みかん小説
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"温泉旅行を贈った夫の本当の目的" 第13話

百メートルの煌めく夜景を望できる級フレンチレストランの窓際席に、博幸さんとさおりの姿があった。

シャンパングラスを傾け、キャビアやフォアグラが惜しげもなく盛られたコース料理に舌鼓を打つは、すでに自らがに入れたと信じ込んでいる「バラの未来」に酔い痴れていた。

「ねえ博幸、やっぱり流の男と過ごす夜は最ね。あんなダサい田舎のおばさんと緒にいたなんて、本当にの無駄遣いだったんじゃない?」

さおりがわざとらしく胸元を調しながら目遣いで甘えると、博幸さんはく伸ばし、極のブルゴーニュワインを誇らしげに揺らした。

「全くだよ。恵美子は所詮、と飯を運んでくるだけの無乾燥な械だったからね。あの女が今頃、奥の鄙びた温泉でありがたがって湯に浸かっているとうと、笑いが止まらんよ。これからは僕のすべての財産とを、おのためだけに使うさ」

「嬉しい! くハワイのコンドミニアムにきたいな!」

は周囲の客の目を気にすることもなく、品な嬌声をげて乾杯を繰り返した。

事が終わり、フロアの照際落とされ、演奏のピアノが優雅な調べを奏でる、博幸さんはスマートなのこなしを装ってギャルソンに指先で図を送った。

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「チェックをお願いするよ」

テーブルに運ばれてきた黒革の会計ホルダー。くと、そこにはワインの追加注文もなり、分で千円という額な数字が記されていた。しかし博幸さんは眉かさず、財布から燦然と輝くプラチナカードを取りし、ホルダーへと無造作に挟み込んだ。

「これで頼む」

「かしこまりました。々お待ちくださいませ」

ギャルソンが恭しく会釈をしてレジへとがる。博幸さんはさおりに向けて「男の度量」を見せつけるように余裕の笑みを浮かべていた。

しかし、分が経過し、分が経過してもギャルソンは戻ってこない。

審にった博幸さんが首を傾げたその、支配とおぼしき黒の男性が、先ほどのギャルソンと共に青ざめた面持ちでテーブルへと歩み寄ってきた。そのには、決済端末と先ほどのプラチナカードが載ったのトレイが握られていた。

「……お客様、変恐縮でございますが、こちらのカードをお通しいたしましたところ、『取り扱い・カード会社へ連絡』の致命なエラーコードが返ってまいりまして……」

「は? 何かの違いだろう。限度額なんていくらでもあるはずだ。械の故障じゃないのか?」

博幸さんは嫌そうに声を荒らげた。周囲のテーブルの客たちが、怪訝そうにこちらへ線を向ける。

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「申し訳ございません。別の端末でも度お試しいたしましたが、カード会社側から『主契約者による即解約済み』との応答が直接ております。恐れ入りますが、別のお支払い方法――のクレジットカードか、ご現にてご精算をお願いできますでしょうか」

支配の声は極めて丁寧だったが、その瞳には「無銭を警戒するややかな」が宿っていた。

「じ、解約……!? そんな馬鹿な!」

博幸さんは狼狽し、財布のをひっくり返した。しかし入っていたのは、見栄を張るための数千円の銭と、期限の切れたポイントカードだけ。別のカードを取りそうにも、彼が普段使っていたカードはすべて私の族カードであり、すでに私が昼の点で全滅させていた。

「お、おいさおり、すまないが、おのカードでて替えてくれないか? すぐ返すから」

「はぁ!? 何言ってんのよ!?」

さおりの声が、瞬で猫なで声から裏のヤンキーのようなドスの利いた濁声へと豹変した。

「私がなんで万も払わなきゃいけないのよ! 男が見栄切って級フレンチ連れてきといて、払えないとかマジであり得ないんだけど! 超ダサい!」

「ちょ、声がきいよさおり! カード会社の違いなんだ、頼むから!」

「触んないでよ貧乏! 恥かかせないで!」

さおりはバッグをひったくるように抱えると、子を蹴ててがり、の客の嘲笑と好奇の線が突き刺さる、博幸さんを置きりにしてエレベーターへとっていった。

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