"一つの証拠が暴いた8年間の嘘" 第7話
隣に座る財が、わざとらしく痛そうな表を作り、溜息をついた。
「まさかとはうけどさあ、朝倉君……データの管理が甘かったんじゃないの? 活がかったから、本の厳格なセキュリティ識が抜けてたんじゃないか?」
言葉がので空回りした。 そんなはずはない。俺はインドにいた頃から、データのバックアップと暗号化には倍神経を使ってきた。本に戻ってきてからも、PCのセキュリティ設定は課の許を得てに化したばかりだったのだ。それにもかかわらず、報漏洩が発し、あろうことか自分がその主犯として疑われている。
「絶対にそんなことはありません!」
俺はちがり、必に訴えた。
「私の端末もデータも、すべて暗号化して厳に管理していました! 私の過失で部へ漏れるなど、絶対にあり得ません!」
しかし、部は淡に首を横に振った。
「君の主張は分かった。だが、実際に君のアカウントと担当データから漏洩が発しているのはかしがたい事実だ。現点では誰も犯と断定はできないが、状況証拠、君に関与のい疑いがかかっている」
「部……!」
「社内規定に基づき、調査が完するまで君には自宅待を命じる。社内ネットワークへのアクセス権はすべて凍結。使用していたノートパソコンは、解析のため報処理部へ提してもらう。
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……承してくれ」
握りしめた拳が、りと悔しさで激しく震えた。 何の落ち度もないまま、まるで犯罪者のように扱われる屈辱。納得できるわけがなかった。 だが、ここでに反発したところで、利な状況が覆るわけではないことも痛いほど分かっていた。
俺は奥歯を噛み締め、溢れそうになるりを無理やりみ込んだ。
「……承いたしました」
パソコンを報処理部の担当者へ引き渡し、私物をまとめて会社をる。 初の青空が広がっているというのに、俺の界は真っ暗だった。このまま濡れを着せられ、積みげてきた技術も信頼も、すべてが崩れってしまうのではないかという底れぬ恐怖が、たいのようにを満たしていった。
自宅待を言い渡された翌朝。 俺はアパートの自で、机のに座ったまま、無言のを過ごしていた。 窓からは柔らかい朝のが差し込んでいるのに、のはいに覆われたままだった。
疑いをかけられた悔しさよりも、潔を証するための段を奪われ、ただ部でじっとしているしかない自分の無力さが、何よりも苦しかった。
ふとスマートフォンの画面がり、美咲からのメッセージが表示された。
『、丈夫? 何かあったら、いつでも話してね』
彼女の変わらない優しさと気遣いに救われるいがしたが、今の惨めな自分ではわせる顔がなく、返信を打ち込む気力すら湧かなかった。
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昼過ぎ、静まり返った部に、突然スマートフォンの着信音が鳴り響いた。 画面を見ると、表示されていたのはいもよらない相――発部の名だった。
慌てて通話ボタンを押す。
「はい、朝倉です」
『朝倉か! 状況が変した。至急、今すぐ会社に来てくれ!』
「え……? ですが、昨自宅待を命じられ――」
『いいからく来い! 特別応接だ、急げ!』
部の尋常ではない切迫した声に、俺は慌ててスーツに着替え、アパートをびしてタクシーにび乗った。
本社ビルへ駆け込み、指定された最階の特別応接の扉をける。 内には発部と課が直で並んでおり、そのさらに奥、座のソファに、見慣れない――だが、俺にとってぬほど懐かしいの男性が座っていた。
男性は俺の姿を認めるなり、い歯を見せてちがった。
「! 久しぶりだな!」
その野太く温かい声を聞いた瞬、俺の臓がきくねがった。
アリム・ジャワール。 インドのIT最企業『アリム・コンサルタンシー』の創業者兼CEO。 世界な富豪であり、当代屈指の才IT実業。 だが、そんな肩き以に、俺にとって彼は――あの灼のインドで共に汗を流した、かつての「堂仲」だった。
計の針をに戻す。 ガンジス川の支流にい、埃っぽいの片隅にある衆堂。
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