"地下室に消えた名前" 第3話
配列も無作為ではなく、何らかの規則に従っているように見えた。
それは、慌てて隠した痕跡ではなかった。
誰かがをかけて骨を分け、布で包み、番号をつけ、順番に保管したのだ。
「へ戻りましょう」
浦の声が震えた。
「ここは、記録庫です。を保管するための記録庫だったんです」
3は階段をがり、属板の周囲を入禁止にした。浦が警察へ話をかける、直哉はへてたい空気を吸った。
はすでにへ変わり始めていた。
数分、をってきた警察両の赤灯が々のに見えた。続いて鑑識両と救急が到着し、静かだった廃病院は気に慌ただしくなった。
最初に事を聞いた刑事は、形県警捜査1課の瀬慎吾だった。48歳の瀬は、直哉たちが撮した写真を確認すると表を変えた。
「へりたのは3だけですね」
「はい。棚のには触れていません。包みが1つ落ちた以は、そのままです」
「落ちた札の番号は覚えていますか」
直哉は帳に控えた文字を見せた。
F―0217。
瀬はそれを見つめ、い声で呟いた。
「名ではなく、番号で残したのか」
は次第にくなり、古い建物の輪郭をく覆っていった。しかしから現れたものだけは、再び隠すことができなかった。
旧療養所は、発見当のうちに警察の管理へ置かれた。
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解体事は止され、建物の周囲には規制線が張られた。
翌朝から、い防護を着た鑑識員たちがへ入った。骨の入った包みは現で撮され、番号と位置を記録したうえで、1つずつ別の容器に移された。
全部で6包。
いずれもか淡い青の布で包まれ、麻紐で字に縛られていた。布には病院名の部とわれる印字が残り、番号札は紐ではなく、細い針で骨へ直接結びつけられていた。
法医学教での予備鑑定により、骨はなくとも6の成に由来する能性がいとされた。骨盤の形状などから全員が女性と推定され、齢は20代から50代まで幅がある。
数が経過しているため、部組織は残っていない。骨にはらかな銃創や刃物による傷は見つからず、因の特定は難しいと考えられた。
瀬は現責任者として、の構造を調べた。
は1938の完成からしていた能性がい。しかし保健所や消防署、病院を管理していた法に残る図面には、切記載されていなかった。
階段の入りが塞がれた期は、使用されたセメントの成分から1970代半と推定された。つまり、病院が閉鎖される10以に、誰かがのを隠したことになる。
「なぜ骨を処分せず、保管したんでしょう」
若刑事の奈緒が尋ねた。
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「分からない。だが、番号をつけた以、照する記録がどこかにあるはずだ」
瀬は番号札の写真を机へ並べた。
F―0217、F―0342、F―0519、F―0631、F―0728、F―0814。
連続した数字ではない。患者番号か、入院記録の理番号である能性がかった。
捜査本部は、廃病院内に残された文の回収に着した。事務や倉庫には量のが放置されていたが、漏りと湿気で損傷がみ、触れただけで崩れるものもかった。
県の公文館にも資料は残っていた。しかし施設名の変更や運営法の統がなり、記録は複数の所へ分散している。入院患者だけでも数千にり、番号の規則も代ごとに変わっていた。
瀬たちは、女性病棟を表す記号として「F」が使われていた期があることを突き止めた。英語のFemaleから取られた記号で、1950代以の部の台帳に確認できた。
番号の半4桁は、個を特定する院内番号だった。
最初の致が見つかったのは、捜査始から12目だった。
「瀬さん、これを見てください」
が持ってきたのは、1957の入退院台帳を撮した画像だった。
F―0217。
その隣には、墨で「神崎文」と記されていた。
当29歳。19554入院。診断欄には「抑鬱反応、妄傾向」とある。そして退院の欄には、1957211とかれていた。
備考は、わずか6文字だった。
「自により除籍」
ではなく、除籍。
瀬はその言葉に引っかかった。
続いてF―0342は、坂、当41歳。1961に。
F―0519は、藤千鶴、当24歳。1966に。
残る3についても、1970代半ばまでに同じ病院で命を落とした女性患者であることが判した。
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