"余命半年からの再出発" 第6話
病の窓へ映る自分を見て、以なら目をそらした。
今は子を選ぶ。
青い。
黄い鳥。
赤い実。
さな猫。
そのの気分で変えると、鏡のの自分がしだけ戻ってくるようだった。
治療のに、度自宅へ戻った。
誠の荷物は、ほとんどなくなっていた。スーツ、着、本、髭剃り。洗面所の歯ブラシも本になっている。
婚届はテーブルから消えていた。
代わりに、誠の署名が入った財産分与についての類と、弁護士の名刺が置かれていた。
佳代子は類を読んだ。
自宅は結婚に購入したもので、名義は誠だった。宅ローンはすでに完済している。
誠はを売り、売却代を分けたいと考えていた。
佳代子がみ続けるなら、誠の持ち分に相当するを支払う必がある。
治療にまで失うのか。
佳代子はそのへ座り込んだ。
パート収入は途絶えている。
預はあるが、を買い取れるほどではない。
働けるようになるかも分からない。
夫は、病気の妻が活する所まで理しようとしていた。
りでが震えた。
誠へ話をかけた。
「を売るつもりなの?」
「弁護士から説してもらう」
「私、治療なのよ」
「だから、すぐにていけとは言ってない」
「いつまで?」
「半くらいは待つ」
半。
医師が最初ににした期と同じだった。
治療しなければ半。
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をるまで半。
夫は、妻の命にもまいにも、同じ期限をつけた。
「私が半にんでいたら、都がいい?」
話の向こうで、誠が息を呑んだ。
「そんな言い方するなよ」
「あなたが言わせてるの」
「俺にだってがある」
「私にはないの?」
誠は答えなかった。
佳代子は話を切った。
病院へ戻る途、産会社のでを止めた。
自宅を売れば、いくらになるのか。
自分がみ続ける方法は本当にないのか。
以なら、銭や契約のことはすべて誠へ任せていた。の続きも、保険も、の修理も、夫の説を聞いて印鑑を押すだけだった。
今は自分で調べなければならない。
病院の相談員へ連絡し、法テラスや自治体の無料相談を紹介してもらった。治療費の限度額、傷病当、婚の財産分与、分割についてもつずつ聞いた。
らない言葉ばかりだった。
度聞いても分からず、何度も同じ質問をした。
恥ずかしいとった。
だが、分からないまま印鑑を押すよりはいい。
病へ戻ると、奈緒が赤い布を広げていた。
「ネットで買いました」
「何これ」
「私の子の材料」
鮮やかな赤だった。
佳代子はわず笑った。
「本気だったの?」
「もちろん。退院するまでにお願いします」
「私の方が先に退院するかもしれないでしょう」
「では、郵送してください」
奈緒は赤い布を佳代子へ渡した。
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佳代子はのひらで触った。
柔らかく、し伸びるだった。
半、自分がどこにんでいるかは分からない。
治療が効いているかも分からない。
それでも、赤い子を作る約束がつできた。
佳代子は病院の窓辺で、を裁ち始めた。
3回目の治療を終えたあと、佳代子はい染症を起こした。
血球ががり、38度を超えるが続いた。抗菌薬の点滴を受けてもなかなかがらず、個へ移された。
体は寒いのに汗が止まらず、息をするだけで疲れた。
夜、護師が族へ連絡するか尋ねた。
「息子がいます」
佳代子は答えたが、話をかけてほしいとは言えなかった。
翔太は最、週に度メッセージを送ってくるようになった。仕事のこと、京の気、コンビニで見つけた珍しい菓子。病気とは関係のない話がかった。
佳代子も、治療の詳しい話をしなかった。
息子を配させたくないからではない。
配してほしいと期待して、期待通りの言葉が返ってこなかったに傷つくのが怖かった。
「連絡しなくて丈夫です」
護師は頷いたが、夜けに血圧ががり、医師が呼ばれた。
識がのく、佳代子は誰かの名を呼んだ。
誠ではなかった。
翔太でもなかった。
「お姉ちゃん」
自分でも驚いた。
翌朝、がしがった頃、病院の医療相談員が来た。
「お姉さまへ連絡してもいいですか」
「どうして姉のことを?」
「夜に、お名を呼ばれていたと護師から聞きました」
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