"1億8400万円の夜逃げ" 第6話
その夜、は健と会っていた。
佐藤はが何を話したのかりたかった。学代の友たちへ再び聞き込みをうと、当選にから直接話を聞いた物は見つからなかった。つまりは、母親以では健にしかのをらせていなかった能性がかった。
宝くじそのものについてもな事実が浮した。では健が本確認類を提示しているものの、当選券の購入者が健であることを証するものはない。現で購入された宝くじであれば、券を持っている物が続きをめることができるため、健がから券を入していたとしても、当は自然に見えなかった。
が失踪した翌から、健は急激に資をかし始めていた。座を経由して複数の融サービスへを移し、その部は暗号資産へ換えられ、追跡が難しい形に変えられていた。さらにマニラきの航空券も購入している。
連のは、いつきで逃げた男のものではなかった。
捜査班のが言った。
「最初から、全部準備していたんじゃないですか」
佐藤は答えなかった。まだ決定な証拠がりなかったからだ。検索履歴もセメントの購入も、健がへを隠したことをく示してはいるが、直接犯を証するものではない。
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そこで佐藤は、から見つかった黒縁鏡の鑑定結果を待った。
数、その報告が届いた。
当て部分から検されたDNAのつは、鈴のものだった。
そして、もうつ。
健のDNAが検された。
証拠が積みなるにつれ、20166末から7初旬に起きた来事がしずつ本の線になっていった。佐藤はホワイトボードにの名をき、そのに系列を並べた。鈴が宝くじを購入し、健へ当選をらせ、その数に健がセメントを購入し、が消え、さらに2には健が当選を受け取って国へている。
事件のにあったのは、友だった。
学代、にとって健は特別な友だった。付きいが苦だったをみ会へ誘い、就職活に失敗したときには夜遅くまで話を聞き、がないときには黙って事代を払ってくれた。は両親へも「健はすごい奴なんだ」と何度か話していた。
健にとっても、なくとも学代まではを嫌っていたわけではなかった。派な友たちとは違い、は自話をしても笑って聞き、失敗を責めず、いつ連絡しても同じ態度で接した。をくと聞いたときも「絶対うまくいくよ」と言ってくれた数ないだった。
だからこそ、は当選した夜、健へ話をかけた。
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「俺、ロトに当たった」
最初、健は冗談だとったらしい。が額をにすると、受話器の向こうでしばらく沈黙した。その沈黙を、は単なる驚きだとった。
1億8400万円。
話を切ったも、その数字だけが健のに残った。
自分は8000万円の借を抱え、両親からも見放されかけ、毎取りての話に怯えている。方、自分より収入もなく、賃3万5000円の部で試験勉をしているが、たった200円の宝くじで自分の借をすべて払っても余るをにした。
数、健はへを貸してほしいと頼んだ。正確な会話の記録は残っていないが、の自によれば、健は「8000万円全部でなくていい。まず3000万円だけでも助けてほしい」と言ったという。はく悩んだ末、断った。
「ごめん。父さんと母さんのために使いたいんだ」
健は笑って「そりゃそうだよな」と答えた。
その話を切った、何かが変わった。
健はにを渡す義務がないことを理解していた。それでも、以自分が何度も事を奢ったことや、相談に乗ったこと、学代にを仲の輪へ入れてやったという記憶が、いつのにか「自分は助けてやった」という勘定へ変わっていった。追い詰められたので、友はしずつ貸し借りの計算へすり替えられていった。
は何もらなかった。
母親にはマンションを買いたいと話し、父親にはを買い替えてやりたいと考えていた。
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