"最後の迷子放送" 第7話
本もに、期待していなかったと言ったという。けれど期待していないが、のものも何も同じ所へ通い続けるだろうかと、芳は恵子に話した。
方、京子は母が毎自分を呼んでいることをらないままではなかった。
へ移って2ほど経った頃、故郷の友からが届いた。「あなたのお母さん、丸で毎あなたの名を呼んでもらってるらしいよ」とかれていた。最初に読んだ、京子は腹をてた。
どうしてそこまで子ども扱いするのだろうとったのである。自分はもう結婚し、をて、しい活を始めているのに、いつまでも「京ちゃん」と呼び続ける母親の姿を像すると、帰る気持ちより反発のほうがくなった。
それでも、そのを捨てることはできなかった。
俊夫との活は穏やかだった。転勤はく、札幌から旭川、そのは函館へ移り、慣れないで苦労することもあったが、夫は約束通り京子を切にした。だからこそ京子は、母親へ「私は幸せだ」と伝えればよかったのだが、が経つほど最初の通をくことが難しくなった。
「お母さんにをいたらどうだ」
俊夫がそう勧めたことも何度かあった。京子は便箋を買い、最初のまでいたこともある。
〈お母さん、お元気ですか。〉
しかし、その先が続かなかった。
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謝ればよいのか、母に謝ってほしいのか、自分でも分からなかったからである。
昭47、俊夫の張にわせ、京子は度だけ故郷へ戻った。駅をた、最初に目へ入ったのは丸百貨のきな板だった。子どもの頃と変わらない所につ建物を見ただけで、京子の胸は苦しくなった。
そのは偶然、第1曜だった。
午240分頃、京子は百貨の正面玄関の向かいにある喫茶へ入り、窓際の席へ座った。母が本当に来るのか確かめるつもりだったわけではないと、に本は話している。ただ何となく、がそこへ向かってしまったという。
午250分を過ぎた頃、の婦が百貨へ入っていった。
くからでも分かった。
母だった。
京子は子からちがりかけ、また座った。を渡れば数秒で追いつける距だったが、何も会っていない母親へ、最初に何と言えばいいのか分からなかった。
やがて百貨からてきた買い物客が、友へ笑いながら話す声が聞こえた。
「また京ちゃんって呼んでたわよ。毎聞くわねえ」
京子は喫茶の窓から母がてくるまで待った。澄はで駅とは反対のへ歩いていき、その背は京子の記憶よりずっとさくなっていた。
京子は追いかけなかった。
その夜、宿泊先で何度も悔した。
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それでも翌には故郷をれた。
そのも、京子は何度か町へ戻った。
そして何度か、百貨のまで来た。
しかし案内所へはかなかった。
「自分から戻ったら、お母さんの言う通りになってしまう気がしたんです」
に京子はそう語ったという。
娘を失うまいと握り続けた母のは、いつしか娘にとって逃げしたくなるほどくなっていた。
けれどをしたあとも、母は同じ所で待ち続けていた。
休憩で芳から話を聞き終えた恵子は、すぐには言葉をせなかった。自分が数分に「実際の迷子でなければ放送できません」と告げた婦が、20以に娘を度本当に見失い、そのは別ので同じ娘を探し続けていたことをったからである。もちろん百貨の規則を考えれば、自分の判断が完全に違っていたともえなかったが、物事には規則だけでは測れないがあることを、22歳の恵子は初めてじていた。
「主任は、どうして今まで続けてあげたんですか」
芳はし考えてから答えた。
「私ね、昭27に京ちゃんが迷子になった、ここにいたのよ」
恵子は驚いた。芳は当まだ若い案内係で、放送を担当した本ではなかったものの、泣きながら案内所へ駆け込んできた京子を覚えていたという。さな女の子を抱きしめ、何度も頬を撫でていた澄の姿も、今でもはっきり記憶に残っていた。
「あのは数分で戻ってきた。
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