"消えた実印" 第4話
言いながら、文はになった。
産会社からの話。
息子に任せているという返答。
記憶にない。
だが本当に話がなかったのかと聞かれると、自信を持って否定できなかった。
最、らない番号から何度か着信があった。の売却について聞かれたような気もするが、迷惑話だとって切った。
その、自分は何と答えただろう。
「お母さん」
由紀がノートを持ちげた。
「これ、全部織さんが悪いとはえない」
「じゃあ、どうして実印を取ったの?」
「それを聞かないと分からない」
由紀は織へ話をかけた。
呼びし音が5回鳴ったあと、留守番話につながった。
「ない」
「やましいからよ」
文はそう言ったが、胸の奥に別の疑問がまれていた。
織は、実印を盗んだのではなく、何かから守るために隠したのではないか。
しかし、それならなぜ説しないのか。
夕方、由紀が帰ったあと、文は活メモを最初から読み直した。
織は失敗だけをいていたわけではなかった。
《15 正雄さんの命。文さん、朝から赤飯を炊く。「夫は甘い物が好きだったから」と笑う》
《126 商の福引でティッシュ5箱当選。本、とてもぶ》
《220 庭の梅が。文さんから話あり。緒に写真を撮る》
《33 美へちらし寿司を届けたいとのこと。本と調理》
文は、そのページをく見た。
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監の記録だとっていた。
けれど織は、文が失敗しただけでなく、笑ったや料理をしたまで残していた。
なぜ。
その夜、達也から話があった。
「織、実印を返さないって言ってる」
「理由は?」
「俺にも言わない。最、あいつしおかしいんだよ」
「おかしいって?」
「俺の郵便物を勝に見たり、会社へ話したりしてる。もしかしたら、精神に定なのかもしれない」
文は活メモを見た。
「織さん、あなたの何を調べてるの?」
達也は黙った。
「産会社から、うちへ話があったみたいなの。あなた、何かってるでしょう」
「らないって」
「本当に?」
「母さんまで織の言うことを信じるのかよ」
息子の声に苛ちが混じった。
「とにかく、実印は俺が取り返す。誕の事も予定通りやろう。織は来させないから」
話が切れた。
文はノートを閉じた。
するはずだった。
だが、なぜか達也の言葉より、織が残したの方がかられなかった。
《315 印鑑登録証と実印の保管所を確認。危険性あり》
危険なのは誰なのか。
文はその答えをらないまま、70歳の誕を迎えた。
誕の事会には、織以の族が全員集まった。
達也はきな寿司桶を持ってきた。由紀は束を用し、美は祖母のために作りのケーキを焼いた。
「お母さんには、私がくことを言ってないから」
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玄関で美がさく言った。
「反対されたの?」
文が尋ねると、美は首を振った。
「お母さんは何も言わなかった。でも、お父さんが今はお母さんを連れてくるなって」
達也が奥から呼んだ。
「美、余計な話するなよ」
美は満そうな顔をしたが、それ以は言わなかった。
事が始まると、達也はいつも以にるく振るった。文へ酒を注ぎ、正雄のい話をし、これからも元気でいてほしいと何度も言った。
「ただ、暮らしはそろそろ考えた方がいいよ」
祝いの席が半分ほどんだところで、達也が切りした。
「またその話?」
「倒れてからじゃ遅いだろう。最、薬をみ忘れたり、を消し忘れたりしてるって聞いた」
「織さんのノートを読んだの?」
「本から聞いた」
「へ入れないって言ったでしょう」
「のことじゃない。母さんのことを配してるんだよ」
達也は、用してきたという資料をバッグからした。
齢者向け宅のパンフレットだった。
《の24見守り》
《事・活支援付き》
《ご自宅売却のご相談も承ります》
文は資料を押し返した。
「私はここをない」
「今すぐとは言ってない。でも元気なうちに考えた方がいい。は古いし、修理にもがかかる。売れるに売った方がいいだろう」
由紀が達也を見た。
「お兄ちゃん、何で誕にそんな話するの?」
「族が集まる会だからだよ」
「織さんが産の広告を持ってたのも、この話?」
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