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"温泉旅行を贈った夫の本当の目的" 第15話

しかし、画面に表示されたのは「圏」の文字と「契約が解除されています」という無質なシステム警告だった。

「クソッ! スマホまで止めやがったのか! 待ち伏せして、ぶん殴ってでも座させてやる!」

彼は公衆話に駆け込み、ポケットの銭をすべて投入してタクシーを拾い、へと急した。

。閑静なの坂を駆けがり、自宅の扉を乱暴に押しけた博幸さんは、玄関ポーチへとび込んだ。

「おい恵美子! けろ! 恵美子!!」

声を張りげながら、ポケットから取りした真鍮の鍵を玄関の鍵穴へと力任せに突っ込もうとした。しかし――。

ガチリ。

鍵の先端が、わずか数ミリ入ったところで属にぶつかり、それ以奥へとまない。

「な、なんだ……!? 鍵が入らない……?」

目を凝らして見ると、見慣れた真鍮のシリンダーは跡形もなく消えり、そこにはたい輝きを放つ最型の子ディンプルキーシリンダーが、に鎮座していた。

けろ! ここは俺のだぞ! 恵美子!!」

博幸さんは狂ったようにドアを両で叩き、体当たりを繰り返した。

その、玄関ドアの郵便受けの隙に貼られていた、枚のい封筒が目に留まった。そこには、赤文字で「博幸 殿」とかれ、神崎法律事務所の刻印が押された【ち入り禁止通告】が挟まれていたのだ。

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『本物件の所権は恵美子にあり、貴殿のち入りを切禁ずる。侵入を試みたは直ちに建造物侵入罪で通報する』

「ふざけるな! 俺のだ! 俺がローンを払ってきたなんだよ!」

博幸さんが叫び散らしていると、背から「ウー、ウー」とたいサイレンの音がづいてきた。

民からの「審者が民を破壊しようとしている」という通報を受け、巡回のパトカーがすでに自宅のに滑り込んできたのだ。

「君、そこで何をしている! しなさい!」

の警察官がからし、博幸さんの腕を羽交い締めにした。

せ! 俺はこのの主だ! 棒じゃない!」

所の方から通報が入っているんだ。分証を見せなさい。……鍵も持っていないのにドアを蹴破ろうとしていたね? 署まで来てもらおうか」

所の主婦たちが窓や垣から顔をし、パトカーに押し込まれる博幸さんの無様な姿を、嘲笑と恐怖の目で見つめていた。、エリート商社マンとして所に胸を張っていた男のプライドが、々に砕け散った瞬だった。

警察署での元照会と志乃さんによる「法正当性の証」を経て、博幸さんは「度と自宅敷づかない」という厳の誓約にサインさせられ、夕方になってようやく解放された。

文無し、所も失い、寒吹きすさぶ駅の公衆話ボックスに転がり込んだ博幸さんは、震える指で志乃さんの法律事務所へとダイヤルした。

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数回のコールの、受話器から志乃さんの静な声が響いた。

『はい、神崎法律事務所です』

「恵美子をせ! 恵美子はそこにいるんだろ! せよ!!」

博幸さんの獣のような号に対し、受話器の向こうから聞こえてきたのは、カチャリとスピーカーフォンに切り替わる音と、聞き慣れた、しかしどこまでも静かでたい私の声だった。

『……お話代わりまして、恵美子です』

「恵美子!! お、何の真似だ! カードを止め、会社に怪文を送り、鍵まで変えやがって! 俺を破滅させる気か!?」

受話器を握りしめる私の表は、病院の医事課でな医療過誤の報告を読みげるのように、完全に凪いでいた。

『破滅? 何を仰っているの、博幸さん。私はただ、の過誤請求を正当に精正しただけです』

「な、何が精正だ! 俺たちは夫婦だろうが! 俺の稼ぎで暮らしてきた恩を忘れやがったのか!」

『あら、まだそんな寝言を仰っているの? あなたの料は、あなたの見栄のみ代と、万円ののローン、そしてさおりさんとの級フレンチとホテル代にすべて消えていました。この費、費、息子の学費、そしてあのの建築ローンの繰りげ返済百万円をすべて支払ってきたのは、私の医療事務としての与です』

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