みかん小説
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"温泉旅行を贈った夫の本当の目的" 第16話

「ぐっ……そ、それは……!」

『あなたは私を何と呼びましたか? 換気扇ので、さおりさんと笑いっていましたね』

私は元のパソコンの再ボタンを押した。

受話器の向こうの公衆話に、昨録音された博幸さん自の醜悪な肉声が、音量で鳴り響いた。

『あいつはまでカビのえた、ただのちょろい女なんだから』 『畜を飼い慣らすより簡単さ』 『掃除付きの都のいい財布、最のATMだ』

「あ……あ……」

博幸さんの喉から、空気が抜けるような怯えの音が漏れた。

『博幸さん。医療事務という仕事は、円の計算ミスも、つの虚偽も許されない現です。私は、命の現類の性を守り抜いてきました。その私が、あなたのような杜撰な寄虫の正を見逃すとでもいましたか?』

「恵美子……頼む、悪かった! あれは冗談だ! さおりに調子をわせただけなんだ! 俺にはおしかいないんだよ!」

公衆話の向こうで、博幸さんが泣き叫ぶ声が響く。

『あなたに畜を飼う資格はありません。そして、私ののATMは本をもって永久に営業を終いたしました。……さようなら、博幸さん。残りのは、ご自分で稼いだおで、おで精算なさってください』

「恵美子! 恵美子ーーっ!!」

ツーツーという無質な切断音が響き渡り、私はスマートフォンの通話を完全に終させた。

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居のリビングに、よい静寂が戻ってきた。

窓のには、夕暮れに染まる美しい並みが広がっていた。

私の放った本の矢は、標臓を正確に射抜いた。もう度と、あの男が私の世界に戻ってくることはない。

私はめないうちに、しく買った磁器のカップに注がれた珈琲をへと運んだ。その芳醇な苦は、私のに入れた「完全なる自由」のがした。

神崎法律事務所から送付された告発状と、私がの実務経験を注ぎ込んで編纂した「証拠カルテ」は、博幸さんの勤務先である堅商社の経営陣に未曾の衝撃を与えていた。

翌週の午。自宅待を命じられていた博幸さんは、憔悴しきった顔つきで本社ビル最階の特別査問委員会へと呼びされていた。

なオーク材の扉の向こうに待ち構えていたのは、社、専務、常務をはじめとする全役員と、法務部員、そして会社側の顧問弁護士たちだった。張り詰めた沈黙の、博幸さんはパイプ子の端に浅く腰掛け、脂汗を垂らしながら線を泳がせていた。

君。君に弁会を与えるが、ここに提された証拠について、何か事実と異なる点はあるかね」

徹な言と共に、スクリーンにプロジェクターのが投射された。

そこに映しされたのは、彼が「取引先接待」

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として申請していた過の領収と、クレジットカードの細、そしてさおりとの密会記録の完全な照データだった。

「この『座・割烹〇〇』での接待交際費、千円。同刻、君はである女性と入し、私に耽っていたことが、側の座席予約記録および音声データによって完全に裏付けられている。さらに、相の女性はが社が億円の発注を受けている最取引先・帝都建材の社員だ」

法務部が淡々と指し示すスライドは、分の隙もない論理で構築されていた。

「君は職権を濫用し、取引先との癒着関係を偽装して会社の経費を私に横領し、さらには社秘の密コンペ報を当該女性に漏洩させていた疑いがある。これは業務横領罪および正競争防止法違反に該当する背任為だ」

「ち、違います! あれは単なる報交換の環で……! 妻が私を陥れるために話を袈裟に捏造したんです!」

博幸さんはがり、机にすがりついて叫んだ。しかし、同席していた顧問弁護士がややかに鏡を押しげた。

「捏造ではありません。奥様側から提された音声反訳と、当該舗の防犯カメラ映像、さらには帝都建材側への内偵調査の結果、すべての事実関係が致しました。帝都建材のコンプライアンス委員会からも、すでにが社に対して『貴社社員による極めて悪質な祥事』として厳な抗議と取引止を示唆する通告が届いています」

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