みかん小説
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"退職届を出した夫が、最後の会議で暴いた妻社長の嘘" 第1話

退職届をした直、私はエレベーターので、社である妻の美穂と鉢わせた。

扉がくと、美穂は央にったまま、私が抱えている青いファイルへ目を落とした。

美穂は私の顔を見直し、い声で尋ねた。

「会社を辞めるって、本当なの?」

私はへ入り、1階のボタンを押した。

「ほかにどうしろと言うんだ」

私はファイルを脇へ挟み、美穂へ顔を向けた。

「君の秘の田が、はっきり言ってくれたよ。私が席を譲らず、毎君たちの茶番を見続ければいいのか?」

美穂のまつ毛がわずかに震えた。

彼女は指を伸ばし、赤い止ボタンを押した。

エレベーターの駆音が止まり、狭い空に静寂が広がった。

美穂はを引き、平静を装って私を見た。

「私と田には、同僚としての関係しかないわ」

私はこらえきれずに笑い、スーツの内ポケットからスマートフォンをした。

昨夜2340分に届いたメッセージをき、美穂のへ差しした。

送信者は田だった。

美穂は画面へ線を落とした。

「社と俺の関係はっていますよね。空気を読んで、自分から辞めてください。みんなが気まずくなるに」

美穂は喉を鳴らし、私のスマートフォンを押し返した。

「これが何を証するの? 彼は、あなたが誤解することを恐れて――」

私はスマートフォンをポケットへ戻し、彼女の言葉を遮った。

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「私を自主退職させれば、で顔をわせるたびにのふりをするが省けるんだろう」

美穂は唇をかみ、止ボタンからした。

エレベーターが再びすと、彼女は28階のボタンを押した。

美穂は昇する数字を見ながら、さく息を吐いた。

「私のオフィスで話しましょう」

赤い数字が1つずつ増えていくのを眺めながら、私は3のことをしていた。

阪への張を終えた私は、予定よりく会社へ戻った。

幹線をりて急いだため、キャリーケースを引いたまま同じエレベーターへ乗っていた。

扉がいた、美穂のには半分ほどめたコップのコーヒーがあった。

の美穂は、22まで残業することも珍しくなかった。

私を見つけた瞬、彼女の目は隠しきれないびで輝いた。

美穂はコップを握ったまま、私へ駆け寄った。

「どうして帰ってきたの?」

その、私の張は増え、1かのうち25で過ごすこともあった。

予定表の半が張先の名で埋まり、私は関の病院を回り続けた。

美穂からの連絡は、しずつくなった。

たとえば、「幹線に着いたら連絡してね」という文面は、「着いた?」へ変わった。

また、「夕飯をべてね。また胃を痛めるよ」という気遣いは、「うん」の1文字になった。

私が送った「会いたい」

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という言葉にも、やがて返事が来なくなった。

が入社したのは1だった。

ある朝、田は美穂の横を通りながら、まとめた髪が品に見えると褒めた。

美穂はそのでは振り返らず、にしていた類を見たままだった。

その翌から、美穂は毎同じ髪型で社するようになった。

28階に着くと、美穂は先にり、社へ入った。

私は定の速さで響く彼女の靴音を聞きながら、2歩遅れて廊んだ。

私は2メートルほど距を取り、デスクの向かい側へった。

青いファイルから引き継ぎ覧を取りし、彼女のへ滑らせた。

「退職届は、もう事部へ提した。プロジェクトの捗、連絡先、未処理の仕事はここにいてある」

美穂は類を見ず、私の肩越しに本棚を見つめていた。

やがて彼女は指先でデスクを2回たたき、私へ線を戻した。

「あなたは、いったいどうしたいの?」

私はデスクへ両をつき、美穂の目を見た。

婚したい」

美穂の指が止まった。

彼女は鏡の奥から、私の真を確かめるように見つめた。

「本気で言っているの?」

私は姿勢を変えず、はっきりとうなずいた。

「本気だ。もう戻りする余はない」

美穂は子からがり、初めて声を荒らげた。

「もうやめて!」

子の脚がをこすり、鋭い音をてた。

美穂は数回呼吸してから座り直し、乱れてもいない襟元をえた。

彼女は疲れたように目を伏せた。

「以のあなたは、そんな話し方をしなかったわ」

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