みかん小説
本棚

"一つの証拠が暴いた8年間の嘘" 第11話

終章 紡がれる未来

季節は巡り、々の葉が鮮やかにづく頃。 俺たちは仕事のを縫いながら、穏やかで満ちりた常を共に過ごしていた。

あの劇な告から数ヶ、俺と美咲は都内の静かなマンションで同棲活をスタートさせた。 朝、キッチンから漂ってくる淹れたてのコーヒーのばしいりと、トーストを焼く美咲のるい笑い声。そんな温かな常が、当たりのように続いている。

の夜には、リビングのソファで寛ぎながら、インドにいるアリムとオンライン通話を繋ぐのが恒例となっていた。

画面の向こうで、相変わらず派なシャツを着たアリムが、画面いっぱいに顔をづけて笑う。

『ヘイ、! で、結婚式の具体程は決まったのか? 友代表のスピーチをする準備は、いつでも万全だぞ!』

「ははは、もちろん招待するよ。アリムのスピーチなら、世界盛りがるだろうからな。頼むよ」

『任せておけ! プライベートジェットで京までひとっびだ!』

アリムは画面の向こうで豪に笑った。 世界企業の頂点に君臨するとなっても、彼が俺に向けてくれる気遣いと友の温度は、あの埃っぽい堂の裏でチャイを啜っていた頃と何つ変わっていなかった。 アリムほど、無条件で俺というを信じ抜いてくれた友はいなかった。

広告

ちなみに、の噂でにしたのだが―― 報漏洩の主犯として会社を懲戒解雇された財は、その、業界内での悪評が祟って企業への再就職が叶わず、方の零細な通信回線業者に拾われたらしい。

かつて俺がにまみれて駆け回っていたような、過酷なび込み営業の現に、今の彼はを置いているという。 彼がその現で何をい、これからどのようなを積みねていくのかは、俺のるところではない。 だが、今の俺のには、彼をんだり責めたりするような暗いは、片たりとも残っていなかった。

いつかどこかで、彼と再会することがあるのかどうかは分からない。 だが、それもまた、これからのが自然と運んでくれる巡りわせのつなのだろう。

が、リビングの窓の隙からカーテンを微かに揺らして吹き込んできた。 ソファの隣に座っていた美咲が、俺の腕にそっとを寄せ、静かに呟いた。

「ねえ、。私、今……本当に幸せだよ」

俺はコーヒーカップをテーブルに置き、彼女の肩を抱き寄せた。

「うん。俺もだよ」

「だってね……れで辛かったも、仕事で苦しかったも、に忘れられないくらい好きながずっといたんだもの。それって、本当はずっと幸せだったってことなんじゃないかなって、そううの」

広告

「……それは、俺のことかい?」

「ふふっ、惚気けていいよ」

美咲は悪戯っぽく笑い、俺の胸に額をすり寄せた。 俺はおしさを込めて、彼女の艶やかな黒髪にそっとを伸ばした。

ふと、アリムが以の通話で言っていた言葉をす。

、おの背から押しげてくれたのが俺だと言うなら、これからので、その傷ついた肩を支えてくれるのは美咲さんだ』

本当にその通りだなと、の底からう。 美咲のさく温かい触を指先にじながら、俺は力く、静かに言葉を紡いだ。

「これからも、ずっと幸せでいよう。絶対に」

「うん。ずっと、緒にね」

美咲の柔らかな笑顔と、その言だけで、というかった空が、かけがえのない温かな記憶へと形を変えていくのをじた。

が来れば、俺はまた自分ので仕事へと向かう。 誰かに必とされ、誰かの力になれる所へ。 自らので磨きげ、証してきたこの技術と誇りを胸に、これからの未来を紡いでいく。

隣には、する美咲がいる。 の向こうには、いつも俺を信じてくれる無の友、アリムがいる。

俺の本当の物語は、ここからまた、しく始まっていくのだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: