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"退職届を出した夫が、最後の会議で暴いた妻社長の嘘" 第2話

私は社の扉へ寄りかかり、彼女を見返した。

「それは昔の話だ」

美穂はキーボードへ伸ばしかけた指を止めた。

「昔なら、張から戻ったら会社ではなく、先にへ帰ってきたでしょう?」

私はドアノブへを伸ばした。

「昔は、に帰れば待っていてくれるがいたからな」

その、ポケットのでスマートフォンが震えた。

から、退職届をしたらしいから荷物の片づけを伝おうかというメッセージが届いていた。

私は文面を最まで読み、返事を送らずに画面を閉じて、美穂へ背を向けた。

美穂はろうとする私を見て、焦った声をげた。

「どこへくの?」

私は扉をき、るいオフィスへを踏みした。

くの社員数が顔をげたが、私と目が線を元へ戻した。

私はを止めず、社ながら答えた。

「自分の荷物を片づける」

美穂はデスクかられ、私の背へ声を投げた。

「私は承認していないわ。退職には私の承認が必よ」

私は振り返らず、ドアを押さえた。

「君は私の社であって、母親ではない。退職届は通であって、許を求める申請ではない」

扉が閉まりかけた、美穂の細い声が隙から届いた。

「あなたは誤解しているわ」

私はを止めず、自分のデスクへ向かった。

その言葉は、あまりにも軽かった。

オフィスへ戻ると、田が私のデスクの横にっていた。

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元には、使い古された段ボール箱が置かれていた。

は腕を組み、靴先でをたたいた。

「戻ってくるのがいですね」

私は答えず、充ケーブル、ノート、顧客資料を順番に取りした。

顧客資料へを伸ばした、田が私のきを止めた。

彼は資料の束を指さし、規則を説するような調で告げた。

「それは持ちせませんよ。退職者は顧客報を持ちせない決まりです」

私はを止め、田の顔を見げた。

「3か、私の顧客管理システムのアカウントを使ったな」

の靴先が止まった。

私は資料の端をそろえながら続けた。

「関エリアの顧客覧を力し、競会社のシステムへ送った。規則をすべきだったのは、どちらだ?」

の余裕のある表が消えた。

彼はき、無理に笑おうとした。

「何を根拠に、そんなでたらめを言っているんですか?」

私は鞄のファスナーを閉め、彼から線をした。

「でたらめかどうかは、おが1番よく分かっているはずだ」

疑い始めたのは、そのが初めてではなかった。

3夜2張から帰ると、リビングのかりがついていた。

美穂はシルクのパジャマ姿で斎からてきて、プロジェクトが遅れていたから残業したのだと説した。

さらに3か、私は予定より2く戻った。

会社の女性社員は、美穂なら17に帰ったと教えてくれた。

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しかし美穂がへ帰ってきたのは夜2だった。

彼女のからは、オレンジブロッサムとアンバーのが漂っていた。

それでも美穂は、急な残業が入ったのだと言った。

決定だったのは、故障した古いスマートフォンを修理へしただった。

修理担当の青は、クラウドに暗号化されたフォルダーが残っていると教えてくれた。

は復旧した画面を私へ向け、フォルダー名を指で示した。

「パスワードは、誕の数字になっているようです」

私は青へ礼を言い、にある子へ移って、受け取った端末をいた。

パスワードは、私の誕だった。

復元された最初の音声には、田の声が入っていた。

背景にはの音があり、の駐で録音されたようだった。

続く音声では、美穂が笑っていた。

雑音のから、「待っていてね」というい言葉も聞こえた。

録音は317、私の誕だった。

私は内で夜けまで録音を聞き続けた。

ダッシュボードのだけが残り、窓のでは灯が1つずつ消えていった。

胸が張り裂けたわけではなかった。

く広がっていた亀裂を、私が見ようとしなかっただけだと気づいた。

私は目のの荷物へ識を戻し、残りを段ボール箱へ詰め、結婚したに撮った写真を最にしまった。

写真には、役所からてきたばかりの私たちが写っていた。

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