる、技師になると未来の話をした。健も過より先を見たいとった。

ところがへ帰ると、父は毎晩、戦争でれた々を捜す声にを傾けている。誰かの名が読みげられるたびに顔を曇らせ、ときにはの会話さえ止めた。

「いつまで聞くつもりなの」

になった健は、ある夜ついに父へ言った。

「もう戦争が終わって何たっているとっているんだ。きているは、今の活をしなきゃいけないだろう」

はラジオのつまみにを置いたまま、息子を見た。

「待っているには、何たったかは関係ない」

「でも、名が呼ばれたことなんて度もないじゃないか」

「だから聞いている」

「帰ってこないばかり見て、今ここにいる族を見てないじゃないか」

その言葉に、子が「健」とく呼びかけた。しかし正らなかった。

はゆっくりラジオの源を切った。

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だった放送が途絶え、部には気まずい静けさが残った。

「そう見えていたなら、すまなかった」

父が謝ったことに、健の方が戸惑った。反論されるとっていたため、それ以何も言えず、自分の部へ引っ込んだ。

その夜から3、正はラジオのへ座らなかった。夕聞を読み、健の学の話を聞き、節子が覚えたを傾けた。

族を見ていないという息子の言葉が、正の胸に突き刺さっていた。茂との約束を守ろうとするあまり、目の族へ同じさを背負わせていたのではないかと初めて考えた。

4目の夜、健は父より先にラジオの源を入れた。

「もうすぐ8だよ」

聞から顔をげた。

「聞きたくないんじゃなかったのか」

「父さんが誰を捜しているかは分からない。でも、聞くなと言う権利は僕にはないから」

はそう言って隣へ戻ろうとした。すると正が呼び止めた。

茂という男だ」

父が初めて名にした。

は振り返ったが、正はラジオを見たままだった。

「俺と緒にいた兵隊だ。あいつの妹も捜している」

きているの?」

「分からない」

それだけで会話は終わった。しかし健は、父が初めて自分へ過の扉をしだけいたようにじた。

その、親子で毎晩放送を聞くようになったわけではない。

は勉や友との付きいがあり、正も無理に座らせなかった。

ただ815だけは、正は昼に古いラジオを磨き、族全員を呼んだ。

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