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"68歳の誕生日、残高は0円だった" 第15話

はまだ、何も気づいていない。

さやかが先に、リビングのドアをけた。

千代子がそのに続いた。滝川が最に入った。

リビングの空気が、瞬で変わった。

が話の途を止めた。

の客も、入ってきたを見た。

誰も何も言わない数秒があった。

の顔に、まず驚きが浮かんだ。

それから、何かを計算するような表になった。

「さやか、何の用だ」

彼は言った。声は穏やかを装っていたが、くなっていた。

さやかは答えなかった。

テーブルのみ、持っていた類を広げた。

滝川が隣にった。千代子はそのろにった。

客の線をき来させながら、子に座ったままかなかった。

「お父さん」

さやかは言った。静かな声だった。

鳴らない、震えない。ただ事実を並べるの静けさだった。

「今こので、話さなければいけないことがあります」

をわきまえろ」

い声で威圧した。

「客がいる」

「分かっています」

さやかは言った。

「だから、ここで話します」

の顔が変わった。目が細くなった。

唇が度、く引き結ばれた。

それはではなく、状況を読んでいる顔だった。

娘が弁護士を連れてきた。類を持っている。自分の仲たちので。

は何かを素く計算していた。

千代子にはそれが分かった。、同じ顔を見てきたから。

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の客のが、「、何があったんだ」と声で言った。

は取り繕うように言った。

したことじゃない。族のことだ。し待っていてくれ」

は言いながらがろうとした。

さやかがテーブルに枚のを置いた。

「これは、母の座の履歴です」

さやかははっきりと言った。

「3ヶに全額、父名義のファンドに移されています。委任状を使って」

さやかは客たちを見た。

「ただし、この委任状は母がいたものではありません」

客のを乗りした。

「母には精神障害はありません。帳もなく、受診歴もない」

さやかは総を指差した。

「しかし父は、母を度精神障害者として確定申告に記載し、障害者控除を受け続けていました」

さやかの声が部に響いた。

「これは虚偽申告です」

さやかはもう枚のをテーブルに置いた。

確定申告のコピーだった。

「国税局への告発状は、来週提します」

リビングの空気が完全に固まった。

客のは、誰もかなかった。

線を総に向け、はテーブルの類を見ていた。

もうは膝のを組んで、を向いたままかなかった。

皆、で働いてきただ。

今何が起きているか、説されなくても分かっている。

ったままだった。

「さやか」

彼は言った。

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声の調子が変わっていた。

「これは族の問題だ。部のを連れてくるような話ではない」

部ではありません」

さやかは言った。

「滝川先は、母の代理です」

滝川がた。

さん」

滝川は言った。くはっきりした声だった。

「私文偽造、虚偽の税務申告、そして配偶者財産の正移転」

滝川は罪状を並べた。

「これらは刑事、民事の双方において能な案件です」

それから、クリアファイルから枚の文を取りし、テーブルに置いた。

「こちらは公正証案です。内容を確認してください」

は文を見た。

線が類のいた。

ゆっくりと、でも確実に内容を読んでいる。

千代子は総を見ていた。

テーブルの端を指先で触れていた。微かに、極微かに震えていた。

客のが静かにがった。

、私たちは先に失礼する」

彼は言った。声に判断も非難もなかった。

ただ、保のために距を置く声だった。

残りのも続いてがった。

が「待て。話は……」と言いかけると、先にった男が遮った。

族の話は、族で決着をつけてくれ」

く言った。それ以は何も言わなかった。

は玄関に向かった。

千代子は廊て、黙って見送った。

がけに、千代子の方を度だけ見た。目がった。

その目には何もなかった。

あるいは何かがあったが、見せなかった。

ドアが閉まった。靴の音が玄関から消えた。

リビングに戻ると、総はまだっていた。

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