"1億8400万円の夜逃げ" 第8話
健は自由になったとった。
借からも、取りてからも、失敗したからも、そしてのコンクリートのに残した友からも。
しかし、だけは9、度も健のから消えなかった。
健に対する逮捕状が請求され、警察は国際捜査へ切り替えた。問題は、20167にマニラへ入国したの取りがほとんど残っていないことだった。健は本の話番号も座も使わなくなり、現では本名を避けて活している能性がかった。
佐藤は最の能性として、健の両親を訪ねた。世田区のマンションで暮らしていた母親は、息子の名をした瞬に目をそらした。9の失踪当、両親は警察へ捜索を求めていたものの、「借から逃げたのだろう」という説を受け続け、やがてを閉ざすようになっていた。
「連絡が来たことはありませんか」
佐藤が尋ねると、母親はすぐには答えなかった。しばらく両を握りしめた、2019と2022に度ずつ話があったことを認めた。どちらもい通話で、健は「元気にしている」「まだ本には帰れない」とだけ話したという。
母親は警察に黙っていた。
息子が犯罪を犯したとはっていなかった。額の借から逃げたことを恥じているのだろうと考え、きていることさえ分かれば、それ以望まないようにしていた。
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帰国すれば借取りに追われるかもしれないとい、話が来た事実も誰にも話さなかった。
通話に使用された番号はすでに失効していた。どちらも期契約のSIMだったため契約者の追跡は難しかったが、2022の発信域についてはフィリピン国内からの能性がかった。9のに別の国へ移したとわれていた健が、今もマニラ周辺にいる能性が浮した。
本側はフィリピン当局へ正式に協力を請した。指紋、顔写真、、体特徴などを送り、期滞する本のビザ報との照を依頼した。だが1000万を超える都圏で、別名を使う男を探す作業は簡単ではなかった。
1かが過ぎても連絡はなかった。
佐藤は焦りを表にさなかったが、机の隅に置いたの写真を見るたび、群馬で会った佳子の姿をいした。堂の仕事帰りにエプロンを着たまま警察官を迎え、学入学式の写真のへ毎朝を供えていた女性だった。
が宝くじに当たったことを、佳子はらなかった。
まして息子が、そので自分たちのを買おうとしていたことなどるはずもなかった。
佐藤はいつかすべてを説しなければならないとっていた。だがそのに、健を見つける必があった。犯を認めさせ、がなぜ命を奪われたのかを、両親へ答えられる形にしなければならなかった。
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20255、フィリピン当局から連絡が入った。
滞資格の更を申請した本男性の指紋が、国際照会されていた健のものと致したという。提類に記された名は「」という別のものだったが、過の指紋記録との致率は極めてかった。
佐藤はそののうちに国の準備を始めた。
マニラ郊の宅にある古い2階建ての建物が、男の居先として特定された。本がい区からはれており、観客が訪れるような所でもない。健は目たないように暮らし、現でさな輸入関係の仕事を伝いながら活していたらしい。
現警察とともに建物へ到着したのは、湿度のい午だった。狭いの両側には洗濯物が並び、台から油の匂いが漂っていた。佐藤は所を確認し、現警察官のろから階段をがった。
廊の突き当たりにあるドアをノックした。
しばらく返事はなかった。
やがて、内からゆっくり音がづいてきた。
ドアがいた。
9より痩せ、頬がこけ、髪にいものが混じった男がっていた。警察官の姿を見た瞬、男の目がきく見かれた。
佐藤は本語で尋ねた。
「健さんですね」
男は答えなかった。
ただ、目から涙が落ちた。
健は逮捕、ほとんど抵抗しなかった。
現警察の施設で事聴取が始まると、最初の数は名さえまともににしなかったが、本から持参された証拠がつずつ机のへ置かれるにつれ、その態度は変わっていった。
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