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"「孤児の貧乏女」と捨てた妻の本当の正体" 第16話

という最の希望にしがみついたのだ。しかし、その言葉を聞いた柴田が、ややかな笑みを浮かべて拓也のちふさがった。

「拓也様。あなたのご両親が、あなたを助けてくれると?」

「そうだ! 俺は自男なんだ! 親父もお袋も、俺のためなら何だってしてくれる!」

柴田は、まるで無邪気な子供のを打ち砕くように、無慈な声で告げた。

「では、最にお教えしましょう。あなたのご実で、今朝何が起きたのかを」

「ご両親があなたを助けてくれる……?」

柴田の唇の端が、酷な弧を描いて吊りがった。

「拓也様。あなたが自の息子としてご両親に毎仕送りしていた万円、そしてご実のあの広と豪邸――あれらは全てにお父様の会社が倒産しかけた際、美桜お嬢様が密かに負債を全額肩代わりし、条グループの名義で買い取って無償で貸し与えていたものですよ」

「な……っ!?」

拓也の顔面から、最滴まで血の気が引き剥がされた。

「あなたが『俺の稼ぎで実を建て替えてやった』と豪語していたあのは、お嬢様の持ち物です。そして昨、あなたとお嬢様の婚が成した瞬、あのの無償貸与契約も自に解除されました」

柴田がそう告げた直だった。拓也のジャケットのポケットに入っていたスマートフォンが、けたたましい着信音を鳴らし始めたのだ。

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刑事が無言でスマホを取りし、画面を確認して通話ボタンを押し、スピーカーモードにして拓也の元へ突きつけた。

『もしもし! 拓也、あんた体どういうことなの!?』

スピーカーからフロアに響き渡ったのは、拓也の母親の狂乱したような切り声だった。普段の優しくて品なお袋の面など微もない、醜い声である。

「お、お袋……! 助けてくれ、警察に――」

『警察に助けてくれじゃないわよ! 今朝いきなり黒の怖い男たちがに乗り込んできて、私たちをパジャマのままに放りしたのよ! も全部条グループの持ち物だから、婚した息子の親にはち退いてもらうって!』

「え……!?」

『どうして美桜さんがあの条財閥の令嬢だって黙ってたのよ!? 孤児院育ちの貧乏女じゃなかったの!? あんたが変な若い女と浮気なんかして美桜さんをらせるから、私たちの老の資も全部奪われたじゃないの!』

話の向こうからは、『バカ息子が! わしらのをめちゃくちゃにしおって!』という父親の鳴り声も聞こえてくる。両親にとって拓也は男などではなかった。条グループの莫な富を引きすための、ただの具に過ぎなかったのだ。

「お、お袋……俺はおたちの息子だろう!? 緒に弁護士を――」

『ふざけないで! あんたみたいな役たずのゴミ、もう親でも子でもないわ! 慰謝料でも何でも払って美桜さんに座してを返してもらいなさい! この無能な疫病神! 度と私たちに関わらないで!』

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ツーツーツーという無質な子音が、拓也の最の希望を完全に打ち砕いた。

「ああ……あああ……」

両親からの容赦のない絶縁宣告。弟にを寝取られ、両親からはづるとしての価値がなくなった瞬にゴミのように捨てられる。これが、拓也が信じ続けてきた「完璧な」と「温かい族」の真実だったのだ。

彼はゆっくりと顔をげ、すがるような、ひどく虚ろな目で私を見た。

「美桜……なあ、嘘だと言ってくれ……俺のは、俺の努力は、全部おの作りしただったのか……?」

虚脱状態になり、涙とでぐしゃぐしゃになった顔で、最の救いを求めて私を見げる。

だが、私はただの言も発しなかった。りも、しみも、れみすらも湧かない。私はかすかに顎を引き、え切ったガラス玉のような瞳で、いつくばる無惨な男をただ静かに見ろし続けた。

、私がどれだけ尽くしても、彼は私を「施設育ちの底辺」と見し続けた。その彼が今、本当の底辺に落ち、私にすがろうとしている。そんな男にかける言葉など、私のには文字たりとも残っていなかった。

私のその完璧な沈黙が、拓也にとっては何よりも残酷な刑宣告となった。自分が完全に無価値なとして切り捨てられたことを悟った拓也は、ついに声にならない絶叫をげ、そので糸が切れたように崩れ落ちた。

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