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"「孤児の貧乏女」と捨てた妻の本当の正体" 第6話

「な……なぜ、おがここにいるんだ……!?」

拓也の顔が、恐怖と混乱で激しく歪んだ。

「み、美桜……? なんでおがここにいるんだ……!?」

拓也の喉から、裏返ったような抜けな声が漏れた。

エレベーターホールから静かに歩みをめてきたのは、でもない私だった。昨晩マンションを追いされたと同じ、褪せた物のカーディガンになスラックス。この豪華なオフィスビルにはあまりにも釣りいな、みすぼらしい格好である。

その私の姿を見た瞬、拓也の顔に浮かんでいた恐怖と混乱が、見る見るうちに別のへと染まっていった。彼は突如として井を見げて、狂ったように笑いを始めたのだ。

「あーっはっはっは! なんだ、そういうことか! 驚かせてくれやがって!」

「た、拓也部体何がおかしいんだ……?」

腰を抜かしていた社が、震える声で尋ねる。拓也は勝ち誇ったような顔で私を指差した。

「社、騙されないでください! こいつは私が昨夜捨てた元妻です! Kホールディングスからの契約解除だの渡りだの、全部この女が仕組んだ狂言ですよ!」

「き、狂言だと……!?」

「ええ! 考えてもみてください! 世界を牛る超企業が、社員のプライベートな婚問題なんかに介入してくるわけがないでしょう! この女は私に捨てられた腹いせに、どこかの流役者を雇ってあの柴田とやらを演じさせ、会社のシステムをハッキングして脅してきただけです!」

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拓也のからした、あまりにも都のいい妄。しかし、百億円の損失という絶望な現実に直面し、藁にもすがるいだったは、その甘い言葉にあっさりとびついてしまった。

「そ、そうか……そうだよな! そんなバカな話があるわけない! つまりが社は、Kホールディングスに見捨てられたわけではないのだな!?」

「当然です! 私というエースがいる限り、が社は泰ですよ!」

のやり取りを聞いて、先ほどまで絶望の淵で泣き崩れていた由も、ハッと顔をげた。彼女はぐしゃぐしゃになったメイクのままがり、私に向かってツカツカと歩み寄ってきた。

「この最のクズ女! うちの会社が渡りをしたなんてのも、あんたが警察に嘘の垂れ込みをして流したデマだったのね!」

は私の目のまで来ると、憎悪に満ちた目で私を睨みつけ、フロアに響き渡る声で鳴り散らした。

「本当に気持ち悪いおばさん! 自分が底辺の孤児院みなしごだからって、エリートの私たちを引きずりろそうとするなんて! あんたみたいな学もない教養もない貧乏臭い野良犬はね、を啜ってきていく運命なのよ! 拓也さんの完璧なに関わろうとするなんて、の程をりなさい!」

から滝のように溢れす、容赦のない侮辱の言葉。

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周囲を取り囲む部たちも、「なんだ、元妻の嫌がらせか」「なんて恐ろしい女だ」と、私に向かってたい軽蔑の線を向け始めた。

「警備員! さっさとこの審者を捕まえろ! 威力業務妨害で警察に突きせ!」

拓也が声を張りげると、フロアの入から屈な体格の警備員たちが名駆け込んできた。彼らはあっというに私を取り囲み、逃げを完全に塞いだ。私は警備員たちのきな壁に囲まれ、まさに絶体絶命の窮に追い込まれた――ように見えた。

「ふん、ざまあみろ! もう逃げられないぞ! 会社のシステムに侵入した罪で、おの残りのたい鉄格子のだ!」

拓也が腕を組み、劣な笑みを浮かべて私を見ろす。

しかし、私はその、ただの度もかなかった。泣き喚くわけでもなく、りに震えるわけでもなく、言い訳をするわけでもない。私は彫刻のようにピクリともかず、ただい静寂ので暴言を吐き続ける拓也と由の顔を、氷のようにたい目で見つめ返していた。

そのあまりにもな沈黙に、拓也は徐々に苛ちを募らせていった。

「なんだその目は! 言い返してみろよ! 自分の浅恵がバレて、恐怖で声もないか!?」

沈黙を貫く私に腹をてた拓也は、ついに激昂し、きくを振りげた。

座して靴を舐めろ、このゴミ女ッ!!」

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