みかん小説
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"温泉旅行を贈った夫の本当の目的" 第9話

博幸。そして、さおり)

私はで、の名を静かに反芻した。

(あなたたちは、医療事務を勤めげた女の執を、まだ何もらない)

医療事務の現では、つの誤字、つの保険番号の致、円の計算ミスが、病院全体の信用を失墜させ、に何千万円もの診療報酬返還という致命な事態を招く。だからこそ私たちは、相がどれほど隠蔽しようとも、カルテの隅々に残されたわずかな矛盾を見逃さず、徹底に証拠を洗いし、完璧な性を組みてる。

その「正確無比な事務処理能力」を、今度はあなたたちを社会に抹殺するために使ってあげる。

階から聞こえる嬌声を聞き流しながら、私は録音を止し、データを固な暗号化フォルダへと移させた。

私のには、すでに彼らを破滅へと追い込むための、徹で狂いのない「処方箋」が完成しつつあった。

に、資産の防と兵糧攻め。 第に、社会信用の完全な失墜。 第に、法・経済な息の根の完全切断。

に任せて今すぐ階へ乗り込み、修羅を演じるなどという愚かな真似はしない。そんなことをすれば、相に警戒され、証拠を隠滅され、財産を逃弁される隙を与えるだけだ。

「事務に、淡々と、完璧に執する」

それが、を纏い、医療の最線を支えてきた私の流儀だ。

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私は物置のから静かに抜けし、庭のを隠しながら、誰にも見られることなく扉をにした。

の陽が、私のをアスファルトのく伸ばしていた。そのは、もはや夫の顔を窺って怯えるれな妻のものではなかった。

裏切り者に正当な獄を見せるための、徹なる処刑の姿だった。

を完全に抜けし、駅の雑踏に紛れ込んだ私は、植え込みから回収したボストンバッグをに、営業のファミリーレストランへと向かった。

ドアをくぐると、内には昼がりの主婦層やお寄りのグループが楽しげに談笑していた。私は番奥まった、周囲の線が届かない掛けのボックス席を選んで腰をろした。

ドリンクバーで温かいアールグレイの茶を杯だけ注ぎ、席に戻る。湯気と共にるベルガモットのりをく吸い込み、え切った指先をカップの温もりで解きほぐしながら、私は鞄から使い込まれた黒革の帳と、用の能ボールペンを取りした。

「さあ、始めましょうか。私のの『総点検』を」

声にさず、で呟いた。

帳の真っな見きページに、本の太い縦線を引く。側に「恵美子(私・実質資産形成者)」、側に「博幸(夫・実質債務超過者)」

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き殴る。その跡は、末の過酷なレセプト点検で数千枚のを裁くと同じ、寸分の迷いもない鋭さを帯びていた。

医療事務の現において、カルテや診療報酬の精査とは、単なる数字わせではない。医師の投薬内容、検査の妥当性、護記録との性を照らしわせ、箇所の備や正も見逃さずに正する、極めて度な論理作業である。

その技術を、今度は計簿と資産状況の「病理解剖」に応用するのだ。

まず、現状の産状況の洗いし。

(約坪・駅徒歩分)

名義:

恵美子単独(父からの特定相続財産。民法、夫婦共財産には含まれず、財産分与の対象)。

推定資産価値:

百万円

建物(階建て・築

建築当初の宅ローン:

百万円(夫名義で契約)。

実際の返済原資:

私の座からの毎の繰りげ返済およびボーナス全額充当により、(約倒し)に完済済み。の完済証、毎の送記録はすべて私の元に保管あり。

産および融資産

恵美子名義の定期預・積

千百万円(結婚の特財産および私の個与の蓄積)。

博幸名義の預

推定万円未満(与の半を遣い・見栄の交際費・倫相への貢ぎ物で浪費)。

博幸の負債:

(輸入セダン)の残債約万円(私名義の保証契約および族カード決済)。

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