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"判を押さなかった妻" 第5話

夫婦の財産について、今の自分に何が確認できるのか。の持ち分、預貯、退職にわたって夫が婚関係へ支していたお、そして婚の条件をどのように理すべきなのか。

弁護士は資料を通り見たあと、「すぐに婚届へ署名しなかったのはよかったといます」と言った。ただし、使われた額がすべてそのまま返還されると単純に考えるべきではなく、財産分与や慰謝料などを含めて全体を理する必があるとも説された。

私は頷いた。

復讐したいわけではなかった。

ただ、38積みげたもののうち、私に属する部分まで修司に持ちられるつもりはない。

婚はするつもりです」

私は弁護士へはっきり言った。

「でも、夫が自分に都のいい条件だけ決めて、私に判を押させる形にはしたくありません」

帰宅する、私はへ寄り、自分名義の座と共している座の資料を取り寄せる続きをした。修司が「しい」と呼んでいるものが、何を台にして作られているのかを、私は最まで確かめるつもりだった。

そしてそのの夜から、私はもうつのことを始めた。

修司のために無識に続けてきたことを、つずつやめることだった。

最初にやめたのは、夕の作り置きだった。これまで私は週末になると煮物、焼き魚、きんぴら、ハンバーグなど数分のおかずを作り、分けにして蔵庫や凍庫へ並べていた。

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修司はそれを「にあるべ物」だとっていたが、そのつに私の買い物、ごしらえ、調理、保というが使われていた。

の夜、修司が蔵庫をけた。何度かを見回したあと、「おかずは?」と聞いてきたので、私はテレビから目をさず「私はもうべたわ」と答えた。ちょうど見ていたのは旅番組で、結婚以来、修司の野球継に譲ることがかっただった。

「俺の分は?」

「作ってないわよ」

修司は信じられないという顔をした。

「何でだよ」

「あなたのしいでしょう。自分の事くらい自分で用して」

修司は嫌そうに蔵庫を閉め、棚からカップ麺をした。湯を入れようとして台所へこぼしたが、雑巾の所が分からずしばらく周囲を見回していた。以の私なら黙って取りしてを拭いていただろうが、そのは何も言わなかった。

次のには、薬を分けるのをやめた。

修司は血圧と臓の薬を用しており、私は毎週曜の夜になると1週分を朝と夜に分け、曜ごとのケースへ入れていた。薬の名を覚えようとしない修司の代わりに、病院でもらった説を確認し続けてきた。

曜の朝、修司が空のケースを持って私のところへ来た。

「薬、入ってないぞ」

「自分で分けて」

「どれが朝なんだ」

「袋にいてあるでしょう」

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「おってるだろ」

もちろんっていた。何も管理してきたのだから、い錠剤の形を見るだけでほとんど分かる。それでも私は「自分の体のことなんだから、度自分で説を読んだ方がいいわ」と答えた。

その週はシャツにもアイロンをかけなかった。修司はする朝になって初めて、洗濯かごのにしわのついたワイシャツが残っていることに気づいた。自分でアイロンをしたものの温度設定が分からず、結局以着たシャツをもう度着てかけた。

襟には細かな皺が残っていた。

私は玄関へ向かう背を見送りながら、妙なことをった。

38、修司の同僚や取引先は、彼を几帳面でなりのった男だとってきただろう。しかし、毎朝きれいなシャツを用していたのは私であり、修司本はアイロンの設定さえらなかった。

呂も同じだった。

修司が帰宅する頃にちょうど湯が張れるよう、私がを見てボタンを押していた。数、午9に帰ってきた修司がえた浴を見て「呂は?」と尋ねたので、私は「そこにボタンがあるでしょう」とだけ答えた。

些細なことばかりだった。

私は事を捨てたわけでも、薬を隠したわけでもない。洗濯もアイロンも湯器も使える状態でそこにある。ただ、それまで修司の代わりに私がいていた部分を本へ返しただけだった。

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