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"68歳の誕生日、残高は0円だった" 第4話

さく呻いた。

千代子はとっさにの背をさすり、ポジションを直した。

何度も繰り返すその作業を、千代子はにこなした。

彼女は作業をしながら、でATMの画面を反芻していた。

ゼロ。ゼロ。

その丸い数字が、何度消そうとしても目の裏に浮かんでくる。

積みててきたおは、どこへったのか。

が言ったファンドとは何なのか。

委任状とは、誰がいたのか。

私はサインしていない。

でも、は適正に完したと言った。

千代子の胸ので、モヤのような何かがゆっくりと固まり始めていた。

しみではなく、りでもなく、もっと静かでい物。

それが何なのか、この点ではまだ言葉にできなかった。

でも、確かに何かが変わり始めていた。

がゆっくりと収束していくで、廊から総が聞こえてきた。

ゴルフ番組の主題曲を、嫌よくずさんでいる声だった。

その声が、静かなに響いた。

千代子はその声を聞きながら、を握ったまま真っ直ぐを見ていた。

が、しずつ夕方のに変わっていった。

その夜、千代子はほとんど眠れなかった。

布団の井を見つめながら、ATMの画面を何度もした。

ゼロという数字は、記憶のでどんどんきくなっていった。

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最初はさな違だったものが、夜が更けるにつれて確信へと変わっていく。

私はあの委任状をいていない。絶対にいていない。

千代子は暗った。

自分の名を、座におを移すための類にくはずがない。

、毎欠かさず積みててきたおき先だ。

それを自分で決めないはずがない。

隣の布団で、総は静かに眠っていた。

規則正しい呼吸の音が、暗い部に満ちていた。

その穏やかな寝息が、今夜の千代子には奇妙なほどくにじられた。

同じ布団のにいるのに、全く別の世界にいるような気がした。

千代子はそっと体を起こした。

彼女は暗で、壁の計を見た。

し回っていた。

ると、の部からさな音が聞こえた。

何かが落ちるような、微かな音だった。

千代子は急いでドアをけた。

がベッドの柵を掴んで、体を起こそうとしていた。

枕元に置いていたコップがに落ちて、が畳に染み込んでいた。

千代子はすぐに駆け寄った。

「お義母さん、丈夫ですか」

千代子はの体を支えて、静かに横に直した。

は苦しそうに顔を歪めていた。

歳の体は、仰向けのままずっと同じ姿勢でいるとどこかが痛くなる。

ずれが悪化している部分は、夜になると特にうずくらしかった。

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千代子はの背を添えて、ゆっくりと体位を変えた。

「ごめんなさいね、お母さん」

千代子は声をかけながら、毛布の位置を直した。

「痛かったでしょう」

は何か言いたそうにかした。

しかし、声にならなかった。

能が落ちてから、言葉がうまくてこなくなっている。

でも目だけはまだいていて、千代子の顔を静かに見ていた。

その目のに、謝なのか苦痛なのか、何か言えないが揺れている。

千代子にはそれをはっきりとじることができた。

千代子はしばらくのを握ったままに座り込んだ。

ドクター部が、先週の往診で言っていたことをした。

さん、お母様の仙骨周辺のずれがかなりくなっています』

ドクター部は刻な顔で言っていた。

『このままでは染リスクがてきます。急にエアマットレスを導入してください』

彼は千代子の目を見た。

『20万円になりますが、これは急ぎの話です』

ドクターの言葉は丁寧だったが、その奥にい切迫があった。

千代子はそので、「はい、わかりました」と答えた。

帰宅してから総にその話をすると、彼は類から目をげなかった。

『必があれば私が判断する』と彼は言っただけだった。

そして、あのATMの件があった翌

の往診で、ドクター部はまた同じことを言った。

今度はもっとはっきりと言った。

『先週より悪化しています。

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