"追い出された私が離婚届を渡した日、夫の人生は崩れ始めた" 第3話
「そうだね。ローンはすごくいけど、これからで頑張るしかないね」
私が微笑みながら言うと、は「任せとけ!」と力く自分の胸を張ってみせたのだった。
しいでの活が始まって数ヶが過ぎ、そのの末を迎えた。
末の掃除の真っ最、リビングに掃除用具を広げて埃を払っていた私のに、突然インターホンのチャイムが響いた。玄関をけると、そこには事の連絡もなく、義両親がっていたのである。
末の忙しい期であり、が片付いていない状態だったため、正直なところ戸惑いは隠せなかった。しかし、わざわざを運んでくれた義両親に対して「帰ってください」などと言えるはずもなく、私は笑顔を作ってを迎え入れた。
「が建てたを見てみたくてね。わざわざてきたのよ」
義母は靴を脱ぎ散らかしながらがり込み、リビングからキッチン、浴に至るまで、のを通り見て回った。そして満そうに頷いた。
「いいじゃないの。よくやったわ、も」
「ありがとうございます。もぶといます」
私がをげると、義母はリビングのソファにどっかりと腰をろした。
「私たちのことは気にしなくていいから、綾乃さんは掃除の続きをやってちょうだい」
義母の言葉に甘え、私はをげてリビングや廊の拭き掃除に戻ることにした。
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私がバタバタと忙しなくをき回っている、義両親はソファでお茶をすすりながら、ひそひそとで何かを話しっているようだった。折、のの寸法を測るように壁や井を見回している。
掃除をかけ終え、雑巾をバケツで洗っていた私に、義母がふといしたように声をかけてきた。
「ところで綾乃さん、おせち料理はもちろん作るわよね?」
私はを止め、振り返って答えた。
「いえ……とだけですし、今は特に作る予定はしていません」
結婚してからの、末始におせち料理をから作りしたことは度もなかった。自もそれほどおせち料理を好んでおらず、箱に詰めるような伝統料理よりも、普段は頼まないようなデリバリーのピザや特のお寿司を取る方が、よっぽどんでいたからだ。
しかし、私の返答を聞いた瞬、義母の顔がサッと変わった。
「ダメよ! お正にはおせち料理って決まってるのよ! 本の伝統を蔑ろにして、作らないなんてありえないわ! 今すぐおせち料理を作りなさい!」
義母のあまりの剣幕と声に圧倒されてしまった私は、反論する気力を奪われ、言われるがまま急遽スーパーへ買いしにり、おせち料理の準備に取り掛かることになってしまった。
黒豆を煮て、伊達巻を焼き、筑煮を炊き、栗きんとんを練る。
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慣れない作業に追われ、悪戦苦闘しながら作り続け、気がつけばものが経過していた。
ようやく箱に詰め終えた料理を見て、義母は腕を組みながら言った。
「やっとできたのね。これからは毎、抜きしないでちゃんと作るのよ」
義母はそう言い残すと、満げな顔をして義父と共に帰っていった。
嵐のような来訪に呆然としながら、ふと壁掛け計を見げると、すでに刻はを回っていた。が仕事から帰ってくるのは頃だ。掃除はリビングの途で完全にストップしており、夕飯の支度すらまだをつけていなかった。
私は疲労困憊の体に鞭を打ち、急ぎで台所にって夕飯の支度を始めた。
し過ぎ、玄関のドアがき、が疲れた取りで帰ってきた。
「ただいま……今も疲れたよ」
「お帰りなさい、お疲れ様」
何とか夕飯の準備だけはにわせることができた。卓におかずを並べながら、私は今の来事を切りした。
「今ね、お母さんとお父さんが来られたわよ」
はビール缶のプルタブをけながら顔をげた。
「へえ、母さんたちが? なんか言ってたか?」
「ええ、すごくいいだって褒めてくださったわ」
「そうだろう!」
はをくし、誇らしげな顔で笑っていた。しかし、私がそのに続けた言葉で、空気は変した。
「でもね……お母さんにおせち料理を絶対に作れって言われて、急遽作っていたから、掃除がまだ終わっていないのよ」
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