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"68歳の誕生日、残高は0円だった" 第6話

千代子は静かに玄関をた。

は曇っていて、昨より気温ががっていた。

バスのを確認し、最寄りのバスへ向かった。

千代子は歩きながら、財布の銭を指で触った。

バス代は往復で360円。なんとかなる。

バスは分ほどで、区役所に着いた。

区役所の建物は古くて、廊暗かった。

案内のっている若い男性職員に声をかけた。

「介護の補助について相談したいのですが」

千代子が告げると、彼は奥を指さした。

「福祉課の窓ってください」

福祉の窓にはつのカウンターがあった。

千代子は理番号を取り、プラスチックの子に座って待った。

子には、千代子と同じくらいの齢の女性がいた。

さらに、もっと齢の男性がいた。

皆、静かに自分の番号を待っていた。

灯のが均り注ぎ、々プリンターの駆音がした。

しばらくして、千代子の番号が呼ばれた。

担当になったのは、代半ばとわれる男性職員だった。

鏡をかけた真面目そうな顔をしている。

千代子さんですね」

職員は確認しながら、パソコンのキーボードにを置いた。

千代子は持参した介護保険と健康保険をした。

「まず、姑のずれの悪化とエアマットが必な状況なんです」

千代子は状況を丁寧に説した。

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族で費用の調達が難しくて、何か補助の制度があれば教えていただきたいとってまいりました」

職員は頷いた。

々お待ちください」

職員はそう言い、キーボードを弾き始めた。

千代子はねて、静かに待っていた。

職員の指が止まり、またいた。

止まった。またいた。

千代子は何も考えないようにして、カウンター越しに職員の元を見ていた。

が経って、職員のきが変わった。

最初の事務な速度が、自然なほどゆっくりになった。

そして、完全に止まった。

職員は画面を見たまま、数秒かなかった。

それからゆっくりとモニターの角度を変えた。

自分だけに見えるように、画面をし傾けたのだ。

もう度何かを確認するように、また角度を直した。

そしてキーボードを度だけ打った、指をキーからした。

さん」

職員は言った。声のトーンが変わっていた。

さっきよりく、慎な声だった。

千代子は背筋をすっと伸ばした。

「はい」

千代子は返事をした。

職員は千代子を度見て、それから周囲を見渡した。

隣のカウンターの職員は、別の来庁者と話している。

子には、まだ齢の男性が座っている。

職員は千代子に向かって、静かな声で言った。

ち入った内容になるかもしれませんが」

職員は慎に言葉を選んだ。

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「奥の相談でお話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」

千代子は瞬、が分からなかった。

奥の相談という言葉がに入ってくるまでに、がかかった。

「ええ、はい」

千代子は戸惑いながら答えた。

職員はがり、カウンターの端を回り込んで千代子のに来た。

「こちらへどうぞ」

職員はそう言いながら、廊の奥を示した。

千代子はがり、職員のをついて歩いた。

の先にさなドアがあった。

「相談2」というプレートが貼られている。

職員はノックしてドアをけた。

千代子を先に通してから、彼も入りドアを閉めた。

畳半ほどの狭い部だった。

テーブルと子が脚置いてあるだけだった。

窓はない。井の蛍灯が、で部全体を照らしていた。

「どうぞ座ってください」

職員は言った。

千代子が子に座ると、職員も向かいに腰をろした。

彼はクリップボードを持っていたが、何もかずにそれをテーブルの端に置いた。

それから千代子を見て、さく息を吸い込んだ。

さんのご世帯の報を確認させていただいたんですが」

職員はいた。

し確認させていただきたいことがあります」

千代子は黙って続きを待った。

「ご主の確定申告の報が、私どものシステムとも連携している部分があります」

職員は千代子の目を見た。

「そのに、さんご自に関する申告内容が含まれておりまして」

職員は度言葉を切った。

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